ここまでのあらすじ
第二十章までのあらすじです。続けて読み進めている方には不要ですので読み飛ばしてください。
過去編の内容はあらすじに含まれません。
『剣魔術』の使い手であるアルディスは、討伐、護衛、調査など、報酬次第で様々な依頼を請け負う傭兵のひとり。
ある調査依頼の帰り道、野盗に襲われた隊商の生き残りである双子の少女たちを保護することになるが、この世界で双子は『忌み子』として厭われる存在であった。
なぜか彼を主と仰ぐ正体不明の女がそこへ加わり四人での生活がはじまったのと時を同じくして、双子を匿っていることが領主に知れてしまう。追い立てられたアルディスたちは魔物や危険な獣が跋扈する森の中へと居を構え、活動の場を王都へ移すことにした。
王国を悩ませる三大強魔を討伐し、都市国家の防衛戦を経てアルディスは着実に名声を得ていく。
それから四年の月日が流れ、かつての相棒であった黄金色の獣と再会したアルディスは王国と帝国の戦争へと参加し、そこで一騎当千の活躍をしたことから『千剣の魔術師』のふたつ名で呼ばれることになる。
戦いの後、とある事情から公爵令嬢ミネルヴァへ剣術指南をすることになったアルディス。教え子でもあるミネルヴァが襲撃された意趣返しとして相手の組織を壊滅させたその時、原因不明の現象によりアルディスは自分がもともと居た世界へと飛ばされてしまう。
同様にその世界へ飛ばされていたミネルヴァとその護衛ムーア、さらに相棒の獣ロナと共に何とか帰還することに成功したアルディスは、襲撃の黒幕である侯爵への返礼とばかりに彼が実質的な開催者となっている武技大会へ出場して見事優勝する。
面目をつぶされた侯爵は教会の妄信的な神父をそそのかし、アルディスを邪教徒として認定させ、さらに討伐隊を率いて襲いかかってきた。討伐隊を返り討ちにしたアルディスだったが、教会による情報操作の結果、居場所を失い王都を去らざるを得ない状況に追い込まれてしまう。
安住の地を探してカノービス山脈の麓を北上していたアルディスたちは、魔物が跳梁跋扈する危険な地に人知れず暮らす小さな村へとたどり着いた。
双子に対する偏見を持たない村へ定住することにしたアルディスは、村の生存域拡大のため山脈を庭とする『魔獣王』のもとへと赴く。戦いを経てアルディスは魔獣王にその力を認められ、新たな約定を結ぶことに成功する。
アルディスたちが村に定住してから二年。
予定外の日程で村にやって来た行商人ミシェルがもたらした情報で戦争が近付いていることを知る。
開戦の気配が漂う中、ナグラス王国のトリア侯爵が反旗を翻す。エルメニア帝国の軍に対峙するため主力が出払っていた王国軍は王都防衛にあたっていた部隊を対トリア領軍として派遣。その隙をついて帝国の別働隊が海から王都を奇襲する。
わずかな守備隊しか残っていなかった王都はあえなく陥落。公爵令嬢ミネルヴァとその護衛ムーアは避難民と共に脱出するも、追撃してきた帝国軍に囲まれ絶体絶命のところをアルディスに救われる。
行き場を失ったミネルヴァたちは避難民たちを引き連れて北の開拓村へと身を寄せるしかなかった。
ふくれあがった避難民を食べさせるため、アルディスは開拓村で採掘した重鉄鉱石の買い取り交渉に都市国家レイティンのリッテ商会長マリーダを訪ねた。
交換条件として護衛の依頼を受けさせられたアルディスは、サンロジェル君主国軍の攻勢にさらされる中、マリーダにとって両親の仇討ちを見届ける。
その後抵抗むなしく陥落したレイティンを脱出し、アルディスたちは北の開拓村グロクへと避難する。
ナグラスを滅ぼしたエルメニア帝国、レイティンを占領したサンロジェル君主国、そしてナグラス王国から独立したトリア王国、島国であるアルバーン王国の四ヶ国によって構成された『ロブレス同盟』は大陸制覇を掲げて各地で戦いを引き起こしていた。
続々と避難民が流れ込み、村から町へと規模を拡大したグロクへとうとうトリア軍が進撃してくる。
町の警備隊と共にそれを撃退するも、突如現れた男にアルディスはなすすべもなく敗れてしまう。
その男はかつてアルディスと轡を並べた傭兵仲間のひとり、ヴィクトルという名の男であった。
ヴィクトルに敗北したアルディスだったが、その後は双子と共に帝国の侵攻を防ぎつつグロクの存続に力を注いでいた。
以前攻められた意趣返しも兼ねて、状況の変化を企図したアルディスはロナと共にトリアの城へ攻め込み王を討ち取る。
トリアを自分たちの傘下に組み込み、新王国の建国へ取りかかると同時に盟友を求めて都市国家カルヴスへと向かうミネルヴァと護衛のアルディスたち。
カルヴスでロブレス同盟の軍を撃退しその力を見せつけたことで、アルディスたちはようやく同盟締結にこぎ着ける。
そのころトリアに残っていたフィリアは自らに課せられた役目を果たす中、偶然生まれ育った村へたどり着いていた。村人たちは心ない言葉をフィリアに浴びせて追い払うが、その報いを受けて獣たちに村を蹂躙され滅んでしまう。