魔剣の力
―――翌日
腕試しということで、キクロプス討伐クエストに出かけた。
以前断ったドワーフのおじさんの依頼である。
ちなみに、報酬はいい武器素材が入ったらしいので、それで手を打った。
正直気乗りしなかったのだが、メンバーの戦力を知っておきたいからとフォリッジが提案し、それもそうだ、二刀流の魔法剣士の実力を知りたいと、ライケンが乗っかり、それに流されて俺もうなずいて、今に至る。
確かに、そういえばライケンが何で剣を三本も持っているのか気になるし。
ここでウルフが現れた。
ウルフとは、いわゆるただの狼だ。ウルヴェンの下位互換とも言われている。
しかし、群れで動くことが多いため、そこそこに厄介なやつである。
戦闘開始。
まず、俺がウルフのうち一体に突撃。狼の頭に右手の剣を突き刺す。
しかし、それでも死なないようだったので、もう片方の剣で狼の首を切り裂いた。
成功。狼の首から下は倒れた。
死体処理は後にして、後に残った4体のウルフに向けて剣を構える。
「へ~。二刀流ってそうやって戦うんだ。面白れぇ。俺も負けてられねぇな」
ライケンは俺の戦い方に興味を持ったようだ。
さて、そんな彼はどうやって戦うのだろうか。
ライケンは、「このくらいだったらこれだけで良いか・・・」と意味深なことを言い、両腰と背中に装備している3本の剣のうち、左腰の片手剣を抜いた。
それは、赤い、竜の彫刻が入った、美しい剣。
それを前にかざし、彼は叫んだ。
「赤竜よ!契約に従い、我が目の前の障害を焼き払え!!」
その瞬間、剣から火炎が噴き出した。
そして、ウルフたちを包み込む。
それはまるで赤い竜のように―――。
約5秒後。その炎は消え、後に残ったのはこんがり焼けた狼肉が五つ。美味しそうだ。
俺は、唖然とした。
今のはなんだ!?
剣から火が出て・・・ウルフを美味しそうな肉に・・・・・・何が起こったんだ!?
今の瞬間に起こった出来事をよく理解できない。
そこで、フォリッジが解説する。
「どうやら、ライケンは魔剣士だったみたいだね。魔剣ってすごいね」
「・・・確かに」
そこへ、素材採取を済ませたライケンが戻った。
「二人で何の話してるんだ?」
「魔剣士もすごいね、ってことを話してた」
「おお、そうか」
「じゃあ、行こうか」
そういって、俺たちは草原を進んでいった。