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彼女に捨てられて仕事もクビになった俺は、ヤンデレ金髪巨乳女子高生に拾われました  作者: 湯島二雨
第18章…喪失

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エッチも上書きしたい楓ちゃんです

 楓ちゃんの濡れた瞳……すべての感情を帯びたような視線に、俺は指先まで拘束される。

この彼女の視線が俺の心臓を直接掴んでマッサージしてるみたいに、ドッドッドッドッドッドッと人生最大のドキドキが……


柔らかそうな唇……俺の頬をくすぐるように垂れ下がるゆるふわな金髪……鎖骨付近をぶら下がる高級そうなネックレス……そしてチラリと覗く胸の谷間……

何もかも艶かしい、エロい。ここまで俺を狂喜させる捕縛が他にあるか。あってたまるか。



「涼くん……」


妖艶な唇で名前を呼ばれるだけで、心臓は撃ち抜かれた。

彼女の声、彼女の視線、彼女のいい匂い……彼女のすべてが俺のすべてを熱く蕩けさせていく。



「エッチしようよ」


「!」


「私と」


「!」


「今すぐに」


「!!」



聞き間違いや難聴など絶対に許してくれない。

一つ一つの単語をゆっくりと確実に、俺の鼓膜に響かせていく。


()()()。スケベな俺に一番響いた言葉が脳髄に浸透する。

魅惑の激流に流されていく。流されて流されて、溺れてもがいて沈んでいく。



「か、楓ちゃん……急にどうしたんだよ」


楓ちゃんの魅力の波に沈んだ俺に言えることはそれだけだった。

いくら女の子に飢えまくっている俺でも、何もかもわけわからんまま行為を始めることはない。



「…………」


楓ちゃんは何も言わない。


「今日何かあったのか?」


「…………」


楓ちゃんはやはり答えない。沈黙の時間が長くて不安になってきた。


今日は、楓ちゃんは習い事に行っていたはず。俺は家で掃除をしていた。

それで帰ってきた途端これだ。習い事に行ってる間に何かあったとしか思えない。


俺は頭が良かったり察しが良かったりするわけではないが、最近の出来事を思い返してみれば答えにたどり着くのに時間はかからなかった。



「もしかして……雲母に会ったのか……?」


「……!」



楓ちゃんの表情が変わった。図星のようだ。

怒りや悔しさで滲んだような、そんな表情をしていた。


会ったのか……今日、楓ちゃんと雲母が。

楓ちゃんの核弾頭みたいな性格と、ワガママ放題の雲母。2人が衝突して、何事もなく終わるとは思えない。



「……たまたま高井さんに会って、初めて話したけど……思った以上にガキだった。私より七つも年上だとは思えない。大人になってもあんなにガキな女いるんだなって、衝撃だった」


「……そ、それは……雲母のことは俺が甘やかしまくってたから、俺の責任でもある。本当にごめん」


「別に……涼くんに怒ってるわけじゃない。ただ……上書きしないと気が済まない」


「上書き……?」



「そうだよ、いつもやってるじゃん。いつもの上書きだよ。

涼くんあの女といっぱいエッチしてたんでしょ? だから私ともエッチしてよ、今すぐに」



「ちょっ……ちょっと落ち着け、楓ちゃん」


「私はいつも通り落ち着いてるけど? 私をよく見てよ、別に取り乱したりとかしてないでしょ?」



声の大きさや声のトーンは冷静に感じるけどさ、瞳が……

黒を越えた黒。闇の深淵の闇。自分の思い通りにならないと世界を滅ぼしてしまいそうな、そんな重厚な圧力を感じる。



「ね、エッチしようよ。涼くんいっぱい汗かいちゃったでしょ? キレイに拭いたって服は濡れてて着替えなきゃいけない……どうせ脱ぐんだからちょうどいいじゃん、裸になっていっぱい交わろうよ」


確実に服を脱がざるを得ない状態にするために、元々掃除で汗ばんでいた俺をさらにダメ押しで汗かかせるためにあれだけ追いかけ回したってことか? 策士か。


とにかく楓ちゃんは、本気の本気で言っている。俺も真剣に受け止めないといけない。怖くて逸らしたくなる視線を、逸らしてはいけない。



「涼くん、お願い……」


「~~~……!」



楓ちゃんとセックス……一瞬でも楓ちゃんと交わっているところを想像してしまうと、脳の芯がドロドロに溶けていく性的興奮が爆発する。


楓ちゃんとセックス……スタイル抜群で胸も大きくて超可愛い女の子で、さらにピチピチの女子高生とセックス……

ヤりたい。シたいに決まっている。優柔不断で意志がフニャフニャの俺でも可愛い女の子とセックスしたいという気持ちだけは鋼よりも固かった。威張れることではない。


もうすでに俺の理性は崩壊寸前で、我慢の限界に来ていた。俺の我慢のパワーがあまりにも貧弱である。

楓ちゃんの誘惑に勝てないのは承知の上だがそれにしたってちょっとくらいは抵抗してみせろよ。俺の理性は弱い上に戦う意志すら見せねぇのかよ。


ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ。本当にヤバイ。

手がピクピクと震えてくる。刹那でも気を抜いたら目の前で揺れる極上の乳房を鷲掴みにして荒々しく揉みしだいてしまう。この清楚な服をビリビリに引き裂いてしゃぶりついてしまう。



