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彼女に捨てられて仕事もクビになった俺は、ヤンデレ金髪巨乳女子高生に拾われました  作者: 湯島二雨
第14章…元カノ

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キスも上書きされました

 ゴシゴシ、ゴシゴシ……


俺の頬についた雲母のキスマーク。雲母は真っ赤な口紅をつけてたからすごく目立っていた。

その雲母のキスマークを、楓ちゃんがハンカチでゴシゴシと拭いている。

キスマークをつけたままで学校で働くのも恥ずかしいから、楓ちゃんが拭いてくれるのはまあ助かるんだよ。どのみち俺も学校に着くまでに拭き取るつもりだったし。


拭いてくれるのは良い。良いんだけど……



ゴシゴシ、ゴシゴシ、ゴシゴシ、ゴシゴシ、ゴシゴシ、ゴシゴシ、ゴシゴシ、ゴシゴシ、ゴシゴシ、ゴシゴシ



…………あのー……楓ちゃん?

ちょっと拭きすぎじゃない? 拭くの長くない? 『ゴシゴシ』が多くない?



ゴシゴシ、ゴシゴシ、ゴシゴシ、ゴシゴシ、ゴシゴシ、ゴシゴシ、ゴシゴシ、ゴシゴシ、ゴシゴシ、ゴシゴシ


え、ちょ……まだ拭くの? いつまで拭くの? もうとっくに雲母の口紅は取れてると思うんだけど。

しかも最初は優しく拭いてくれてたけど、拭く動きがだんだん荒々しくなってきたんですけど。痛いんですけど。拭かれてる部分が摩擦で熱くなってきたんですけど。



ゴシゴシ、ゴシゴシ、ゴシゴシ、ゴシゴシ、ゴシゴシ、ゴシゴシ、ゴシゴシ、ゴシゴシ、ゴシゴシ、ゴシゴシ


おい待て! 待てや! 痛い痛い! ほっぺたが焼ける!! 俺のほっぺたで火起こしする気か!?



「楓ちゃん! もういい! もういいから!! そんなに拭かなくて大丈夫だから!!」


「ダメだよ、ちゃんと拭いてキレイにしないと」


「もう十分キレイになっただろ! キレイになりすぎて火傷しそうなんだよ!!」


「ダメ、まだまだ全然拭き足りない。ジッとしてて」


「いや無理! 痛い痛い!!」


「お願い」


「ッ……」



楓ちゃんにお願いって言われると、なんでも言うこと聞いてあげたくなっちゃうけど、さすがに今回ばかりはキツイ。

お願いじゃなくてもはや脅迫なんだよ、楓ちゃんの目が。何よりも暗い瞳が、拭けば拭くほどさらに闇に染まっていってるんだ。



ゴシゴシ、ゴシゴシ、ゴシゴシ、ゴシゴシ、ゴシゴシ、ゴシゴシ、ゴシゴシ、ゴシゴシ、ゴシゴシ、ゴシゴシ



「ああっ……無理……マジで無理……涼くんが他の女にキスされたなんてっ……!

この私がそばにいながらビックリしすぎて止めることができなかったなんて一生の不覚……悔しいっ……!!

