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理論を暗唱させられた後、

錬度を上げる練習をひたすらに続けさせられる


固定と火の魔方陣

練り上げて注ぐ

練り上げて注ぐ…



言われるがまま、

指示されるままに何度も発動させては消して

…書き直してまた魔力を練り注ぐ


精神力も

集中力も底をついた…

知恵熱が出たように、額と目が熱くなってくる




「今日は此処までにしような」


「…はい」


「少しは感覚が掴めたやろう?同じ魔力量でも少し良くなったのが分かる」


「そうですね…なんと表現すればいいのか分かりませんが、

何となくしっくりくるような感覚があります」


「明日も我の講義だったな?

感覚が掴みかけていることだし…新しい魔方陣よりも錬度を先にあげていくからな」


「わかりました、よろしくお願いします」







疲れた…

講義が終わり、講義棟を出ればたちまち疲労が出てくるように感じた


頭を回転させ過ぎた

摩擦熱のように発生したそれが脳に蓄積されてぼうっとする

緊張しながらやったせいか

首回りが凝っている…



体も疲労感を訴えて、風呂敷を持つ腕もすぐに倦怠感で痺れるような感覚を訴える


蒲公英コーヒーは…

材料調達する気力はどこにも残っていない

その間少し早いが夕食を済ませてしまおう

重みを訴える腕

終いには体面を捨て、両腕で抱えるように運んだ




薬膳コースを胃に流し込むように食べてから

部屋に戻る


少しでも腰かければ、そこから動けなくなる

寝てしまいたい…

そんな気持ちを抑え、

己を鼓舞しながらバックパックからコッヘルを取り出した



一階の給湯室

並々と張った水を火にかける


沸いたそれをもって向かう

冷めない内に…

見慣れた盥に注ぎ、同量の水を柄杓で入れる



ざばぁ

頭から一気に被った


気持ちいい…

張った筋肉も緊張も緩んでいく


今日は行水しても疲れはとれない

熱めのお湯にしてから浴びよう

そう思って実行に移したのは大正解だ


生徒用の浴場であれば浴び放題

浸かり放題…

きっと疲れも吹っ飛ぶ位に…



だが、侍従の立場…

それを思って浴場に行かないと決めたのは己。

そこまでの欲は言えないが、

せめて小さくとも湯船があればなあ…と。

和の国とは違って浸かる風習はあまりない

需要は少ない、

実際に浴場で浸かる人は稀だった


利用することも稀なものに、

使用人の…浴場に設置する経費等割く筈もない

でも…そう頭では分かっていても

実家で慣れた習慣は抜けきれない



後、何年もの学園生活を思えば…

苦痛でしかないな

時間もない、疲労で街に行くのも億劫

毎度となれば貴族用の個室浴場は…今の俺にとっては高い


侍従の…

それに刻まれる王家の紋を引っ提げて…

場末の大衆浴場など入りに行ける筈もない



なんとかならないだろうか

なんて、考えながら洗い終え使用人部屋へと戻ってきた



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