……ヤっちゃうか? ヤってしまうか? 楓ちゃんがいいって言ってるんだ。だったら一度くらい……



―――いや、待て待て。『一度くらいならいいか』という考え方、非常に危険だ。


楓ちゃんと正式に清いお付き合いをしているのならば……一途に誠実に、生涯を彼女に捧げる覚悟があるのであれば、ここで手を出すのは何も問題ない。むしろ出すべきだ。

しかし俺はそうじゃない。雲母のことをずっと引きずっていて、今この瞬間でも雲母が脳内にチラついてしまっている。その時点で楓ちゃんに手を出すのは失礼千万。


()()()()()()楓ちゃんに手を出したとして、もしも、万が一以下の確率だとしても、他の女の子にも同じことをされたら……その子にも同じように手を出してしまうんじゃないのか?

それはダメだ。性欲で身を滅ぼしてはいけない。



ダメだ―――絶対ダメだ。

俺たちは付き合っていない、俺は彼女と結婚できる立場じゃない。

雲母を想ってる時点でキミと交わる資格なんて―――ない。


俺は成人済みの、大人の男。楓ちゃんは女子高生、未成年……

ここは大人の男として大人の対応をしなくてはならない。女の子のことを真剣に考えて、絶対に手は出さない。

頑張れ俺。誘惑に耐えろ。年上の男の威厳というヤツを見せてやれ。



「あ、あのな、楓ちゃん」


「あのなじゃない」


「いや、ちょっと聞いてくれ!」


「イヤだ、聞かない。言葉はいらない、カラダで示して」



俺のカラダは、あまりにも正直だった。

楓ちゃんの濡れた視線と艶かしい女体がこんなに近くて、すごくいい匂いが俺を蕩けさせて、俺の股間はすでに極限まで膨らんでズボンをビクビクと押し上げていた。

完全に準備万端でいつでも性行為いける状態になってしまっていた。

ちょっと待て、待ってくれ。俺のムスコにはガッカリさせてしまうだろうが、なんとか我慢してくれ。



「大丈夫だよ涼くん。私、処女だから。私のハジメテはキミに捧げるって誓ったんだから。穢れてないから心配しないで」


「いやそんな心配はしてない! 経験の有無とか関係なくキミはキレイだから!

そういうことじゃなくてだな、ていうかハジメテならなおさら今ここでするべきじゃないだろ。雲母にムカついたからとか上書きしたいからとか、そんな理由でするべきじゃない。そういうことはもっと大切にしてくれ」


「大切にしてるよ。私に寄ってくる男はいくらでもいたけど、キミのため、キミのためだけに純潔を守り抜いてきたんだから。

大切だからこそ、キミにすべてをあげるの。私はキミになら殺されてもいいって心から思えるくらいに覚悟を決めてるのに、なんでわかってくれないかなぁ?」


「……っ! 楓、ちゃん……」



俺なんかのためにそこまでの覚悟を……これはヤらない方が失礼なのでは……?


しかし、俺の心には未だに雲母が……何度も何度も消そうとしたのにどうしても消えてくれない雲母の姿がこんなにも色濃く鮮明に浮かぶ……

やっぱり俺なんかに楓ちゃんのハジメテを奪う資格なんてない。



「赤ちゃんがデキても大丈夫だよ、ウチは天下無敵の中条グループだから。私的には願ったり叶ったりだから。キミに責任背負わせたりしないから」


「いやそうはいかないだろ!」


種付けだけして責任は中条グループに丸投げするって? 中条グループだからとかそういう問題じゃない、ありえない。人として、男として終わってる。


やっぱりダメだ。身体を重ねて、その後に付き合えないというのが一番最低なパターン。それだけは回避しなくてはならない。



「私だって本当はもっとゆっくりじっくりと少しずつ関係を進めていきたかった。でも私、もう我慢できないの。もう待てないの!

涼くんの身体にあの女の肌の感触が刻まれてるのを自覚しちゃって、どうしても耐えられないの。あの女とヤってて私とヤってない時間がこれ以上存在するのが本当に無理なの。

今すぐにあの女の色を消して、私の色に塗りかえないと気が済まないの!」


「……ッ!」



ダメだって言え、早く、早く……!

楓ちゃんが好きだからこそ、大切だからこそ、できないって、早く言え!!



「涼くんっ……お願いっ……!」



ふにゅんっ


「!!!!!!」



楓ちゃんが俺との距離をさらに詰めてきて、柔らかい乳房の感触がして、俺の股間を強く刺激した。


無意識に下に下がる視線。

俺の身体に押し当てられて形を変えている乳房、形が変わって押し潰されても豊満な大きさを証明する谷間。そして、ブラジャーもチラッと見えてしまった。


この前洗濯されていて俺がオカズにしてしまったブラジャーと色や柄が同じだった。俺がオカズにしたブラジャーが今、楓ちゃんのたわわな乳房を包み込んでいる……



―――プッツン


瞬間、俺の理性の糸がプッツンと切れた。

あまりにも脆く、あまりにもあっさりと切れた。


大人の対応……? 年上の男の威厳……?

何それ?


今までの無駄に長い葛藤は何だったのかってくらい、簡単に壊れた。

マジで何だったのか。


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