拭かなきゃ……丁寧に丁寧に丁寧に拭き取らなきゃ……あの女の痕跡なんて1ミクロンたりとも残さないんだから……!!」



あ、ダメだ。楓ちゃんの気が済むまで終わらないヤツだ。

ゴシゴシ擦られすぎて顔の皮膚剥ぎ取られそうなんだが。剥ぎ取られたら痕跡なんて1ミクロンも残らないね、よかったな楓ちゃん。



ゴシゴシ、ゴシゴシ、ゴシゴシ、ゴシゴシ、ゴシゴシ、ゴシゴシ、ゴシゴシ、ゴシゴシ、ゴシゴシ、ゴシゴシ



「はぁ、はぁ、はぁ……」


本当に楓ちゃんの気が済むまで拭かれた。楓ちゃんが疲れるまで拭かれた。

大丈夫? 俺の顔ちゃんとある? 頬の感覚がもはやないぞ。真っ赤に腫れてることは間違いないぞ。雲母にビンタされた時よりも腫れてるかもしれない。


俺が腫れた頬を抑えていると、楓ちゃんは拭いたハンカチを見ていた。

ハンカチには雲母の赤い口紅がついていた。楓ちゃんはそれを見てこの世の終わりみたいな表情をしていた。


「ああ、このハンカチもう使い物にならない……捨てなきゃ……」


え、捨てんの? 高級そうなハンカチなのに。もったいない。


「ちょ、捨てることはないだろ……ちゃんと洗えば落ちるよ」


「無理。洗濯機に入れることもできない……こんなもん洗濯機に入れたらあの女の成分で汚染されちゃうよ」


そ……そこまで雲母の成分が無理なのか……



ぎゅっ


「!!!!!!」



直後、楓ちゃんは俺に抱きついてきた。

俺の首にしっかりと腕を回して絡みつく。絶対に離さない、何があっても離れないと言わんばかりに。

ここは車の中、車は走行中、運転手さんもいる。それでも楓ちゃんは周りの状況を一切気にせずに俺を抱きしめる。


豊満な胸がむにゅっと押し潰される。至近距離で見つめ合う。俺は照れる。照れさせたら負けゲームなら無敵であろう彼女の視線。

真っ暗に病んだ瞳でも、無敵っぷりは変わらなかった。



―――チュッ



「~~~!!!!!!」



そして、楓ちゃんにキスをされた。さっき雲母にキスされたところと全く同じ部分に、楓ちゃんの柔らかい唇の感触が。


拭かれすぎて頬の感覚がなくなったかと思ったが、楓ちゃんの唇が触れた瞬間に感覚を取り戻した。いや取り戻したどころか以前より感覚が研ぎ澄まされている。

研ぎ澄まされた頬の感覚が、楓ちゃんの瑞々しい唇が触れて離れてぷるんと弾む感触を如実に感じ取り、股間に性的な刺激の信号を送ってドクッと脈動する。


これは……上書きだ。今までにも何度か、他の女の子と何かある度に楓ちゃんに上書きされてきた。今回もしっかり上書きしたのだろう。俺の頬はもうすでに楓ちゃんの唇の記憶しかない。



チュッ


もう一回キスされた。さっきキスされたところとは違う部分に。



チュッ、チュッ


また……キスされた。反対側の頬や、鼻の上に。

もう上書きは済んだと思うが、さらに複数回キスを重ねてきた。一回されたら三回しようというつもりなのかもしれない。



チュッ、チュッ、チュッ、チュッ、チュッ、チュッ、チュッ、チュッ、チュッ、チュッ



「ちょっ、か、楓ちゃんっ……!?」


チュッ、チュッ、チュッ……



今度はキスの回数が多すぎる。頬だけじゃなくオデコにも、こめかみにも、顎にも、顔中至るところにキスを施されていく。


感覚が覚醒して超敏感になっている俺の顔の皮膚。そこに何度も何度も、楓ちゃんの柔らかい唇の感触が押し当てられる。これはもう、唇フェチの俺にとっては大事な部分を愛撫されているのと同じくらいの快感が伴った。



「~~~ッ!!!!!!」


気持ちいい。脳内で性的快楽の汁が止まらず溢れ出てくる。指先までビクビクッと震えた。



楓ちゃんは満足したのだろうか、キスの嵐を止めた。

顔中がキスマークだらけになったであろう俺の顔を見て、楓ちゃんはクスッと妖艶に微笑した。

その表情は何度見ても狂おしいほど好きだ。


楓ちゃんは手鏡で俺の顔を映してくる。

そこには、湯気が出るくらい真っ赤に染まった俺の顔と、楓ちゃんの愛の証が無数に刻み込まれている俺の顔が映し出されていた。


思った通り、いや思った以上に顔中にたくさんのキスマークが。すごく嬉しいけどすごく恥ずかしい。これから学校なのにこの顔は……ただでさえ学校にふさわしくないワイセツ物な俺なのにさらにワイセツにしてどうするんだ。



「楓ちゃん、その、顔拭いちゃダメか……?」


「ダメ。私がいいって言うまでそのままで。ちゃんと私のモノだって印をつけたんだから」


マジなのか……楓ちゃんがそう言うなら黙って従うけどさ。恥ずかしいけど楓ちゃんのキスマークがついてるのは決してイヤじゃないし。人目にかかることさえなければ一生このままでもいいくらいだ。



「さて、キスもバッチリ上書き保存できたところで……涼くん? 私とじっくりとお話しましょうか」


「は……はい」



じっくりお話……聞くまでもなく、雲母のことだ。

正直俺もわけがわかんねぇんだけど、ちゃんと話さないといけない。


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