首長竜戦Ⅰ
こうして森にたどり着いた俺たちを待っていたのは、巨大な首長竜だった。
討伐対象のキクロプスとはあれのことだろう。早速、俺は剣を抜いて、構える。
正直言って怖い。巨大な肉体は俺に対して本能からの恐怖を呼び覚ます。
しかし、それを倒すのが俺たちの仕事だ。冒険者は死と隣り合わせの危険な職業なのだ。
さて、これをどう調理してやろうか・・・頭が弱点だと聞かされたけど、あれだけ大きければ頭部に刃は届かない。・・・魔法を使うか。
狙いを定めて、覚えておいたけど使い道がなかったこの魔法を撃つ。
「光矢」
その名のとおり、魔力エネルギーを固めて矢として打ち出す魔法だ。隕石を出すよりも消費魔力が少ないが、その分火力もそんなにあるわけではない。なので、牽制として撃ったのだが。
かわされた。
首が長くて遠距離攻撃を当てにくい。
相手に気付かれた。交戦開始。
俺はこっちに突進してくるキクロプスを華麗にかわし、後ろに回りこむ。
しかし、後ろにはこれまた巨大な尻尾が生えていて、その尻尾は強力な武器となりうる。それが横からぶんっと音を立てて迫ってきた。
避けようとするものの、避けきれずに、それが当てられる。そして、ぶっ飛ばされた。
俺は近くの地面に頭から突っ込んだ。
空中でとっさに回復してなければ死ぬところだった。
地面から抜け出し、仲間がいたことを思い出す。
何をしているのだろうか・・・?
―――そのころ、フォリッジとライケンは、茂みの中で作戦会議をしていた。
「あいつ、一人で行っちゃったけど、大丈夫なのか?」
「というか、僕たちが止まったことに気付いていなかっただけみたいだけどね。まぁ、あの実力だし、死ぬことはないと思うよ」
「・・・ぶっ飛ばされてるように見えるけど?」
「・・・大丈夫・・・・・だと思うよ」
「・・・・・・。」
「・・・さて、あれにどうやって攻め込もうか」
「あ、話を強引に変えた」
「頭が弱点だからそこを重点的に狙い打ちたいんだけど、あれほど長かったら絶対避けられるしね。どうしよう」
「確かにな。とりあえず攻め込むことならできるけど」
「え!?どういう方法?」
「剣を飛ばすのさ」
そういって、ライケンは両腰の剣を引き抜き、なんと、それを投げた。そして、すかさず背中の剣を抜いて、構えた。
すると、不思議なことに、投げた二本の剣がぴたっと空中に止まった。
フォリッジは目の前の超常現象に驚いている。
ライケンが説明する。
「これは“操剣の剣”といってな、近くにある、魔力を持った剣を何本でも操れるんだ。割と遠くから攻撃できるからすごく便利なんだ」
「・・・・・魔剣ってほんとにすごい」
そうして、二人で遠距離攻撃をすることに決定した・・・・・と思いきや、純也が猛ダッシュで近づいてきた。
そして、そのままスライディング土下座で謝ってきた。
「忘れていてすみませんでした!」
「とりあえず顔を上げろ」