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彼女に捨てられて仕事もクビになった俺は、ヤンデレ金髪巨乳女子高生に拾われました  作者: 湯島二雨
第8章…不在

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ヤンキー女子高生に襲われました

 楓ちゃんが不在の星光院学園、俺はヤンキー女子高生に襲われてピンチ。なんとか平和に解決を……!



「あ、そうだ。堀之内さん、俺に危害を加えたら退学になるって楓ちゃんが全校集会で言ってたぞ! それでもいいのか!」


いかにも小物って感じのセリフで男としてすげぇかっこ悪いとは思うけどこう言うのが一番平和に解決できるかなとは思った。



「はぁ? 知るかよそんなもん。あたしはそんなこと聞いた覚えはねぇぞ」


あ、そういえば全校集会の時、堀之内さんは楓ちゃんに瞬殺されて気絶してたから楓ちゃんのスピーチ聞いてなかったのか。聞いてなかったらノーカン? いやそれはないと思うが……


「本当に言ってたんだよ! 楓ちゃんに逆らうのはやめとこうぜ、な!?」


「うっせぇ! あたしはあんなデカパイ女の権力には屈しねぇ!!」



ダメか……説得失敗。堀之内さんは金属バットで殴りかかってきた。



―――ブオン!!!!!!


「わああっ!?」



俺はすごく情けない声を出しながらも堀之内さんのバット攻撃をギリギリ躱すことができた。

楓ちゃんのマッサージを受けて身体が身軽になってたから避けられた。マッサージを受けてなかったら即死だった。楓ちゃんのおかげで助かった、ありがとう楓ちゃん。


もちろん一発避けただけであってピンチを脱したわけではない。堀之内さんは容赦なく攻撃してくる。俺を殺すまで止まらなくなっている。

逃げるしかない。俺は全力で逃げた。



「待てコラァ!!!!!!」


当然堀之内さんも追いかけてくる。楓ちゃんのマッサージのおかげでちょっとだけ足が速くなってる俺はなんとか逃げる。

逃げるにしてもどこに逃げればいいのか……校内で追いかけっこをするなら学校のことをちゃんと知っている生徒の方が有利だ。


どこに逃げているかもわからずただひたすら逃げる。

全速力で逃げながら校舎の角を曲がった瞬間。



「こっちです!」


!?



校舎の壁から急に扉が開かれて手が出てくる。俺はその手に掴まれて中に引きずり込まれ、扉が閉められた。


なんだここは!? 壁の中に謎の空間があってそこに入れられた。中は薄暗い。



「どこだおっさーん!!」


俺が壁の中の空間にいるとは知らず、堀之内さんは通り過ぎていく。

堀之内さんをやり過ごすことに成功した。やり過ごせたのは喜ばしいんだけど、それでここどこ? 俺をここに引きずり込んだのは誰?



「ふぅ、行ったみたいですね。大丈夫ですか安村さん」


「の、野田さん!?」



目の前にいたのは野田さん。扉を開けて俺を謎の空間に入れたのは野田さんだった。



「野田さんが助けてくれたのか? ありがとう……」


「どういたしまして。なんか騒がしいなぁと思ったら安村さんが必死の形相で逃げてたんで驚きましたよ」


「……ところでこの空間は何?」


「ここは私の秘密基地、とでも言っておきましょうか」


「秘密基地……!?」


「私が1年生の頃だったかな、偶然この扉を見つけまして。なんでこんな空間があるのかは私もよくわからないんですけど、隠れ家にするのにちょうどいいかなと思ってよくここでサボってるんですよ。ここなら全然先生に見つからないのでいいところです」


「サボってるのか……助けてくれたのはありがたいけど授業には出た方がいいよ」


「いいじゃないですか、ちょっとくらい」


ちょっとくらいっていうかめっちゃサボり慣れてる感じだな……大丈夫なのかこの子……

……ていうか今気づいたんだが……



「野田さん」


「なんですか?」


「なんか……近くないか?」


「ああ……この部屋狭いから仕方ないですね。2人はちょっとキツイです」



野田さんとの距離がすげぇ近い。腕と腕が触れ合ってしまうくらいの近さ。

2人入ると必然的に距離が近くなってしまう部屋か……なんといかがわしい。


こうして距離が近いと、野田さんって本当にすごい美少女だなってハッキリわかってしまう。薄暗くてもわかる美貌。薄暗くなかったら眩しいんじゃないかって思うほどだ。

狭い密室で美少女女子高生と2人っきり、非常によろしくない。



「安村さんけっこう大きいですよね。それで場所取るんですよ」


「そうか、ごめん。もう堀之内さん行っただろうし俺もう出ていくから」


俺は扉を開けようとする。

すると野田さんに服を掴まれた。



「……なんだよ野田さん。狭いんじゃなかったのか?」


「別に狭いの嫌いじゃないんで大丈夫ですよ? それより私1人でけっこう退屈なんでちょっとだけ話し相手になってくれませんか?」


「いや退屈なら授業に出ろよ……」


「えーっと、安村さんは誰から逃げてたんでしたっけ」


「堀之内さんって子」


「ああ……私もあまり話したことないですけど目つきや口が悪くてちょっと怖いですよね。でも悪いウワサとかはほとんど聞かないのでそんなに悪い子じゃないと思いますよ」


「まあ……堀之内さんが悪いんじゃなくて俺が怪しいのは事実だし、金属バットで殴りかかるのはやりすぎだと思うけど俺を追い出そうとする子がいるのも仕方ないとは思う。楓ちゃんがスピーチしたけどそれでも俺を認められない子がいるのも当然」


「はは、全校集会の中条会長のスピーチすごかったですね。私も圧倒されてしまいました」


「俺は本当に恥ずかしかったよ」



「……安村さんが中条会長と結婚するって本当なんですか?」



「っ……!? そ、それは……」


なんて言えばいいのか……今の俺では楓ちゃんと結婚する資格はないと断言できるし……でも結婚したくないと言えばウソになるし……

まともな男ならハッキリ否定できるんだろうが俺は楓ちゃんと結婚できるという甘い蜜にまんまと吸い寄せられていく……


俺が苦悩していると、野田さんはクスッと笑った。



「すいません、ちょっと答えづらい内容でしたね。話を変えましょうか。

……あの、ちょっと私の話をしてもいいですか?」


「ああ……」



「実は私、友達いないんですよ」



……え?


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