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⑤死神が嫌いな僕は、ただ街を歩く  作者: 志に異議アリ


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8/9

冥界




瓦礫と黒煙が舞う街の中央で死神の黒影が禍々しく揺れる。


倉田は静かに踏み出し、非物質の衝撃波を放つ。


死神の黒影はすり抜けるようにして軽くかわすが、瓦礫を巻き込んだ衝撃が建物の壁を打ち壊す。


佐々木は倉田を真っ直ぐに見据え、その静かな意思を掴み取ろうとした。

流れる闘気をなぞり、同じ一撃を繰り出そうと身を震わせる。


だが――力は散じ、形を結ぶことなく霧散する。

届かない。まだ倉田の境地には……



かわりに巽は死神の周囲を縦横無尽に跳躍し、黒い霧の触手を斬り裂き、瓦礫を粉砕して突破する。


倉田の攻撃に呼応するように、爪が閃き、空気ごと裂く鋭撃で死神の防御に亀裂を刻む。


砕け散った破片は弾丸のように四方へ飛び散り、死神の注意を強引に奪い取った。



一方、少し離れた位置に構える

ルナは、街の屋根に立ち、両手で複雑な魔法陣を描く。


時の魔法を用いて、瓦礫や黒煙が落ちる速度を遅くしつつ、火の玉や雷撃、氷の槍など多彩な攻撃魔法を連続でぶつけるが奴には手応えが無かった……


ノックスを睨みつけ、完膚なきまでに叩き潰すと決めたルナが、禁忌の詠唱を解き放った……



闇を裂くように、ルナの手が奔る。


次の瞬間、空間が悲鳴を上げ――

「冥界との狭間の扉」がこの世に叩きつけられた。



その歪みにより攻撃は鈍り、建物や地面に激突して跳ね返される。



死神は怒りに満ちた笑いをあげた……


ルナは魔力を集中させ、「冥界との狭間の扉」を死神の位置に焦点を合わせ、攻撃を追撃するタイミングを巧みに調整する。



倉田の次に出した衝撃波が死神を押し、扉の前に死神を追いやる……


死神の周りの黒影はねじれ、「冥界との狭間の空間」に体全体を吸い込まれた……



かに見えた



その刹那、扉から手が伸びる……倉田を手繰り寄せ


「おまえも道連れだよーん!」と執念に燃える叫びと共に、その姿は闇に呑まれ、跡形もなく消えた。









ハっと巽も佐々木もルナも息を飲んだ……


一瞬……時が止まった……


予測不可能な事態に皆対応できなかった……




街は一瞬の静寂に包まれる……




ルナ「いやああああ!!」


巽「おいっ!ルナ!どうなったんだ!」


ルナ「ルアン!ルアン!」



地上から見上げていたが、ようやく回復魔法で飛べるようになったアルバがゆっくりとルナの肩に乗り呟く

「そんな……」


ルナ「ルアーーーン!」


佐々木「倉田さん戻りますよね?ねえ?巽さん?」


巽「おい!どうにかしろよ!」


ルナ「……」


巽「もう戻れねえのか?」




ルナ「……どうしようヴァルド……冥界送りの魔法は送るだけなの……」


巽「そんな……」


佐々木「倉田さんが居なくなる……」


佐々木「イヤだ!イヤだ!イヤだ!イヤだ!僕のせいだ!僕がミスらなければ!ああっ!!」


巽「……」


ルナ「……ルアン……うっ……」










瓦礫の中、嗚咽の声だけが響き続けた……




どのくらい時間が過ぎただろう……


ルナは膝を抱え、アルバは肩に乗って震えている。


巽も佐々木も、ただ呆然と泣きながら立ち尽くし、空の裂け目を見上げていた。



しかし、微かに……風の流れに混じるように、低く、かすかな囁きが佐々木たちの耳に響いた。



『守れ……』



佐々木は思わず固まったまま、目を閉じる。


そこには倉田の意思が残っていた。街を、仲間を、そして人々を守れという強い想い。


佐々木は胸の奥で決意を固めた。

「……倉田さんの意思は、僕が受け継ぐ」


巽は無言のまま、佐々木に賛同したかのように隣を歩く。


アルバもルナの肩でそっと息を整える。


瓦礫の中を残された者たちは


一度互いに目を合わせ……


二度と振り返らずに別々の道へと歩き出した……





















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