間に合いますように……
ルナは息を整えながら、街を包む瘴気の渦を凝視する。
「……あの黒い影、あの魔力……あの甲高い声……」
アルバは無言で空を睨み、羽先を風に翳す。
「……奴だね」ルナは静かに呟く。
……死神ノックスがこの街に現れたことを、直感で理解したのだった。
まさかルアンに何か……
―――
遠く離れた山中の廃屋では、倉田はルナの街に何かが起きたことを察知していた。
静かに眉をひそめる。
「ルナの街……何か起きたようだ。まさかあいつか……」
佐々木
「……さっき言ってた死神です?」
倉田は答えず、山道の地形を思い描きながら慎重に経路を決める。
「影伝いで行く……佐々木、日光には当たるな行くぞ」
巽は木の枝に身を隠し、尾を細めながら空気の流れを読んでいる。
「奴の瘴気……遠くても感じられる。あいつだ」
日が傾き、山の影が長く伸びるころ、倉田たちは街の外縁に到着する。
瓦礫の煙が遠くに見え、黒く禍々しい瘴気が夜空に揺らめく。
「……ああ、奴はやはり手強い」倉田は低く呟き、佐々木に目配せする。
佐々木は影に潜みながら倉田の背を見つめる。
「……俺たちで止められるのか……?」
巽は静かに身構え、尻尾を細めて闘気を高める。
「止める。奴をここで放置するわけにはいかない」
遠く、街の中心では死神の黒衣の影がゆらめき、低く笑う声が風に乗る。
「ふふふ……魔女も大した事ないねえーん」
その声に応えるように、倉田は佐々木と巽と共に先を急ぐ。
「……ルナ」




