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山積み



震える手で封蝋を剥がす

取り出した便箋には、思った通りの見慣れた綺麗な書体が綴られている



雅やかな封筒に書体

内容も…とそう続かないのは明解


殺気についての弁解

回避と相談無しに矢面に立った理由

指導してきた恩への返礼がこれか

迷惑と心配に対する行動はどうするのか

…等々





家や寮にこの封筒があればまた話は変わる

ラクーア卿程の人物だ

逃げようとしても逃げられないのは変わりはしないが

ここが…殿下の邸宅であることが問題だ。

この屋敷のあのアコヤと言う傍使えがきっと置いていったのだろうから、

この封筒がしかと届けられたのは送り主に伝わっているはず



つまりは手に渡っていないと、

見なかった振りも素知らぬ振りも出来はしないだろうと…

逃げ場を無くしてくれた訳か…


…そんなことをすれば、

傍仕えの主人であるマルコに迷惑が掛かる

だから…

嫌でも…俺は行動に移さねばならない。

迷惑と心配をかけた二人…

加えて屋敷に出入りする兄上にも殿下からこの情報は筒抜けだろう…

そう考えれば三人


更に両親

…計五人


…そして国王に

筆を取らねばならない



気が重たい…

正式な貴族然とした形式的な文面や言い回しなど、書き方何て知らないのだから

だからマルコと兄上には直接謝る


ラクーア卿と父上にはお目こぼしをして貰おう…

そして陛下にそれとなく伝えて貰えば

…謝罪に窺うのは従者見習いを理由に、

後見人である父上から謝罪して貰うことで…仲介者を立てることで直ぐに謝罪に向かうことを回避できる

ただし、両親とラクーア卿には…だ。

…同じ学園の敷地にある中等科の兄上、従者見習いの主である殿下はほぼ毎日そのチャンスが発生するのは置いといて。


だから、"ここ"に封筒が届いたのだろう。

暗にそのチャンスをゆめゆめ溝に捨てていないだろうな?

…父上とラクーア卿が言いたいのは

陛下に口添えしておく代わりに

直ぐに詫びにいけないという手紙の断りくらいは、マルコと兄上にしっかりと説明込みで謝罪の返信位出来るよな?

という注意喚起…圧力しか感じられない。




それと一番の問題は二日あれば、城下のラクーア卿の邸宅には伺える…と言うことだ

見習いは分からないが従者の休みは…一年に二連休が数える程度

…が、

マルコは直ぐにでも連休位見習いになりたてでも俺に与えてくれそうだ…

…直近、二連休なんて贅沢なものは要らないと心の底から叫びたくなるが

休みをやると言われれば…

侍従に拒否権はない


与えられたら最後、なんのためにやった二連休だと確実に言われる。

そういう含みで直ぐにでも休みを与えてくれる気がして…いや気しかしない。

その休みを生活費の稼ぐ時間に当てようものなら、何処か他の所へいこうものなら…

考えるだけで背筋が凍る心持ちだ





そもそも邸宅までの足代すら、今の所持金で足りるかと言うところなのに…

二連休まで、学園で使う食費、雑費、衣服と消耗品に所持金を当ててていけば後にはいかほど残るのか…

きっと金がなくて貴族宅を訪れられない…まして詫びに行くことは必須である時にだ



連休に稼がなければ足代がない

連休に足代を稼げば詫びに逝く…行けない


…なんの選択肢だろうか

どちらの選択も出来ないじゃないか?

もし所持金が足代あったとしても持参する物だって馬鹿にならない。最低限菓子折だ。それも高級品





だが返信位は出来る

金銭を理由に郵送費までないとはいい訳は出来ない


…そんなこんな

まだ起こってもないことを考える前に返事をすべきだな…

二通か、明日の夜に書こうか…

後々にしたって憂鬱で頭の何処かでずっと気にして過ごさなくてはならなくなるだけだ。


時間稼ぎでも…


そしていずれ訪れる断糾の場が訪れるまでに、

他にも侍従の仕事も一からやらないといけない

生活費の工面も…

いずれ訪れる謝罪に掛かる資金の調達もだ


ああ…

…初等科でこんなに人生詰まなくてもなあ

長男の兄上は優秀だし、男爵で中央権力に巻き込まれることも少ないはず

まあ…マルコとの交流を除けば、

次男の俺なんて自由なもんだと思ってたのに…



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