EP3-5
「頼むよ!そこを何とか!!」
次の日クロエフはジャンに迫られていた。どうやら建国祭の中の競技で魔導船のレースがあるらしい。この競技は学園だけでなく、国中の者たちが参加できるため学園のAクラスでさえ、入賞したことのないという競技だった。しかしジャンはこの競技の優勝賞品がどうしても欲しいということでクロエフのところに頼み込みに来ているということだった。
「でもなあ、僕たちはほかに出る競技もあるし、第一その競技については初心者じゃないか。もっと他に詳しい人がいるんじゃないの?」
「いや、俺の知り合いの中で一番頭のいいシャオとクロエフに手伝ってもらうのが最善だと俺は思うんだ。操縦は俺がやるし、お前らは機体の設計を手伝ってくれるだけでいいんだ。」
「でも、使うのは風の魔法でしょ?僕もシャオも風の魔法は専門じゃないし大したことはできないと思うけど?」
「でも、理論を完ぺきに抑えてるお前らなら絶対に大丈夫だ!!頼む!!」
クロエフは困ったようにシャオのほうに目を向けるが、シャオの目がキラキラとして上の空になっている。これは自分が断ってもシャオ一人で受けるだろうと思ったクロエフはとりあえず受けておくことにした。
「わかったよ。設計は僕とシャオで引き受ける。ただし、過度の期待はしないことシャオは知らないけど僕は魔導船の設計なんてしたことないんだから…。」
大喜びのジャンを置いてクロエフは内心ため息をつく。目当てのものを手に入れるために今は一つでも多くの情報を集めたいのでこれ以上の時間のロスは避けたいのだが、この件でまた睡眠時間が減ってしまうかもしれない。その日の放課後、クロエフたちはジャンの家に集合していた。
「じゃあ、俺たちが乗る魔導船について話をしようか。」
魔導船の動力はマナをため込んだ魔石というものを主に使うらしい。この魔石は魔物の心臓部分にあるらしく、市場でも買えるがレースの上位者たちは自分で用意するということもまれではないという。同種ならば大きいほどマナの保有量が多く、高位の魔物になるほどマナの密度が濃くなり出力が上がるらしい。
「優勝を狙うってことは魔石はすごくいいやつを使わないといけないってことだよね?」
「あぁ、だが、この時期はこのレースがあることもあって魔石の値段は高騰するし、そもそも上位の魔物の魔石なんて俺たちが買えるような額じゃ売られてない。…だから取りに行くのさ。白狼の森にな。」




