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彼女に捨てられて仕事もクビになった俺は、ヤンデレ金髪巨乳女子高生に拾われました  作者: 湯島二雨
第19章…話

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メノウとかいう男が登場しました

 ツーブロックな髪型で派手なピアスをつけて、ニコニコと笑顔の男だった。

一目見ただけで俺なんかより遥か格上の男であるということはわかった。

イケメンだしスタイルも良いしファッションも超オシャレだし高貴なオーラを醸し出しているし、まあモテるんだろうなぁ。


……で、誰だこいつ。

俺は全く知らない。見たこともない。


俺の知らない男が、間違いなく雲母の名前を呼んだ。そして雲母に手を振っている。

こいつの笑顔で、白い歯がキラリと輝いている。

うん、ちょっとイラッとした。マジで誰。



「メノウ~!」



雲母はそう言って、手を振り返した。

メノウ? 何それ? この男の名前か? マジで知らん。


雲母の顔を見る。その男を見る雲母の顔は赤くなっていて、女の顔をしていた。

直後、雲母はその男に駆け寄っていった。



「メノウ、会いたかったわ!」


「俺も会いたかったよ、雲母」



俺と再会した時と同じことを言って、雲母は男に抱きついた。

男も雲母をしっかりと抱きしめ返した。



……なんだこれ……

何を見せられているんだ、俺は……呆然とするしかないんだけど。



「……雲母……その人は……?」


俺は雲母に問う。

もうなんとなく察しはついてるが、完全にハッキリさせておきたい。


雲母は男に抱きしめられながら俺を見て、余裕な笑みを向ける。



「あたしの新しい彼氏よ」



()()という言葉を赤い唇でハッキリと言った。


…………はぁ、やっぱりそうか……



彼氏いるんかーい!!!!!!



と叫びたい気分だった。


うん、まあ、俺と雲母はもうとっくに別れてるんだし、新しい彼氏を作ってよろしくやってるのは何も問題ないと思うよ。ハグもキスもセックスも好きにすればいいんじゃないの。


でもさぁ……だったら俺の前に姿を現すんじゃねぇよって話だ。なんでわざわざ元カレの前で見せつけるようなことしてんだ?

金目当てであることが判明したけど、彼氏がいるのにヨリを戻そうとか言ってきやがって、マジでふざけんなよ。マジで何なの? 元カノが会いに来てくれて一瞬でも嬉しいと思ってしまった俺がガチでバカみたいだ。


