楓ちゃんの大切なものを奪ってしまいました
―――
―――俺は、我に返った。
ベッドの上には、仰向けになっている楓ちゃんの姿があった。
彼女は動かない。だけど時折肌が少しだけビクビクッとしている。
顔は真っ赤に染まっていて、汗もかいていて、恍惚とした表情で瞳は蕩けていた。
服は着たまま。でも衣服の乱れがあって、仰向けでもボリュームのある豊かな膨らみの上に、俺の白濁の粘液がぶちまけられていた。
やや激しい呼吸で上下する豊かな胸。ついさっきまで俺の精巣の中に詰まっていたソレは、楓ちゃんの巨乳の曲線をドロリと伝っていた。
どこからどう見ても、事後。
俺は、楓ちゃんとセックスをした。
……やってしまった……ヤってしまった……
いい歳して付き合ってるわけではない女の子と、しかも女子高生と身体を重ねてしまった……本当に何やってんだ俺は……
いくら楓ちゃんが魅惑的で誘惑が強すぎたとはいえ、なんでヤってるんだよ俺……
こういうことはちゃんと付き合って、一生大切にする覚悟を決めてからするもんなんだよ。元カノを忘れられず、誰を選ぶのかハッキリしないままやっていいことでは断じてない。
まともな男なら同じ境遇では普通は手を出さない。なんで俺は手を出してしまったんだ……最悪だ俺……
楓ちゃんはハジメテだと言っていた。処女膜を破ったものと思われる出血が、わずかではあるが生じていた。
俺の先っぽにも楓ちゃんの血が付着していて、楓ちゃんと繋がった証明がハッキリと残されている。完全に言い逃れはできない。
しかも避妊とかしてないし、ナマで楓ちゃんと繋がってしまった。
中には出してないし胸に出したけど、それでも男として大きなやらかしをしてしまったことに変わりはない。
1秒、また1秒と時間が経つ度に、楓ちゃんの大切なハジメテを奪ってしまった罪悪感、ナマでシてしまった罪の大きさが大きく重く圧し掛かる。
俺は頭を抱えてうずくまった。俺は死刑になるべきだ。
「……涼くん……」
! 楓ちゃんが俺の名前を呼んだ。俺はバッと顔を上げて楓ちゃんの顔を見た。
「涼くん……涼くん……」
楓ちゃんは俺に呼びかけているのではなく、ただ俺の名前を口にしているだけのようだった。
その艶やかな唇から俺の名前が出てくることに、強くドキッとさせられた。
「……!」
次の瞬間、胸を締めつけるようなドキッとした反応が俺の心臓に起こる。
楓ちゃんは恍惚とした表情のまま表情を変えることはなかったが、蕩けた瞳からツゥーッ……と涙が流れ落ちていた。
「―――っ……ごめん、本当にごめん楓ちゃん!」
彼女の涙を見た刹那、俺は必死の謝罪と共に頭をベッドに擦りつけた。
「……? どうして涼くんが謝るの……?」
「だって楓ちゃん、泣いて……」
「えっ、私泣いちゃってる……? あ、ホントだ……やだ、恥ずかしい……」
指で自らの涙を掬い取り、楓ちゃんは恥ずかしそうにさらに頬を赤く染めた。
そんな仕草も可愛くて艶かしいと思ってしまった。
「勘違いしないでね涼くん、これは、歓喜感激の涙だから……!
感激して泣いちゃうくらい涼くんとのエッチが気持ちよかったんだ、私……うぅ、ホントに恥ずかしい……」
楓ちゃんは両手で顔を覆うくらい恥ずかしがった。顔から炎が出そうなくらい真っ赤なのが、顔を隠しててもわかった。
「大丈夫なのか楓ちゃん、痛くなかったか?
