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彼女に捨てられて仕事もクビになった俺は、ヤンデレ金髪巨乳女子高生に拾われました  作者: 湯島二雨
第19章…話

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なかったことにはできません

※涼馬視点




―――




 「おはよう、涼くん」


「……おはよう、楓ちゃん……」



楓ちゃんとセックスをしてしまった、次の朝。

目覚めた時、俺の布団の上に楓ちゃんが乗っていた。

そしてたわわな胸の感触……昨日、俺が好き放題に揉みしだいた胸……朝っぱらから情欲を煽られた。


とりあえず今は怒ってないみたいだな、よかった。怒ってる時はタックルみたいな起こし方をするからな。



楓ちゃんと交わったことを猛烈に意識してしまい、俺は恥ずかしくて目を合わせられない。

でも楓ちゃんはいつも通りの感じで、可愛い微笑みを浮かべていた。



「朝ごはんできてるよ、起きて」


「あ、ああ……」



楓ちゃんはスタスタと歩き出す。俺は布団から起き上がる。

意識してるの俺だけか……? 情けないし恥ずかしいな俺は……


……と思ったけど、歩く楓ちゃんの後ろ姿をよく見ると、耳まで真っ赤に染まってるのが見えた。



「涼くん」


「な、なんだ?」


「勘違いしないでほしいんだけど、私、痴女じゃないからね?」


「えっ?」


「昨日は高井さんに煽られて悔しくて嫉妬してカッとなって暴走しちゃっただけで、本当の私は無理やりエッチに誘っちゃうようなはしたない女じゃないからっ……!」


「わ、わかってる! わかってるから大丈夫だよ楓ちゃん!」



思った以上に、昨日のセックスをものすごく恥ずかしがっている様子。

可愛い可愛い可愛い。可愛いって無限に言ってもいいくらい可愛い。可愛いよ楓ちゃん。

こういうことは一途で誠実な男が言うべきことであって俺なんかが言うようなことじゃないとは思うけど、でもやっぱり可愛いものは可愛いよ。可愛いって何回言ったかな俺。



「……キミとエッチしたけどさ……キミの彼女面をするにはまだ早いってことはちゃんとわかってる。

昨日はたくさん浮かれちゃったけど、今日からは浮かれたりせずに気を引き締めていこうと思ってるよ」



楓ちゃんは振り向かないままそう言って、歩いていった。

そうだ、セックスの最中は余計なことは一切考えずに快楽と愛だけに浸ることもできたが、今はそうはいかない。彼女と交わってる時だけは破壊できた分厚い壁が、今はすっかり復活して立ちはだかっている。

その壁を作ったのは俺……すべて俺の責任だから俺が責任を持って壊さないと……そのために俺も人一倍気を引き締めないといけない。




 朝食が終わり、学校に行く準備を始める。

準備しながら悩む。


楓ちゃんとセックスしてしまった俺。一度シてしまった以上、もう取り返しはつかない。なかったことにはできない。何をどうしようと楓ちゃんの大切なバージンは二度と戻ってこない。俺がいただいてしまった、返すことはできない。



で、どうすんの? どうすんだよ俺。雲母は? 雲母はどうするんだよ俺。


あんなに好きだった元カノがヨリを戻したいと言ってくれたんだ。

今さらそんなこと言ってきてすごくムカついたりもしたけど、やっぱり嬉しい気持ちが強い。だって好きだったんだから。

あんなにバッサリ捨てられたのに雲母を責めたりできない、俺本当にチョロイな。本当に女に弱くて悲しくなる。



しかし、楓ちゃんと交わってしまった以上、もう責任を取らなくてはいけない。

セフレとか都合のいい関係とかそういうのは絶対イヤだからな俺は。ヤるのであれば彼女として一生大切にしたいんだ。


大前提として二股は絶対に無理だぞ。ここが一番大事だから何度でも確認しなくてはいけない。楓ちゃんの性格を考えれば不可能と断言してもいい。

惜しい気持ちはあるが雲母は断って、楓ちゃんを選ぶべき。


……しかし、セックスしたから楓ちゃんにしよう! 楓ちゃんの方が気持ちよかったから楓ちゃんにしよう! っていうのもなんだかなぁ……選ぶ理由としてはあまりにも股間に任せすぎ……

