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彼女に捨てられて仕事もクビになった俺は、ヤンデレ金髪巨乳女子高生に拾われました  作者: 湯島二雨
第11章…上書き

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やっぱり楓ちゃんは嫉妬しました




―――




 その後も俺の謎のモテモテタイムは続いた。

仕事を始めても、女子生徒が通りがかる度にキャーキャー言われた。以前みたいに拝まれたり、サインを頼まれたり……サインくらい別にいいけど、色紙がもったいないとは思わないのか?


「キャー! 安村様ーっ!」


トイレの前でも女子生徒たちに囲まれた。おい、トイレの時くらいはそっとしといてくれ、入りづらいだろうが。


俺ってこの学校じゃ下っ端のはずだよな、雑用係だよな。ほとんど掃除しかしてないよな。それでこのアイドルみたいな扱い、どう考えても異常である。



 お昼休みになっても俺はまた女子生徒たちに囲まれた。

今日は常にスズメバチを追い払ったヒーローとして扱われているようだが、一過性にも程があるだろう。たぶん今だけ、すぐに飽きられて相手にされなくなるとは思うんだが……



「涼くん」


「楓ちゃん!」



いつもお昼に誘ってくれる時間、今日もいつものように楓ちゃんが会いに来てくれた。

いつもと違うのは俺が女の子たちに囲まれているということ……


楓ちゃんは頬を少しプクッと膨らませていた。そしてジッと見つめられる。俺の心臓が飛び跳ねる。可愛い。嫉妬してくれている。可愛いけどあとが怖い。これは今日もあ~ん抜きかな……



「涼くん、いこっ」


女の子に囲まれている状況でも楓ちゃんは何の躊躇もなく突っ込んできて、俺の手を掴んで強引に引っ張り出した。

この手の力、やっぱり怒ってる……




―――




 「涼くんっ、あ~ん」


「あ、あ~ん……」



屋上のベンチで楓ちゃんは箸で卵焼きを掴んで俺の口元に持っていく。てっきりあ~んなしかと思っていたが、あ~んしてくれた。

しかし俺にはわかる。楓ちゃんは笑顔ではあるが若干表情が引きつっていることを。楓ちゃんの可愛い笑顔を何度も見てきたから少しの変化でもわかる。



「楓ちゃん、ごめん」


「え、なんで謝るの?」


「怒ってるなら無理してあ~んしてもらわなくても大丈夫だから……」


「ああ、違う違う! 怒ってるわけじゃないの! 涼くんが謝ることとか全くないから! あ~んはするの! スズメバチから私を守ってくれてすっごく感謝してるんだから! ……でもね……」



楓ちゃんはふぅと一息ついて、憂鬱な表情をした。

その表情に強くドキッとさせられる俺がいた。可愛い女の子の憂鬱な表情、個人的にかなりツボかもしれない。



「……涼くん、すっかりモテモテの人気者になっちゃったね。まさかとは思うけど、この学校でハーレム作れるとか思ってないよね……?」


「思ってない思ってない! これは今だけだから! 少し経てばみんな俺なんて相手にしなくなると思うから!」


「多少は落ち着くと思うけど、涼くんがモテモテなのはずっと続くと思うよ。スズメバチを追い払った功績は消えることはないんだから。

昨日までの涼くんは生徒のみんなに嫌われてて私もなんとかしたいとは思ってた。全校集会で話をしても効果が弱くて私は悩んでた。その問題が解決したのはすごく喜ばしいことだよ。……喜ばしいはずなんだけど……」


「楓ちゃん、我慢しなくていいから。俺はペットなんだから遠慮しないでくれ」


「うん、わかった。見苦しいトコ見せちゃうと思うけど……」


「見苦しくなんかないって。可愛いよ」


そう言うと楓ちゃんは少し顔を赤らめたが、それはそれとして頭を抱えて負の感情を解放し始めていた。



「やっぱりイヤだ……!! 涼くんの良さが学校のみんなに認知されるのイヤだッ……涼くんが認められて嬉しいはずなのにイヤだッ……!! 涼くんがバカにされるのはイヤだけど、涼くんが女にチヤホヤされるのもイヤだ……ああ、気持ちが複雑……グチャグチャな感情を鎮められないッ……!!」



楓ちゃん、病みモードに入る。この状態の楓ちゃんは何度か見たので少しは慣れたけど怖いものは怖い。

頭を抱えてゆるふわな美しく長い金髪を振り乱す。すごく怖いけど、楓ちゃんの精神が不安定な時だからこそ俺は近くに寄り添いたいと思っている。



「……やっぱり涼くんを学校に連れてきたのが間違いだったのかな……縛りつけて家の地下室に閉じ込めた方がよかったのかな……そうすれば他の女の目に触れることは絶対になくなる……私だけが涼くんを独占できる……!」



病んでる女の子のテンプレみたいなことを言い出した。今回の楓ちゃんは相当キているようだ。

真っ黒に染まった闇の瞳でこっちをジッと見つめる。言ってることも目も怖い。俺の陰嚢はまた縮み上がった。



「いや、監禁だけは勘弁してくれ楓ちゃん……ペットだって外に出して散歩させてあげなきゃならないんだよ。暗いところで縛りつけられたら病気になっちゃうよ」


「うん、わかってる……監禁したいと思うことはよくあるけど実際にはしないよ。私だって涼くんを病気にしたいわけじゃない」


監禁したいと思うことはよくあるのか……十分怖いって。実際にはしないとは言ってるけど選択肢にある時点で俺は恐怖する。心の中でなら何を思っても自由だろうけど、監禁に関することだけは心の中でも自重していただきたいものだ。


とにかくマズイな。楓ちゃんの感情次第で最悪の場合監禁まで行きついてしまう。監禁ルートだけは何としても回避したい。



「なぁ楓ちゃん! たまには俺があ~んしてあげるよ! ホラ、あ~ん……」


箸で卵焼きを摘んで楓ちゃんの口元にそっと持っていく。

気持ちが沈んでいる時は食べるのが一番だろと思ってやってみたが、こうしてやってみるとけっこう恥ずかしいな。楓ちゃんはこんなにすごいことをほとんど毎日してくれるのか、すごいな。


あ、今気づいたけどこれ俺が口をつけた箸だし間接キスなんじゃ……

俺はさらに恥ずかしくなったが、楓ちゃんは一瞬の躊躇もなくパクッと食いついた。



「お、おいしいか?」


「……うん……」



恥ずかしそうに照れくさそうにもぐもぐと食べる楓ちゃんの姿は、悶えて吐血しそうなくらい可愛かった。



「楓ちゃん、髪が乱れてるよ」


振り乱されたキレイな髪を直してあげて、さりげなくよしよしと頭を撫でる。


「……涼くん、もっと撫でて」


「っ……」


撫でられて恍惚とした表情を浮かべて気持ちよさそうにする楓ちゃんを見て、股間がドクンッと強く脈打つ。

楓ちゃんの瞳にはゆっくりと光が戻ってきて、落ち着いてくれたと思ったら今度は俺の大事な部分の方が荒れ狂ってしまった。


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