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彼女に捨てられて仕事もクビになった俺は、ヤンデレ金髪巨乳女子高生に拾われました  作者: 湯島二雨
第15章…仕事

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仕事がエグイことになりました

 楓ちゃんなのか? 雲母なのか? どっちなんだ?

それがハッキリしないまま今に至ってしまう愚の骨頂な俺。そしてついに卑しい心が楓ちゃんに知られてしまい、楓ちゃんの機嫌が最凶と化していた。


学校の1時限目が始まる前、俺は俺専用男子トイレの近くで楓ちゃんと一緒にいた。一緒にいるだけで陰嚢が縮み上がっていた。とにかく怖い。



「それじゃあ涼くん、今日の仕事内容だけど」


「あ、ああ……」



楓ちゃんは両手を合わせてニコッと天使の笑顔を見せるが、その天使の笑顔がさらに恐ろしさを上げていた。



「まずはいつものお掃除をちゃんとやってもらうよ。

それをやったあとは、体育館をモップ掛けしといてほしいの。バスケットボールも埃で滑りやすくなってるみたいだから磨いといて。全部ね。

それからグラウンドもトンボがけしてね。トンボをかけたらライン引きもしといて。体育の授業が始まるまでに終わらせてね。

それから食堂もキレイに掃除しといてね。食堂は特にキレイにしておかなきゃダメだよ。

それから、2年校舎の2階の廊下の壁にペンキを塗っといて。古くなって汚れてる部分をちゃんと白くしといてね。

3年校舎の廊下の蛍光灯が切れてるのがあるから新しいのと交換しといて。

あと家庭科室の扉が壊れちゃったみたいだから修理しといて。

花壇の花にも水をやっといて。教科書も運んどいて。ゴミも運んどいて。

これらを今日中に全部やってね。終わらないと帰れないよ」


「……お、OH……」



……怒ってる。メチャクチャ怒ってるぅ……

仕事内容が鬼畜と化している。今まではここまでハードな仕事をやることはなかったのに。今日いきなり鬼難易度になっている。間違いなく怒っている。これはお仕置きである。

それ生徒がやるもんじゃないの? って思う仕事もあるけど、絶対に文句は言っちゃダメだぞ、殺される。



「わかった?」


「わ、わかった……」


「本当にわかってる? 私が今言ったことちゃんと全部覚えた?」


「覚えた、大丈夫」


楓ちゃんの超可愛いボイスで言われたんだ。一字たりとも聞き逃すものか。

可愛い女の子の話は絶対に完璧に記憶する、俺のとりえってこれしかないかもしれない。



「じゃあ、お願いしますね涼くん」


「任せとけ!」



楓ちゃんにお願いって言われたらやらない選択肢などないのだ。

俺はペットだから、楓ちゃんに頼まれたことはどんなことでもやる気が最大だ。


それに、この鬼仕事は今の俺にとってはちょうどいいと思っている。俺は自分で自分が許せないのだ。このくらいの罰は当然だ。


2人の女の子を好きになってしまった二股最低野郎の俺。どうせ最低野郎ならやれることはなんでもやるんだ。

本日のミッション、かなり厳しいが絶対にやりとげてみせる。



 まずは体育館のモップ掛けだな。

モップを持って体育館に参上した俺、もうすでに早くも心が折れそうになっていた。


広い……体育館が広いッ……!!!!!!

知ってたけど再確認、この学校メチャクチャ広いんだった。体育館も例外ではない。

誰もいない今、なおさら広く感じる。


それがどうした。楓ちゃんの頼みなら、世界中だって掃除してやるわ。

俺は気合いを入れて体育館をモップ掛けを始めた。以前この体育館でバレーボールをしていた体操服姿の楓ちゃんを思い出してムラムラとしてしまった。

また俺は……本当に集中力がない。マジで集中しろ。今日ばかりはマジでエロいことを考えてる余裕なんてないぞ。


心の中でうおおおおおおと雄叫びを上げながらモップを走らせた。

これだけでも大変だ。しかし今日の仕事はまだまだあるんだからこれくらいで音を上げるわけにはいかない。



「あれー? 涼馬さんじゃないですか」


「つ、つばきちゃん!?」



モップ掛けをしている最中、体育館につばきちゃんが現れた。

いやつばきちゃんだけではない。女子生徒がゾロゾロと体育館に入ってきた。

もしかして3年H組の子たちか、みんな体操服を着ている。もうすぐ体育の授業の時間か? 早く掃除終わらせないと。


真面目に早く仕事をしなくてはならない俺にとっては体操服姿のつばきちゃんは目に毒だ。できるだけ見ないようにしてモップ掛けを続ける。見ないようにはしてるけど、彼女に言わなきゃいけないことがあるんだった。



「つばきちゃん、さっき楓ちゃんにやられてたよな。ごめんな」


「え? なんで涼馬さんが謝るんですか」


「楓ちゃんの機嫌がすごく悪いのは俺のせいなんだ。だからつばきちゃんがやられたのも実質俺のせいだ。だからごめん」


「へぇ、何があったのかは知らないですけど私は気にしてませんよ」



気にしない、か……つばきちゃんは俺なんかとは違っていつまでもウジウジウジウジするタイプではなさそうだもんな。

俺もつばきちゃんを見習ってあまり気にしない方がいいのか……? いや、二股かけちまってることは気にしろよ。女の子を傷つけかねないことは絶対に気にしろ。気にして気をつけろ。



「それで、今は体育館の掃除をしてくれてるんですか?」


「ああ、楓ちゃんに頼まれてな」


「それなら私も手伝いますよ」


「いや、俺1人でやるからいいよ」


これは俺への罰なんだから、1人でやらなきゃいけないだろう。


「でももうすぐ体育の授業始まりますし、こんな広い体育館1人でやるもんじゃないですよ。私もやります」


そうか、もう授業始まるのか。授業の時間までに終わらせるつもりだったが全然間に合ってないな。だったら俺1人でやるのにこだわってたら逆に迷惑か。



つばきちゃんもモップを持ってきて、俺に並んでモップ掛けをしてくれた。



「つばきちゃん、今日はサボらずにちゃんと授業に出てくれるんだな」


「体育の授業はほとんど出てますよ、私バレーボール部で体育は好きですし。

まあでも今は他の授業にもできるだけ出るようにしてます。涼馬さんが友達になってくれたおかげで、授業に出るモチベがかなり上がってきました」


「……お、俺のおかげ……?」


「はい、涼馬さんのおかげです」



そ、そうか。サボり癖のあった生徒を授業に出るように導けたのか、俺が。

それだけでも俺がこの学校に来た意味はあった。最近自己嫌悪が凄まじかった俺にとって、これは大きな救いになった。


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