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グロテスク・ラブ   作者: 津田椿
Killing week――怒りの日
9/28

『  』

 さて。

 突然だが、人間の話をしよう。

 僕が人間であるように、芥川憩も、もちろん、人間だ。

 人の皮をかぶった悪魔――なんて、日常では絶対に使用しない言葉。そんな人間を僕は何度も遭遇してきたし、もしかすると、僕はすでに人間ではないのかも知れない。それは本人には確認できないこと。他人がその人を改めて確認すると、そこでようやくその人は、人間ではなくなる。

 とはいえ、悪魔という存在には、完全な定義はない。

 仏教では、仏道を邪魔する悪神であり、煩悩を象徴する。

 キリスト教ならサタン。神を誹謗中傷。人間を誘惑。誘惑……残念ながらそれは、芥川憩の好む言葉でもある。

 とはいえ、宗教が他宗教の神を蔑む時にも、悪魔という名称が使われる。

 人間=悪魔――ではないだろうが、人間は悪魔的ではある。

 僕からすれば、煩悩は悪魔というよりも、人間を表しているように思える。誹謗中傷も誘惑も、人間の代名詞。

「煩悩があるから、人間は誰かを中傷する。同時に誘惑もする」

 人間は悪魔と比べれば、壮大に馬鹿なのだから、当然だろう。

 後ろ髪を腰まで伸ばしていて、儚げな雰囲気を醸す顔立ちの、愛すべき――愛そのものであるところの、愛らしい我が妹、芥川憩ですらもそれは例外ではない。どころか尋常ではない煩悩を、彼女はその心に宿している。並々ならぬ欲望を並々ならぬ勢いで露わにして――いるのは、僕の前だけ、ではあるのだが。

 もう少し続けよう。

 悪魔と違って。

 どうせ百年もすれば死ぬ人間は、悪魔を凌駕する煩悩を持っているんだろう。

 自分を蚊帳の外にして語ってはみたものの……僕はどうだ。欲望は極力抑えて生きている僕――芥川黒ではあるのだが……いや。

 芥川憩の欲望なら、僕はきっと叶えられる。

 何もかも――とは行かずとこ。彼女が人の道を踏み外さない欲望ならば、きっと僕は何でも叶える。

 つまり。

 僕は人ではなくなっても、かまわない。

 彼女のためなら人を殺す――動物を殺す――虫を殺す――物を盗む――金を盗む――命を奪う――富を奪う――金を稼ぐ――作家にでも――社長にでも……

 憩のためなら、僕は何でもできる。

 僕を殺すのも、簡単だ。

 彼女が言葉を失う物語を、特に意味もなく、思い出そう。

 僕の罪も。

 僕の愛も。

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