到着
山道を駆け抜ける倉田の足取りは、静かだが確実で無駄がない。
後ろには佐々木と巽が続く。
やがて街の輪郭が遠くに見える。瓦礫の山と黒い瘴気の柱が、闇の中で不気味に揺れる。
「……あれが、街の中心か」倉田は低く呟く。
佐々木が息を切らしながら聞く。
「……あそこなんかすごく気持ち悪い!」
巽も険しい顔で頷く。
「ノックスの仕業だな……」
倉田は視線を細め、黒く禍々しい影の中に動きを見つける。
街の瓦礫の中で、ルナが魔法を放ち、アルバを守ろうと必死に戦っている。
アルバの体は深い傷を負い、ルナの膝から崩れ落ちそうになっているのが見えた。
「……くそっ」
倉田は静かに拳を握る。
「行くぞ」低く告げ、山道を駆け下りる。佐々木と巽も同時に加速する。
瓦礫の間を縫うように進む倉田は、時の魔法で街の時間が遅延する中、アルバを守るルナの姿を見極める。
死神の視線がルナたちに向く。
倉田の存在に気づくと、黒衣の影が揺らめき、わずかに動きを止める。
「……来たか」
死神は小さく笑い、興奮を抑えきれない声で囁く。
「クックックッ……面白くなってきたねえーん」
佐々木は倉田の隣で、息を整えながらも戦闘準備を整える。
「……今度こそ、逃がさない……」倉田の目に、冷たくも深い決意が光った。
瓦礫が降り注ぐ街の中で、倉田たちはルナとアルバの元へ駆け寄る。
アルバを抱きしめたままの
ルナが倉田の存在に気づき、ホッと小さく頷く。
「ルアン来てくれたのね……あ
あなたは……あの時の野良猫?
ルアンといる……まさかヴァルド?」
巽はやれやれ……という顔で頷く。
倉田は瞬時に判断する。ルナの時の魔法を補助し、アルバの回復をサポートするには、自分たちが先に加勢するしかない。
瓦礫と瘴気に包まれる街の中、倉田たちの影が差し込み、戦場は新たな均衡に向かい始めた――




