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ほうじ茶を飲みきり…

重い包みを掴み、立ち上がる


再び手に持ちながら筋力増強を試みる





強い日差しも

古いガラス越しには柔らかく温かみのある光となって教室を明るくしている


どさり

そんな音がするような重さだ

いつもの定位置の机のとなりに置いた



さて

復習しておかなければ…

風呂敷から目を離し椅子を引く


肩掛けから

全て教本とメモを取り出すと

一息つく間もなく取り掛かった…







「…随分と熱心やな」


「っ…教授」

気配がなかった

紙面から顔をあげれば、教授が覗き込むように覚えるために書き散らしたメモや教本をまじまじと見ていた


「その…布の包みは?」


「書庫で借りてきた…本です」


「で、基礎講義の復習…火の魔方陣か」

「…はい、すみません。すぐ片付けます」


選択講義の準備もせず…

乱雑な机の上

授業しに来た教授を待たせるわけにはいかない


視線を感じながらも簡単に纏め

バックに仕舞う



立ち上がり、隣の机の上

風呂敷に手をかけ結び目を解く

手前、奥に開いていく




「興味深い…」


背表紙から本の内容を推し量ったのだろう

教授の関心を無駄にかっても一利もない

手際よく

目的の生活魔方陣の教本を取り出して包みなおした



「…お待たせしてすみません。授業、宜しくお願いいたします」

教本を机に置き、

一礼して椅子に座り直すも一向に始めようとしない



「…教授?」


「…」


いつも通り…

教授らしくない着崩した濃い目のワイシャツ

その上のベストもボタン一つ留めずに羽織られたまま


ただ普段と違う軽快な雰囲気は…ない

何やら思案顔をしたまま

窓枠に預けながらなにも言葉を発しない様子に…




「あの…」

「お前、魔力の錬度は?」


「…教授?」

脈絡なく…

突然思考から回復した

予備動作もなく…腕組みしながら突如此方を向き

問いただすように言われる



「魔力量は?」


「…E-判定でした」


そう言い終わるか終わらないかの内に伸びてくる

…教授の手


机の上から

断りもなく…俺のガラスペンを取り紙に魔方陣を描いていく

窓枠にもたれたまま

片手だけでさらさらと形作っていく



見たことのある、

というより、先程まで復習していた火の魔方陣だ


疑問符しか出てこない

これがどうかしたのだろうか?




「発動させな」


「…え?」

描かれたそれを見つめたまま

即座に反応出来ずに出た言葉


「習ったんだろ?」

「…許可は出ていな「俺は教授だが?」」


「…はい」

基礎講義で一人で扱うなと言われたが…

教授がいればその限りではない。

つまりは選択講義として許可を出すと言うのだろう、

何かあっても

不発でも、暴発でも…フォローはしてくれる


目の前の教授を侮った訳でも…

なんでもないのだが。

念頭に発動してはいけないとあっただけで…ただ不況は買ったようだ



もたついていれば

更に険しくなった表情


言われるがまま、魔力を目の前の魔方陣に注いでいった




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