帰り道
帰り道。
「よかったです・・・」
「何が?」
「ウルヴェン肉は高値で売れるんですよ。報酬が増えましたね」
「そういうことか」
こんな他愛も無い話をしながら帰った。
「アリス、なんだったんだ、あの魔法。今まで見たこと無かったけど」
「ああ、あれね。反射防御壁。覚えてから一度も実践では使ったことが無かったんだ」
「何で?」
「上手く制御ができなかったんだ。上手く跳ね返せなかったり、防御力が足りなかったり」
「じゃあ、何であの時は使おうと思ったんだ?」
「キミに襲い掛かるウルヴェンを見たとき、このままじゃ、キミが死んじゃうって思って、とっさに使ったんだ。成功してよかった・・・。もう、このまま君がいなくなったら、私・・・」
アリスはそう言って、耳まで赤くする。
純也は彼女が何を言おうとしているのか、まったくわからず、頭に疑問符を浮かべているようだ。
そんな二人を見て、ラビとチェシャは顔を見合わせて、微笑んだ。
交わした視線で、
(あれ、絶対・・・)
(うん、あれですよね)
(しかも、純也は何も気付いていない。鈍っ)
(なんというか、青春ですね)
(そーだね。二人のこれからが気になるよね)
(ですね。アリスのことを応援したいです)
そんな会話をしていたが、それを知るものはいないだろう。
そうこうしているうちに町にたどり着いた。
いつの間にか日は傾き始めていた。
俺たちの背中をオレンジ色の光が照らしていた。
次回、新章開始です!