戦場の最前線
軽度(?)の残酷描写注意。
その翌日、またダンジョンにもぐった。
今日はついに最前線である。
ダンジョン攻略を始めてからレベルがひとつ上がった。スキルもバリエーションを増やし、魔法もだいぶ使いこなした。
いつものように出会った敵を叩きつつ、地下にもぐる。
―――地下16階。
俺は一人で未踏破エリアを突き進む。
ダンジョンには、階層ごとにボスがいて、それを倒さないと、次の階層には行けない。
ここは、ボスは発見されているものの、いまだに倒せていない状況だった。
ここに、赤い髪を持つ少年―――のような魔物が現れた。
その帽子のような赤い髪から、”レッドキャップ”と呼ばれているそれは、3体ほどの集団に固まり、今まさに俺を取り囲んでいる。
さて、どうするべきか。いや、答えは決まっている。
殺し合いの開幕だ!
―――数時間後。
(よし、この付近の探索は終わった。あとはこっちだ)
俺は、戦闘でついた血で体を汚しつつ、ダンジョンを探索中だ。
とはいえ、もうすでにほとんどの場所を探索し、もう完全踏破目前だ。
そして、まだ行っていないエリアへと足を運んだ。
しかし、忘れていた。ここはまだ攻略されきっていない、つまりボスがまだいるということを。
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―――あるところで戦闘が行われていた。
そこには人が密集していて、それぞれが同じ一体に向かって攻撃している。
「うらぁ!さっさとくたばれ、ボス!」
戦士の一人が挑発するように叫ぶ。
それに対し、その相手――ダンジョンの第16階層ボス、レッサーオーガは何も応じず、ただ攻撃を受け続けていた。
魔法も打ち込まれているが、どれもこれも、かわされたり、命中しても全く効いていないようだった。
やがて、冒険者たちは疲れ始め、動きも鈍くなっていった。
レッサーオーガはぽつりと、「そろそろ喰い時か」とつぶやく。
そして、レッサーオーガの動きが変わった。
「空中浮遊」
レッサーオーガは浮いた。これで戦士の攻撃は届かない。
さらに、移動して、魔法を唱えた。
「火炎球」
火の玉が出現。それは冒険者たちを襲い、焼き尽くす。
そして、それを受けたものは死んだ。
また、効果範囲外にいた魔導士には絶望を与えた。
逃げようとしたところで、もう遅い。
魔導士は、頭上から襲い来るオーガに喰われた。
レッサーオーガは、頭から、首を噛み千切り、ついには、胴体から足まですべてを飲み込んだ。
その後、地上に降り、先ほど焼き殺した戦士たちの焼死体を食べた。
すべての死体が食べつくされるまでに、そこまで時間はかからなかった。
―――それから、しばらくしてから、一人の獲物が現れた。
それは、黒い髪と黒い目を持つ人間の少年だった。