決起集会
翌日、ゴブリンの隠れ家が判明したらしい。そこに奇襲をかけるのがこのクエストである。
町の冒険者たちが準備している。例えば武器を買う者、ポーションなどを買う者、教会で祝福を受ける者、家族に最後の別れを告げる者などさまざまだった。中には恋人に告白した人もいたそうだ(明らかにフラグだろう)。
そして夕方、決起集会を行った。
「いよいよこの日が来たぞぉぉぉ!」
冒険者たちが歓声を上げる。町の冒険者の全員が参加するらしい。
それにしても何だこの異常な盛り上がりは・・・酒か。ユウと話していた俺は苦笑した。
ユウは生前、普通の(最高にリアルが充実した)男子高校生だったようだ。通り魔に刺されて死に、異世界転生を果たしたという。転生時特典(チート能力)は超魔力。膨大かつ強力な魔力を持つというチートである。同じ転生者同士気が合い、よく話すようになっていた。
いつの間にか決起集会が終わり、マッチョウさんが俺に話しかけてきた。
「ジュンヤ・・・お前、やっぱり行くのか」
「はい。一人でも多く戦わないと、ゴブリン全滅は難しいので」
「・・・死ぬかもしれないんだぞ。それでも行くのか」
「はい。人のために戦って死ぬのなら、それは本望です」
「・・・そうか」
マッチョウさんはぞろぞろと出て行く冒険者たちの中に埋もれて見えなくなったが、最後にこう聞こえた。
「死ぬなよ」
聞こえないとわかっていながらも返事をする。
「・・・はい。そちらこそ」