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優しくない

瞳をあけるとそこは落とされる前居た空間は全く違う空間だった。


息はできるのに水の中にいるような感覚、次々と色を変える空間、体はまるで重力が無いかのように軽い。


天国には行ったことは無いが、それでも天国か?そんな風に思える空間だった。


メノンという神に魔法陣から落とされ俺は死んだのか。


「お目覚めになりましたか?」


透き通った声。


その声の主を辿るかのように体を起こして振り向く。


そこには、今いる空間と同化しているような虹色の瞳と髪の美しい女性が立っていた。


「誰だ。」


初対面の人に失礼かもしれ無いがメノンのことで頭がいっぱいの俺からは、そんな言葉しか発せられなかった。


「びっくりさせてしまいましたね。ごめんなさい。私はコスモと申します。」


コスモと名乗る美しい女性は深々と頭を下げた。


俺はなぜかわからないが、少し安心した表情になった。


「じゃあ、コスモ。ここは何処なんだ。俺はメノンという神に落とされて死んだはずだ。」


俺がメノンという言葉を出すとコスモは少し引き攣った表情になった。


「ここは私の作る空間です。私は女神としてメノンに殺されかけた貴方をこの空間に呼び出しました。私の部下が貴方に大変な無礼をしたこと深くお詫び申し上げます。宇宙さん、本当にごめんなさい。」


コスモはまた深くお辞儀をした。


「頭を上げてくれ。コスモ、君は何も僕に危害を加えてない。だからコスモが頭を下げることは無い。」


俺が言うとコスモは申し訳なさそうに頭を上げた。


「メノンがコスモの部下だと言うことは驚いたが、なんとなくわかった。でも俺がここに来た経緯が分からない教えてくれ。」


コスモは驚いたような顔をしたが、俺の目をじっと見て話した。


「私が貴方をここに呼んだのは、貴方にメノンを倒して欲しいからです。」


「なんだと?メノンを倒すなら君にもできるんじゃ無いか?おまえはメノンより強いんだろ。」


するとコスモは苦しそうな顔になり、手をきつく握りしめた。


「私もできればそうしたい。上司として部下の暴走をこの手で止めたいと思っています。しかし、今の私にはメノンを止めるような力は無い。だから、宇宙さん、貴方に頼もうと思ったのです。」


「今の私ってことは昔はメノン以上の力があったってことだよな。その力はどうしたんだ。」


俺が尋ねるとコスモはまた手を握りしめる。


「はい。私は昔、メノンを止められる位の力を持っていました。その頃はメノンもあのように暴れてもいなかったですし、むしろとても頭がよく、魔法も天才的な才能を発揮していました。成績も良い私の自慢の一番弟子だったんです。私を越える様な女神になりたいと、毎日頑張っていました。しかし、なかなか超えられず彼女はとても焦っていたんでしょうね…。私はこの宇宙が生まれたときに生まれた女神ですからそう簡単に超えられるわけが無い、彼女もわかっていた筈なのですが、周りからのプレッシャーに押しつぶされてしまったのでしょう…。ある日彼女は手を出してはいけないものに手を出してしまったのです。」


コスモは、辛そうに話した。


「その、手を出してはいけないものとはなん

なんだ?」


「それは、生みの父 プレアデスの核を自分のものにしようとしたのです。」


俺は、その核とやらの価値そして、力を知らない。だからポカンとした表情になってしまう。


「核というのはなんなんだ?すまん、知らないことばかりで……。」


俺が俯きながらそう呟くと、コスモは笑って首をふった。


「それは当然ですよ。貴方はこの世界の人ではないわけですし、気になさらないでください。」

 

「あぁ、すまないな。色々教えてくれ。」


俺が声をかけるとコスモは無邪気に笑った。


「かしこまりました。まず、核というのは簡単に言うと心臓みたいなものなんです。核は、その持ち主が死んでもその力を発揮し続けます。つまり、プレアデスの核を手にする事ができればプレアデスの力を受け継げるという事です。しかし、必ず完全に受け継げるというわけではないんです。その核に応じた力、つまり魔力が必要です。ここまでは理解できましたでしょうか?」


「あぁ、大丈夫だ。続けてくれ。」


コスモは、頷いて話を続けた。


「プレアデスは私の父であり、この世界の生みの親です。つまり私よりはるかに多い魔力を持っていたことになります。その為、私より魔力量が少なかった彼女には、その力が大きすぎました。大きすぎて彼女は魔力を暴走させてしまったんです。」


「じゃあ、今のメノンは自我がないのか?」


コスモは少し驚いたような顔をした。


「さすが、宇宙さん。今のメノンには自我がないんです。自我がないからこそあれほどの力を発揮できるんです。そして、私はプレアデスの核から生み出された女神なので、核が無くなった今、力を十分に発揮することができないのです。だから、あなたにメノンを助けてほしいと思ったのです。こんな一方的に押し付ける形になってしまって申し訳ないと思っています。しかし、いま、彼女を止められるのは貴方しかいないのです。お願いします、空さん。」


コスモは俺にそう説明してくれた。


しかし、俺にそんな力があるとも思えないし、地球人だ。


魔法とかそういう力も持っていない。


そして、類を傷付けたメノンを助けるなんて大きな器も持ち合わせていない。


はっきり言って、コスモの話を聞いてもメノンには憎悪とか復讐とかそういう感情しか湧いてこないのだ。


「俺は、コスモ、君が作る世界を助けたいと思うよ。でも俺の親友を傷つけ、俺を殺した彼女には助けたいとは思えない。むしろ、この手で殺してやりたいと思ってるぐらいだよ。それに、この世界を救えるようなそんな大きな力をおれは持ち合わせていないんだよ。だから俺は君をそして君の弟子を救うことはできない。」


コスモには、悪いことをしたと思ってる。でも、そんな勇者みたいになれないんだよ。







俺はそんなに優しくないんだよ。

遅くなってしまって申し訳ありません。これからはもう少し早めに投稿できるように投稿できるように頑張りたいと思います。

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