鍛冶屋に来た
待ち受けていたのは、辛い現実だった。
「えっ、素材は自分で持って来いって!?」
「当たり前だろうが」
当たり前といえば当たり前なのだが。
「にしても、これ、難易度高すぎでしょ!!」
魔獣の骨×10から始まり、ミスリル鋼のインゴット×5、紅の魔石×2、世界樹の葉である。
魔獣の骨は、ウルヴェンから取れるからいいものの、魔獣の骨は、剥ぎ取るのが難しいため、一体から二つから三つしか出ない希少なものでもある。
続いて、ミスリル鋼のインゴットだが、ミスリル自体希少な金属で、さらに、それを加工し金属素材にした物を5つも持って来いと言うのだ。
さらに、紅の魔石。これもどこかに採取に行かなければならない。しかも、超希少な魔石で、売れば、10万Gは下回らず、物好きな人ならばその10倍出すこともあるほどの価値を持つ。
そして、世界樹の葉。この世界の中心にあるという木、世界樹ユグドラシル。その葉っぱである。ありとあらゆる傷を完全に治し、魔力を戻し、さらには全ステータス強化も付いた、いわずと知れた最高最強の回復アイテムである。
どれもこれも入手困難なものばかりではないか!
「確かにこりゃあ面倒だ。でも、まぁ、どうにかなるものばっかじゃねぇか。俺が承ったものの中にゃあるかどうかもわからねぇものを持って来いって書いてあったものもあったからなぁ。それに比べりゃまだましさ」
ああ、うん。それに比べればまだましだ。
「というか、そもそもおっさん何者ですか!?」
「ただのしがない鍛冶屋だ。ほかの何者でもねぇ」
その割にはすげぇな!と思うことが多い人である。ゴブリン戦の時には一軍で重たいメイスを振り回してすごい戦いをしてたのを見たし。
それはともかく。
「これ、どこで手に入るんですか」
「ミスリルインゴットと世界樹の葉は市場で売っているからいい」
売っているんだ・・・。
「そんで、問題は魔石だが・・・ああ、ダンジョンにならあるかもな。近くのといえば、アレーか。あそこなら魔獣もいるし」
「え~と、そこってどこですかね」
「ここから南に歩いて三日ほど、街道から平原を抜けて、隣の村からちょっと行った辺りだな」
遠いな!と心の中で突っ込んでおいた。
「ちなみにほかの方法は?」
「あるにはあるが・・・危険かつ大変、行くのも取るのも大変だ。それだったらダンジョンに行った方がまだましさ」
「ありがとうございます」
「どーいたしまして」
ダンジョンに行くことにした。