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エントリー

 

 翌日、放課後。

「わかりました。エントリーを受け付けます」

 俺たちはこの言葉を聞いて、喜んだ。

 チーム・ワンダーランドの武闘大会エントリーが完了したのだ。

 メンバーは、ラビ、チェシャ、アリス、俺の四人。リーダーはもちろんラビ。俺は何故かサブリーダーとして位置づけられていたが、今のところは関係ない。

 これから俺たちは新たなステージへ……!


 翌日。

「ちょっといいか? イワタニ・ジュンヤ」

「げっ」

「なにが『げっ』だ」

 デストロイヤー……もといレニウム先生が俺に話しかける。

「予選の対戦表が出来た、と言う話だ。ほら、ワンダーランドのサブリーダーさん」

 その紙を受け取って軽く見る。しかし、一つだけ疑問に思った。

「……何故これを俺に? ラビ……リーダーには渡さなかったんですか?」

「渡したさ。各チームのリーダーとサブリーダーそれぞれに配っているのだ」

「なるほど」

 これで作戦を立てろ、という話か。

「わかりました。ありがとうございます」

 そそくさと立ち去ろうとすると、レニウム先生は「ちょっと待て」と引き止めた。

「な、なんです?」

「宿題だ」

「……やめて」

「拒否権は無い」

 …………泣いてもいいですか?


「……ってことで今の状況にいたるわけだけど」

「どうしましょう、一触即発ですね」

「あぁん? なに喋ってんだ?」

 目の前には巨漢。それとずる賢そうな小柄な男、中背の男。あと化け物。予選トーナメントの第一試合の対戦相手だ。

 だが、彼らには見覚えがあった。

「まさかお前らだったとはな……」

「は? なにを言って……げげっ」

「ああッ、こいつ、しばらく前の!」

 そうだ。俺がこの学校に入ってきてから二日目の昼休み、俺に絡んできて返り討ちにあった哀れなチンピラたちだ。

「ひえェ……」

 おびえる巨漢に、中背の男は話しかける。

「大丈夫っすよ。今度は頼もしい助っ人がいるわけですし」

 そう言って、彼らは化け物のほうを見た。

 ……って! この化け物はなんなんだ!

 巨大な体躯。タコのように丸い頭、口からはイカのような触手を生やし、学ランの袖から出ている手はぬらぬらとした緑色のうろこに覆われており、鉤爪がついている。さらには、背中に大きなコウモリの翼。

「紹介するぜ。こいつはくとぅるふさん! とんでもなく強いらしいんだ! お前らなんか一ひねりだぜ!」

「“#$%&‘()=~{‘*}?」

 なに言ってるのかわからない。というか、言語かどうかもわからないし、底知れぬ恐怖も感じる。

「こいつがいれば百人力だァ!」

 巨漢は喜んでいるっぽいが……明らかにヤバい生き物だ。このくとぅるふさん。

「じ、じゃあまた予選で会いましょう」

「あぁん? 怖気づいたのか?」

「いや、そういうわけではなく」

 ラビが困っている。だが、俺は告げた。

「違うぜ。予選でお前らを叩きのめす。それまで楽しみにしてろよって意味だ」

「ああ、わざわざ説明ありがとよ。こっちも楽しみにしてるぜ。くとぅるふさんの底知れぬ実力に絶望するお前らを見るのがな……!」

 俺と巨漢は視線を交わし――互いに振り向いて歩き出した。


「……というわけで。相手はあんまし強くはないが、得体の知れない化け物を連れてきてる」

「クトゥルフって~……結構ヤバい神様の名前じゃ~ん」

 相手のことを話すと、チェシャがそんなことを言った。

 なんか、作中でネタにした事が何度かあったような気がするが、よく覚えていない。

 この現象には軽い宇宙的恐怖を感じざるを得なかった。

 って話はともかく。

「それで、どうやって倒しましょう」

「……俺に、いいアイデアがあるんだ」

 それから、しばらく会議をした。敵を倒す方法を、しっかりと練り上げた。


 そして、武闘大会開幕前日。

「ついに明日ですね」

「そうだな」

「武闘大会、楽しみだね」

「わくわくする~」

 明日の戦いに思いを馳せる。

 どんな敵が待っているのだろうか。どんな戦いが繰り広げられるのだろうか。

 期待に胸を膨らませながら、俺たちは円陣を組んだ。

『やるぞ、ワンダーランド!』


 **********


 と、燃え上がってる四人をよそに、こちらも燃えていた。

「僕たち、小等部のエースだなんていわれてるらしいよ」

「仕方ないわ。私たちは最強だもの! ね、サラ」

「そうだな! シルフがいるってのがちょっと癪に障るけど」

「なによ! こっちこそ、こんな事がなきゃ一緒になんて戦わないっての!」

「落ち着け、二人とも。戦いなら明日から存分にできるじゃないか」

 五人の少女。

 元上級悪魔、リリス。

 風の精霊を従える半魔人、ノア。

 最強の吸血鬼の血を引く“四代目吸血姫”、シリカ。

 四大精霊が一人、最強の風精霊、シルフ。

 同じく、火の精霊では最強の、サラマンダー。またの名を、サラ。

 恐らくこの世界の十歳児の中では最強とも思われる五人。彼女らは、武闘大会に参加しようとしていた。

「……この大会、結構ヤバいらしくてな。魔神や悪魔、魔族。そんなとても強大な相手もいるそうだ」

「え? 悪魔ってリリスちゃんのことじゃない?」

「あっははははは。確かにそうだったな!」

 そんな風に笑いながらも。

「しかし、用心するに越したことはない」

「そうね。命まで奪われたら終わりだものね……」

「でも、流石にそうはならないはずだぜ! だって、あたしたちは!」

 五人は声をそろえて言った。


『最強だから!!』


 そして、輪になって、五人は手を重ね合わせた。

「絶対に、勝つぞッ!」

『おおっ!』


 次回予告


 ついに始まった武闘大会。しかし、その前に行われた開会式も……カオスであった。

 それはさておき、純也たちの戦いが始まる。クトゥルフに、彼らはどう立ち向かう!?


 次回、「開会式」!

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