じゃあ気持ちよくなかったら雲母にするのかよ? って話になってしまう。


理由がどうであれ、必ず決断しなくてはならない。選ぶ理由なんて、女の子を待たせてしまうことに比べたら大したことはないはずだ。

早く決断しなくてはならないのはわかっていても、プレッシャーで焦ってしまって苦悩の泥沼にハマる……




―――




 学校の仕事が始まる。

今日の仕事は鬼畜な内容ではなかった。普段通りに仕事をする。



「おはようございます安村さん」


「お、おはよう」


休み時間、通りがかった女子生徒に挨拶される。



「安村さん、おはようございます」


「おはよう……」



女子生徒の挨拶に応える度に、チクチクとした心の痛みが生じる。

俺は一応この学校の職員だということを実感する。


なのに俺は、生徒に手を出してしまった。しかも生徒会長に。

こうして学校にいるとやらかしの重さを痛感する。後ろめたさで俺は頭を抱える。




 休み時間が終わり、授業が始まる。静かになって俺は1人で仕事を行う。



「涼馬さん」


「つ、つばきちゃん……!」



その時、真正面から堂々とつばきちゃんがやってきた。



「ちょっとつばきちゃん、今は授業中だぞ……」


「授業中だからこそですよ。前回は中条会長に邪魔されてしまいましたが、今度こそ邪魔は入りません。

言いましたよね、徹底的に涼馬さんを攻めるって……」



つばきちゃんは上目遣いで俺を見つめて、女の顔をしていた。


俺が解決しなくてはならない女の子との関係は、楓ちゃんと雲母だけじゃない、つばきちゃんもだ。



「ふふっ、涼馬さんと2人きりになれる時を待ってましたよ……

―――って、涼馬さん!? なんで逃げるんですか!?」



つばきちゃんが話し終わる前に、俺は全力で逃げていた。


俺が逃げる理由は二つ。

一つは、楓ちゃんとセックスをしてしまったので他の女の子と顔を合わせるのが気まずい。

もう一つは、つばきちゃんの気持ちを知ってしまったから。俺はつばきちゃんとあまり関わるべきではない。下手に関わるときっとつばきちゃんを傷つけてしまう。


ごめん、つばきちゃん。もうちょっとだけでいいから待ってくれ。

早く自分の気持ちに決着をつけて決断して、必ず自分の答えをつばきちゃんにも伝えるから。



「待ってください涼馬さん!」


つばきちゃんは追いかけてくる。またしても追いかけっこが始まった。

昨日も楓ちゃんに追いかけられたばかりだし、そういえば堀之内さんにも追いかけられたことあったな……3人の女の子に追われるんか俺。なんだこれ。


つばきちゃんも足速いな……堀之内さんより速いかもしれない。

でも楓ちゃんよりは遅い。楓ちゃんと追いかけっこをした時よりは少しは余裕を持って逃げられる。



俺は男子トイレに逃げ込んだ。個室に入り、ドアも閉める。

よし、これで女の子のつばきちゃんは追ってこれまい……さすがに男子トイレには入ってこないだろ……



「どこに逃げても無駄ですよ~、涼馬さん」


「ぎゃああああああ!!!!!!」



個室トイレの上の方に隙間があって、その隙間からつばきちゃんがヌッと顔を出してきた。


楓ちゃんもそうだったがホラー展開やめろって。心臓に悪いって。



「ダメですよ涼馬さん、個室のドアが閉まってるのここだけなんですからすぐに居場所わかっちゃいますよ」


「ちょっ、つばきちゃん! ここ男子トイレだから! なんで普通に入ってきてんだよ!?」


「何を今さら。お忘れですか、私前にもこのトイレに入ったことありますよ」


「ああ、そういえばそうだったっけか……だけど一度入ったことあるからって次も入っていい理由にはなってないぞ!?」



「涼馬さん、なんで逃げたんですか。傷つきますよ」


「……ごめん……」


「まあ涼馬さんとの追いかけっこちょっと楽しかったからいいですけどね。

で、トイレの鍵開けてくれませんかね?」


「いや、それは……」


「開けてくれないというのなら私ずーっとここにいますよ、永遠に」


開けるしかねぇじゃねぇかよそれは。



俺は鍵を開ける。

つばきちゃんが個室に入ってくる。



「狭い部屋で2人きりはドキドキしますね、涼馬さん……」


「っ……!」


わかってたけど逃げ場ないってこれ……トイレに逃げ込んだの悪手だったよ。



―――ブオオオオオオ!!!!!!



「きゃーっ!」


「あ……」



そこで凄まじい強風が発生して、つばきちゃんを吹き飛ばす。


そういえばこのトイレ、俺以外の人が使おうとすると強風が出る仕組みになってるんだった。楓ちゃんがそう設定した。



ドカッ!


吹き飛ばされたつばきちゃんは壁に叩きつけられた。



「大丈夫かつばきちゃん!」


「これでもけっこう鍛えてるんで大丈夫ですけど……」


「っ……!」



スカートが捲れてつばきちゃんのパンツが見えてしまっていた。俺は慌てて視線を逸らす。

今回は黒だった。前にもこんな展開あっただろうが、お約束かよ。


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