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彼女に捨てられて仕事もクビになった俺は、ヤンデレ金髪巨乳女子高生に拾われました  作者: 湯島二雨
第21章…修業

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学校に復帰しました

 俺は、中条賢三さんの弟子になった。

今はまだ病み上がりということで本格的な修業は来週から始めることになった。


そして、今日から学校に復帰である。

楓ちゃんと一緒に、星光院学園の校門をくぐる。



「涼馬さーん!!!!!!」



つばきちゃんが全速力で駆け寄ってきた。楓ちゃんの前ということで俺は反射的に避ける。


楓ちゃんはつばきちゃんの肩をそっと持って、そっと俺から引き離す。その動きは優しい感じなのに凄まじい力強さを感じた。



「なんですか、中条会長」


「ちょっと不幸な事件があった関係で、念のために涼くんの半径3メートル以内に近づかないでほしいのです」


「私、涼馬さんの友達なんですけど」


「親しい関係だからこそ、信用できない部分もあるということです」



元カノが原因であんなことになったからなぁ……近い関係な相手こそ徹底的に警戒する楓ちゃんのムーブも仕方ないといえば仕方ない。

つばきちゃんは元々楓ちゃんのブラックリストに登録されているみたいだしなおさらだ。



「そうだ、聞きましたよ涼馬さん! 大変だったそうじゃないですか! 暴力団みたいな連中に山奥に誘拐されて暴行を受けたって!」


野田グループもその情報得ているか……できる限り知られたくなかったけど仕方ないか。


「大丈夫なんですか涼馬さん! 眼球破裂したりとか四肢切断されたりとかしませんでしたか!?」


「されてないされてない。見ての通り五体満足だから」


腕や足を振り回して、健在であることを示す。

つばきちゃんはホッとした表情をした。


「よかったぁ~。私心配で心配で、夜しか眠れませんでしたよ」


「夜眠れてるならよかったよ。心配かけてごめん」



「あの、無事が確認できたんだからもういいですよね? 行こっ、涼くん」


グイッ


「わっ!」


「あっ、待ってくださいよ涼馬さん!」



楓ちゃんが俺の腕を引っ張り、つばきちゃんが追いかけてくる。

山奥に連れてかれた時はどうなることかと思ったが、こうして今の職場に戻ってこれて本当によかった。楓ちゃんのおかげだ。



 俺は楓ちゃんのクラス、2年B組にやってきた。

1限目から自習ということで、俺が先生の代わりの仕事を再びやることになった。



「安村」


「あ、堀之内さん」



教室に入ると、堀之内さんが歩み寄ってきた。楓ちゃんは警戒心のオーラを最大にして堀之内さんを睨んだ。



「安村……悪かった」


「は?」


復帰早々、堀之内さんに深く頭を下げられて俺の頭は謎しかなかった。



「え、何? どういうことだ? なんで堀之内さんが謝るんだ?」


「貝塚メノウにやられたんだろ?」


「! 貝塚を知ってるのか?」


「知ってるも何も、貝塚メノウはあたしの親戚だ」


「そうなの!?」


俺はたまげた。楓ちゃんは『ふーん……』って感じで反応薄かった。



「貝塚グループってのは堀之内グループの傘下でな、政略結婚とかもしてるくらい関係が深いんだ」


貝塚グループって堀之内さんのところの下だったのか……

そういえば、中条グループをライバル視しているという共通点はあった。楓ちゃんの視点だと特に眼中になさそうだというところも共通している。



「あたしの母の姉の夫の弟の妻の姉の息子、それが貝塚メノウなんだ」


「いやそれほとんど他人じゃないか? なんでそれで堀之内さんが謝る必要があるんだ?」


「しかし、あたしと関係のあるヤツが安村を傷つけたというのがな……バカな親戚が迷惑かけた。本当にすまない」


「堀之内さんほとんど関係ないからマジで気にすんな。貝塚メノウは楓ちゃんがやっつけてくれたし逮捕されたし、それで終わりでいいよ」


「御曹司が逮捕されたことで貝塚グループも終わりに向かっていて、堀之内グループも縁を切ろうとしている……だから確かにそれで終わりといきてぇところなんだが、でもあたしの気が済まねぇんだ。

安村! 何かあたしにできることはねぇか!? たくさんお詫びをしてぇんだ!」


「いやいいってそんなの……」


俺が遠慮したところで楓ちゃんがズイッと割り込んで俺の前に立った。俺を庇うような感じになった。



「堀之内さん、悪いけど涼くんのことなら中条グループだけで全部間に合ってるから。ハッキリ言って他のグループの助けとか一切不要だから。

キミにできることがあるとすれば、極力涼くんに近づかないようにしてほしいな」


「……そ、そうか……」


「じゃあ、そろそろ授業が始まるから席につかないとね」


楓ちゃんは一番真ん中の一番前の席に、堀之内さんは窓際の一番後ろの席にそれぞれ座った。



「……なぁ、楓ちゃん」


「なに? 涼くん」


「つばきちゃんも堀之内さんも心配してくれただけなんだから、ちょっと言い方冷たかったんじゃないか?」


「……ごめんなさい。でも私、涼くんを独り占めしたいから……今は、特に……」


「ッ……!!」



頬を赤く染めて上目遣いで見つめてくる楓ちゃんが可愛すぎてあっさり俺の心臓は撃ち抜かれた。

ああ、メロメロになりすぎだろ俺……もっと余裕を持たないと楓ちゃんにふさわしい男になれんぞ……!

楓ちゃんのために強くて立派な男になると誓ったが、道のりはまだまだ遠そうだ。




―――




 今日の学校の仕事を無事に終え、俺と楓ちゃんが乗った車はいつもの帰り道を走る。



「涼くん、復帰初日はどうだった?」


「ああ、何も問題ないよ」


「そっか、よかった」



今日は楓ちゃんと距離が近い仕事が多かった。決して楽な仕事ではなかったが、俺もいつもより幸せで充実した時間を過ごせた。



「……涼くん……」


「どうした?」


「……大丈夫……?」


「……!」



そうか、俺がずっと落ち込んでいたのを楓ちゃんも気づいてるんだったな。

楓ちゃんは心配そうに俺の顔を覗き込む。車の揺れで髪がふわりと揺れる。夕日に照らされた楓ちゃんが、とても可愛くて、美しくて、艶かしくて……俺の心臓は激しく強く高鳴った。



「ああ、もう大丈夫! 心配かけてごめん!」


俺は自分の胸にドンと拳を当てて、楓ちゃんの美しい瞳をまっすぐ見た。


もう、吹っ切れた。もう二度と迷わない。もう二度と余計なことは考えない。

楓ちゃんが好き、楓ちゃんのために生きる、楓ちゃんに俺のすべてを捧げる。

俺の中にあるのはそれだけだ。


楓ちゃんは柔らかく微笑んだ。

キスしたくなる唇だ。



「……うん、もう大丈夫そうだね。でも、もっと元気になってほしいな」


「え、もっと?」


「うん、もっと。私はワガママだからね、涼くんがもっともっと元気になってくれないと気が済まないの。

私がもっともっと元気にしてあげる……」



―――スッ……


「!」


スルリ……


「~~~……!」



俺の手の甲の上に、楓ちゃんの小さくて白い手が重なる。

そして指と指がスルリと絡まる。指の動きがエロい気がする。


楓ちゃんのしなやかで柔らかな手の感触が……

これじゃ別の部分が元気になってしまう……いや、もうすでに元気になっていた。


俺はあっさり悩殺される。やはり強くて立派な男になる道のりはまだまだ遠そうだ。


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