第10話『今日もお荷物、お届けします』
山賊たちを梱包し、無事に出荷完了。
拠点に戻った一行は、灼熱の砂漠で「かき氷」を楽しみます。
一方その頃。
主人公を追放した元パーティは、メンテナンス不足でボロボロになっていました。
ついに、因縁の相手との再会が近づきます。
キキーッ。
衛兵詰め所の前で、トラックが停車する。
「……え、ええと。これが、捕まえた山賊たち、ですか?」
対応に出てきた衛兵隊長が、荷台を見上げて引きつった顔をしている。
無理もない。
そこには、いくつもの巨大なシャボン玉に閉じ込められ、綿でぐるぐる巻きにされた三十人のむさ苦しい男たちが、整然と積み上げられているのだから。
「ああ。員数確認(検品)を頼む。全員、生きてるはずだ」
俺はバインダーを差し出した。
隊長は恐る恐るシャボン玉の中を覗き込み、震える手で書類にハンコを押す。
「……確かに、三十名。引き受けました」
「毎度あり。あ、送料と手間賃は『着払い』で頼む。こいつらにたっぷりと請求してくれ」
俺はニヤリと笑い、受領印の押された伝票をポケットにねじ込んだ。
犯罪者の輸送も、荷崩れなしの安全運転。
これで周辺の治安も安定し、俺たちの物流ルートは盤石になったわけだ。
◇
仕事を終え、拠点「フローズン・ステーション」に戻った俺たちを待っていたのは、最高の「温度」だった。
外気温四五度の砂漠地帯。
だが、二重断熱ドアを一歩くぐれば、そこは室温二四度の別世界だ。
汗が一瞬で引き、生き返るような心地よさが体を包む。
「ぷはぁ……! やっぱりウチが一番だ」
俺はリビングのソファに深く沈み込んだ。
この「温度差」こそが、俺の魔法の真骨頂であり、王族ですら味わえない贅沢だ。
「おじちゃん、お祝いしよ!」
「あれ作ってー! 冷たくてガリガリするやつ!」
ミナとルルがキッチンから顔を出す。
よし、今日は大仕事(山賊出荷)の後だ。パァッといこうか。
「おう。とびきり冷たいのを作ってやるよ」
俺は製氷室から、純度一〇〇%の氷ブロックを取り出した。
不純物のない透明な氷。
これを、俺が作った特製の手回し機械にセットする。
ガリガリガリガリ……!
涼しげな音と共に、雪のように細かな氷が器に降り積もる。
そこへ、南方の果物から抽出した特製シロップをたっぷりと。
「へいお待ち。『特製かき氷・マンゴースペシャル』だ」
「「わあぁぁぁ!!」」
姉妹が歓声を上げる。
そしてもう一人、目を輝かせている女性がいた。
「これが……カキゴオリ。儚くも美しい、氷の宝石……」
ベアトリスだ。
彼女はスプーンで恐る恐る氷をすくい、口に運ぶ。
「……っ!!」
彼女の目が大きく見開かれた。
「冷たい! 甘い! 口の中で一瞬で溶けました! ……マスター、王宮の晩餐会で出たどんなデザートより、このかき氷の方が美味しいです……!」
「そりゃよかった。おかわりもあるぞ」
「所望します!!」
勢いよくかき込んだせいで「頭がキーンってする!」と騒ぐミナとルル。
舌を黄色くして笑い合うベアトリス。
俺は冷えた麦茶を飲みながら、その光景を眺めた。
平和だ。
冒険者時代には決して得られなかった、穏やかな時間。
……まあ、そんな時間を邪魔するのもまた、外からの「情報」なのだが。
◇
「いやぁ、ケントさんの店の氷は最高ですねぇ」
祝勝会の最中、立ち寄った行商人の男が、かき氷をつつきながら言った。
彼は定期的に情報を運んでくれるお得意様だ。
「ところで、聞きました? あのSランクパーティ『紅蓮の牙』の噂」
俺の手がピクリと止まる。
俺がかつて所属し、追放されたパーティだ。
「今、彼らは国境付近へ遠征中らしいんですが……ボロボロらしいですよ」
「ほう?」
「リーダーの剣が戦闘中にポッキリ折れたとか、ポーションが変質して効かずに死にかけたとか。仲間割れも絶えないそうで、『野良犬みたいに薄汚れている』なんて悪評が」
俺は鼻で笑った。
「当たり前だ」
「え?」
「あいつらの装備は、俺が毎日ミリ単位で『温度管理』してたんだよ」
金属は、気温の変化で膨張と収縮を繰り返す。
特に激しい戦闘や魔法の熱に晒されれば、目に見えない「金属疲労」が蓄積する。
俺はそれを、毎晩の『焼き鈍し』でリセットしていたのだ。
ポーションだってそうだ。適切な温度で保管しなければ、成分が分離してただの濁り水になる。
「俺がいなけりゃ、あいつらの伝説の武具もただの鉄クズだ。……ま、自業自得ってやつだな」
俺がジョッキを傾けた、その時だった。
部屋の隅にある通信用の魔導具が、けたたましいアラートを鳴らしたのは。
『――緊急依頼! 緊急依頼!』
ギルドからの直通回線だ。
『国境の砦にて、異常気象発生! 連日の熱波により、駐留兵士および遠征中の冒険者が壊滅寸前! 水と食料、そして大量の冷却材を求む!』
国境の砦。熱波。
そして、遠征中の冒険者。
「……奇遇だな」
俺は空になったジョッキをテーブルに置いた。
行商人が青ざめた顔で俺を見る。
「ケントさん、まさか……その場所って」
「ああ。『紅蓮の牙』がいる場所だ」
俺は立ち上がり、ニヤリと笑った。
復讐? いや、違うな。
これはビジネスだ。
そして、プロとしての「格の違い」を見せつける絶好の機会だ。
「乗りかかった船だ。……行くぞ、野郎ども!」
俺の号令に、ミナとルル、そしてベアトリスが一斉に立ち上がる。
その顔に、迷いはない。
「あいあいさー!」
「かき氷、持ってくー?」
「マスター、積み込み準備は万端です。いつでも出せます!」
俺は作業着の襟を正し、宣言した。
「国境まで特急便だ。
熱波で干からびてる連中に、世界最高品質の『氷』を届けてやる!」
「剣が折れた」「ポーションが効かない」
それは呪いではなく、単なる「整備不良」です。
主人公を追放した彼らがどうなっているのか……想像に難くありませんね。
次回、いよいよ彼らのいる国境へ向かいます。
干からびそうな元仲間たちの前に、キンキンに冷えたトラックで乗りつける。
圧倒的な「文明の差」を見せつける、最高の展開にご期待ください!
次回、第11話は
【 明日の 18:10 】に更新します!
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【読者の皆様へのお願い】
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「かき氷美味しそう!」「ざまぁ展開キター!」「続きが早く読みたい!」
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明日も全力で更新します!
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※本作品は、執筆の補助・推敲にAIツールを活用しています。




