作戦会議
それから、俺たちは自己紹介をして打ち解けた。
赤い髪のほうはライケン、青い髪のほうはフォリッジというらしい。
第一印象は、ライケンは熱血バカ、フォリッジは頭のいいインテリタイプという感じで、実際に話してみた感じからもそれで間違いないだろう。
さて、作戦会議である。
「まず、話を整理しよう。キミはそこのダンジョンの第16階層ボスに挑んで、逃げ帰った。それでいいんだよね」
フォリッジの言葉にこくり、と首肯。
「そいつが強すぎて、全く歯が立たなかったんだな。ほとんどの攻撃は防がれちまって、当たってもダメージを受けねえ。と」
ライケンの言葉にまたもや首肯。
「でも、妙だったのは、俺が攻撃しても防いでこなかったことです。しかも、あいつ、自分から堂々と攻撃を仕掛けてこなかったんですよ。俺の隙を狙って何発か打たれましたけど、すべてかわしてしまいました。どういうことなんですかね」
俺の疑問に、フォリッジが答えた。
「恐らく、君を疲弊させて、食べようとしてたんだよ。オーガ種は大体人肉を主に食べるんだ。攻撃をしてこなかったのは、たぶん自分の体力や魔力を温存しておくためだね」
確かにもう少し戦っていたら、疲れ果てて動けなくなっていたかもしれないな。それを狙っていたとすれば、ものすごく恐ろしいことだ。
「・・・そんなのをどうやって倒せばいいんだ」
ここまで頭がよく、体力もある、いろいろな意味で強い敵を倒す術は、もっていない。
ついに俺のダンジョン探索は詰んでしまったのだろうか。
まだほとんど言い戦利品なんてないのに?まして、目的のもの(ませき)なんて全く見つからないのに?
そんなのはいやだ。
考えろ、俺。あれも生物である以上、何らかの弱点があるはずだ。もしくは戦い方や倒し方のひとつぐらいあったっておかしくない。
「・・・・・・自分の手に負えないやつを倒す術ならあるよ」
フォリッジが口を開いた。
「いや、正確には倒すわけではないし、成功率の低さとかかる手間の割には普通に倒すよりもメリットが少ない。だから、できれば出したくなかったんだけど・・・・・・これ以上、犠牲は出したくないから」
そうか。リスクの割にリターンが少ないということか。いつもならもっとリターンが大きいほうを選ぶけど・・・犠牲を出したくないのは俺も同じなんだ。
俺は、少しだけ考えてから、返答した。
「―――わかった。それを詳しく聞かせてくれ」