()()()()のためにオシャレに気合い入っていたらしいが、()()()()って俺じゃなくてそいつのことだったんだな。そうかそうか。


本当にアホらしい、瞬間移動の能力が欲しいと願うくらい早く帰りたい。

瞬間移動は無理だができる限り早く帰ろうとする。しかしそこでメノウとかいう男が目の前に立ちはだかった。



「お前が雲母の元カレ、安村涼馬か。雲母さぁ、こんな弱そうでパッとしねぇ男と付き合ってたのかよ~。雲母の黒歴史確定じゃん」


何こいつ感じ悪っ。初対面の人間に言うことがそれかよ。

この男、登場してからずっと笑顔のままだけどそれがなんとなく気味が悪いと思った。


「ごめんね、一時の気の迷いってヤツよ。マジで黒歴史だわ」


俺と付き合ってたことが黒歴史だって雲母も肯定しやがったよ。

黒歴史はこっちのセリフだ……! ……いや、もうどうでもいい。雲母に関することすべて、全部どうでもいい……



「……確かに俺は元カレだがもう関係ねぇよ。どいてくれ」


「おい待てよ、帰さねぇよ?」


「なんでだよ、関係ないって言ってんだろ。勝手に彼女とイチャイチャしてろよ」



「関係ないだと? 寝ぼけてんのかお前。

たった今、()()()()()()()()()()()()()()じゃねぇか。

他人の女に手出しておいて、関係ない? ナメてんのかてめぇ、ぶっ殺すぞ」



…………

……


……あぁ……そういう感じ……

美人局的な感じ……


はぁ……マジでくたばれ。



そうだなぁ……()()()()()()()()()のは確かに事実。その点に関しては何も疑いようがない。

ヤってるかヤってないかとかじゃなくて、ラブホに入った時点でもうアウト……


……はぁ~あ……世界の残酷さを嘆きたい。



「……一応言っておくけど、ラブホに連れ込んだのは雲母の方だぞ。腹パンされて無理やり連れ込まれたんだ。それにただホテルに入っただけで何もやましいことはしてないぞ」


たぶん無駄だと思うけど一応真実を言う。

どんな状況でも自分の言い分をちゃんと言うのは大事だからな。


すると、雲母がうるうると瞳を潤ませてメノウを見た。



「違うわ! あたし、こいつに無理やりラブホに連れ込まれて犯されたのよ!

ひどいのよ、最低なのよこいつ! うぅ……ぐすん……」



あ……!? 雲母お前マジかよ……それはないわ雲母!!


雲母は俺を指差しながらぐすんぐすんと泣いてるような仕草をする。

泣く演技やめろ、悲劇のヒロインぶってんじゃねぇよ。ついさっきまでそんな素振り1ミリも見せてなかっただろうが、なんて白々しいんだ。



「てめぇ……」


こんなミエミエの白々しい演技を真に受けたのか、メノウの殺意の視線が俺を突き刺した。

完全に俺が悪者ということになった瞬間であった。



「てめぇ、死ぬ覚悟はできてんだろうな?」


メノウは拳をポキポキと鳴らした。


これはシャレにならん、本格的にヤバイぞ俺。

さすがに命の危険を感じて脳内が大パニックと化している。



「待て! 待ってくれ! ヤってない! ヤってないから!! 頼むからちょっと待て!!」


「雲母を泣かせた罪は重いんだよ。ぶっ殺されたくなかったら慰謝料で100万よこせ」


お前も金要求してくんのかよ!!

しかも要求してくる金額も同じじゃねぇか!



「ああ、ダメよメノウ。そいつ金持ってないって」


「あぁ!? 使えねぇなこいつ!!」



おい雲母、泣く演技はどうした。もうケロッとしてんじゃねぇか。


まあ、彼氏もグルって感じだな。

まず雲母がホテルで100万払わせて、それからホテルを出たところを彼氏が恐喝してさらに100万脅し取るつもりだったんだろうな。

合計200万かよ、完全なる犯罪だろうが。



「金ないってことでもう俺は用なしだろ? じゃあもう帰っていいよな?」


そう言った瞬間、俺は猛ダッシュで逃げようとする。

が―――



―――ドスッ!!!!!!


「ぐうっ……!?!?!?」



また鳩尾……

メノウの一撃が俺の鳩尾にめり込む。雲母にやられた時より数段重くて痛い。

同じ場所を一日で二度もやられんなよと自分でも思うけど、速すぎて反応できなかった。

俺はその場でうずくまってゲホゲホと大きく咳き込んだ。



「金ねぇってんならしょうがねぇな。ちょっと来てもらうぜ」


グイッ!


メノウに襟を掴まれ、ズルズルと引きずられていく。呼吸するのもロクにできない今の状況では何も抵抗できずされるがまま。


誰か助けてくれないか……? 周りに人はいないこともないけど、誰も気にも留めない……



近くに停めてある車があって、俺は後部座席にぶち込まれ、バンッとドアが閉められる。


この車、雲母と再会した時に雲母が運転してきた車だ。彼氏の車だったのか。

そういえば雲母は車持ってないし自分で買うような女じゃなかった。雲母が車に乗ってきた時点で怪しいと思えよ俺のバカ。

元カノに再会できて大混乱して、簡単なことを見落としまくっていた……



運転席にメノウが、助手席に雲母が座って、そのままブロロロと発進した。



なんだよ……なんだよこれ。まさか誘拐? 拉致?

マジでなんでだよ……マジでふざけんなよ!!!!!!


怒りを爆発させたかったが俺は鳩尾の痛みでしばらく悶絶することしかできなかった。

これはマジでキツイ、苦しい。回復するのに時間がかかる……


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