俺……我を忘れて、無我夢中で乱暴にシてしまった……ハジメテの女の子にするようなことじゃない、あまりにも配慮がなかったんだ。本当にごめん」
「謝らないで……ホントに良かったんだから……
痛みとかは……あった。あったけど……痛みすら幸せだと思えるくらいすごく良かったから。ついに涼くんと繋がれたんだって実感できたから、感極まっちゃったんだよ。
ありがとう、涼くん」
恥ずかしがって両手で顔を覆ったままだったけど、指の隙間からハッキリ見える。
楓ちゃんが笑ってくれたこと。昔の想い出と同じように純真無垢な笑顔を見せてくれたこと。
彼女の笑顔を見た俺は、またまた強くドキッとさせられた。
「ふふふっ……」
「こ、今度はどうしたんだ楓ちゃん」
「だって涼くん、我を忘れたって言ってたでしょ? 我を忘れるくらい私とのエッチにハマってくれたんだなって思うと、すごく嬉しくて……」
「―――っ……!」
今でも陰茎に刻み込まれている、楓ちゃんと交わった感触。生暖かくて柔らかかった……股間にグッと来てしまって俺は両手で股間を覆った。
楓ちゃんの言う通りだ。この世の真理に辿りつけそうなくらいものすごく気持ちよかった。
雲母と同じくらい……いや、それ以上……? 楓ちゃんの方が気持ちよかったかもしれない……
「やっぱり私たち、すっごく相性が良いんだね。相性の良さを確認するのは何度してもいいものだね」
「そ……そう、だな……」
楓ちゃんとの相性の良さ……否定できない。できるわけがない。こんなにもどこまでも満たされたんだから。
俺は、楓ちゃんの余韻でしばらく立ち上がることができなかった。
―――――――――
※楓視点
私は、涼くんに抱かれるために生まれてきたと言っても過言ではない。
ついに、ついに涼くんと初エッチをした。長年抱いてきた願いがついに叶った。
……
…………
「~~~!!!!!!」
さっきまで涼くんと繋がっていたベッドで、私は嬉しいやら恥ずかしいやらいろんな感情を爆発させてベッドに顔を埋めて足をバタバタ暴れさせながら悶えていた。
元カノに会ってからずっと入っていた苛立ちスイッチが、ようやく切れた。
私だって涼くんとエッチした! 涼くんの最新エッチの相手はこの私だ!
ざまあ元カノ!!
もちろん一度交わっただけで元カノに勝ったとは思ってないけど、涼くんとの確かな繋がりを得られたのはすごく大きい。
涼くんの経験相手は元カノだけではなく私も加わった。大きな前進だ。
ふふ……私のベッドに、涼くんの温もりと涼くんの匂いが……
幸せ……
そして、さっきまで涼くんと繋がってた時に着ていた服……
私たちは服を着たままエッチした。その服がそのままの状態でベッドの上に広げて置いてある。
ついさっき脱いで裸になってる私はその服を近くでじっくりと観賞する。
その服の胸の部分には、涼くんの成分が凝縮された体液がべっとりと付着している。
涼くんの成分がこんなにいっぱい……興奮やドキドキで全身が蕩けそうになる。
ああ、洗いたくない。この服そのままで壁に展示して一生保存しておきたい。
そうしたいのは山々だが匂い的にも衛生的にも洗わないわけにはいかなかった。
……保存するのはあきらめるけど、ちょっとだけ……ちょっとだけだから……
私はまたコットンを用意する。一つじゃ足りない、二つ、三つ用意する。
涼くんの体液をコットンに染み込ませる。二つ目も三つ目も、涼くんの染色体を
含んだ粘液をしっかり取り込む。
そしてその三つのコットンを透明な瓶に入れて、ラベルを書いてフタをする。
今までで一番大きな瓶だ。
涼くんに手当てしてもらったバンソーコー、涼くんの唇を保存したコットン、そのとなりに並べる。涼くんがまた増えた。
私はじっくりと時間をかけて観賞する。
「ふふ……ふふふ……」
まだ元カノのことが解決したわけではない。まだ涼くんが完全に私のものになったわけではない。まだまだこれからだ。
それは重々承知している。でも今だけは余計なことは何も考えずに、涼くんのことだけを考えて幸せの余韻に浸っていたい。




