プロローグ
今、異世界転生の小説が流行っているらしい。
大体、主人公が現実世界で死んで、異世界に生まれ変わり、その時にもらうチート(主に反則級のすごい能力や武器)や知恵で世界を救ったり、冒険をしたりするものが多い。
そして、今。俺は異世界の草原に立っている。
鎧を着けたトカゲ男のような生き物が荷物を背負って目の前の道を駆け抜けていく。こんなのが今までいた世界にいれば、たちまちUMAとして有名になることだろう。ここは、今までとは違う世界というのが改めてわかった。
そして、青い空に顔を向けて考える。何でこうなった。
体感で45分前、高校1年生の俺、岩谷 純哉は学校から帰る途中だった。
横断歩道を渡ろうとしたら暴走したトラックに轢かれた。
そうして、俺の16年間の人生は幕を閉じた。
15分ぐらい夢を見た。「死んだはずなのにおかしいな」とはその時は思わなかった。なぜなら混乱していたからだ。そのときのことはあまり覚えていない。
しばらくして、ようやく落ち着いた。
なんか、白いひげを長く伸ばしたおじいさんが呪文を唱えていた。神様だったのだろう。
床に魔方陣が書かれていた。5分ほどで魔方陣は光りだした。
強くなっていく光の中から神様の手を振って送り出す姿がはっきりと見えた。
そして、30分ぐらい前にこの場所で起き上がった。
しばらくして魔物が現れた。スライムだった。
あの有名RPGの雑魚キャラとは顔や形が少し違う程度で、水色のぷるんとした体や動き方、大きさも大体あのスライムだった。
しかし、今の自分は戦えないので屈んでどこかに行くのを待った。
それから20分ほどたって今に至る。