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彼女に捨てられて仕事もクビになった俺は、ヤンデレ金髪巨乳女子高生に拾われました  作者: 湯島二雨
第6章…愛

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楓ちゃんのスピーチが始まりました

 全校生徒はもう並んで待機してるし、生徒会のみなさんはもうパイプ椅子に座ってるし、遅延させるわけにもいかず俺もマッサージチェアに座った。


楓ちゃんがチェアのスイッチを押して、マッサージチェアが起動。

ウイーンと音を立てながら俺の背中や腰を癒していく。


ああ、気持ちいい。癒される……


いや、癒されてる場合じゃないんだよな今。生徒たちから不満を持たれてるのに俺だけ壇上で癒されてて目立ちまくっている。案の定生徒たちからの冷たい視線が刺さった。トイレの件といい火に油注いでないかこれ。



 マッサージチェアに癒されながら始まる全校集会。なんという意味のわからん状況だ。


校長先生の話が始まった。校長先生は50代くらいの女性だった。

俺の高校時代を思い出して懐かしい気持ちになった。俺の母校の校長先生はすごく話が長くて多くの生徒が寝てたなぁ……この学校の校長先生も話が長いんだろうか。


……と思っていたが校長先生の話は3分くらいで終わった。

次に生徒会長の楓ちゃんが演台に立つ。次は楓ちゃんの話が始まるのか。



『えー、2年B組、生徒会長の中条楓です。生徒のみなさんにお話があります』



楓ちゃんはノートパソコンを操作し、スクリーンに画像を映し出す。

その画像とは、俺だった。俺の写真が巨大スクリーンに映し出され俺は目玉が飛び出るかと思った。

全校生徒の前でなんだよこれは。公開処刑か? いつ撮ったんだこの写真。つい最近の写真だが撮られた覚えがないんだが。



『ご存じの方も多いとは思いますが、彼は安村涼馬様という方で、この学校で新しく働くことになったお方です』


俺の紹介がされて体育館内が不穏な空気に包まれる。まだ来たばかりなのにこの学校でどれだけ俺にヘイトが集まっているのかがわかって辛い。帰りたい。



『男子禁制の歴史があるはずのこの星光院学園で、突然男性が採用されたことに納得がいかない方は多いかと思われます。しかし、これにはちゃんとした理由があるのです』


ちゃんとした理由……? 俺がこの学校に連れてこられた理由にちゃんとした理由があるのか? 俺も知らないぞ。仕事を失って死にかけていた俺に仕事を紹介してくれたってだけじゃないのか?



『私はいずれ必ず、涼くんと結婚します!』



!?!?!?


ちょっ……何言ってんの楓ちゃん!?

それ全校集会のスピーチで言うようなことじゃねぇだろ! しかも俺を採用した理由になってねぇし!


生徒たちがざわつく。そりゃ困惑しかないよね急にそんなこと言われたら。マイクで大きな声で体育館内に響かせてるから余計に衝撃が大きい。



『涼くんと学校でもイチャイチャしたいから連れてきました!』



そんな理由!? いや、まあ……楓ちゃんにとってはかなり大事なこと……なのか?



『私っ……涼くんとずっと一緒にいたいんです! 涼くんと付き合って、結婚して……最低でも子どもは3人欲しいです!』



!?!?!?


なっ……なんでそんなことを1000人以上の生徒の前で堂々と言えるんだ!?

楓ちゃんはメチャクチャ真剣な表情をしている。大真面目に言っているのだろう。楓ちゃんも大概メンタルヤバイな。俺なんて照れすぎてどんどん小さくなってしまうんだが。



『とにかく涼くんのこと、死ぬほど愛しているんです! 私は涼くんのためなら、命だって捧げる覚悟です!』



重い重い重い……!!

重いよ楓ちゃん! なんで命を捧げる必要があるんだよ! 生贄みたいなこと言わないでくれよ! 命は大切にしてくれ!!


俺なんか……命をかける価値なんて微塵もない。


楓ちゃんが暴走している。俺は何度もツッコミを入れて止めたくなったが俺はチキンなんで止められないし動けない。

他の生徒会の方とか先生方とか誰も止めないのか。誰か止めてくれよ。楓ちゃんを止められる人って誰もいないのかな……



『涼くんは、私を救ってくれた神様です。神様なんだから優遇されるのは当然です。生徒のみなさん、どうか涼くんを認めてあげてはくれませんか。涼くんを信じれば救われますよ』



おい、俺とうとう神様になっちまったよ。変な宗教みたいなこと言ってるよ。



『大事なことなのでくり返し言います! 涼くんを認めてあげてください! どうかお願いします!!』



楓ちゃんは深く頭を下げた。

俺が生徒からヘイトを集めている問題の解決方法が、思ったよりも脳筋のパワープレイだった……


楓ちゃんの気持ちは俺にはすごく響いてるしすごく嬉しいけど、どう考えても俺が認められる流れになってねぇよ。逆効果じゃねぇのかこれ。神様だから優遇されるのは当然って……それで生徒が納得するとは思えない。ますます反感持たれるんじゃねぇのか。

……もしかして楓ちゃんって……超ハイスペックだけどわりとポンコツなところもあるんじゃ……そんな楓ちゃんも可愛いけど。



『あ、でも! 涼くんを信じると言っても、涼くんを誘惑するのはダメですよ! 涼くんは私だけのものなんですから!』


その心配はいらないと思うよ楓ちゃん。俺ごときに需要なんてあるわけないからな。



『それとこれが一番大事なことなんですけど、涼くんに危害を加えた者は退学にしますので』


そこまでしなくてもいいだろ……今の状況では生徒に嫌われるのは仕方ないとは思ってるんだ。



『涼くんに危害を加えていいのは私だけですから』



…………最後の一言は余計なんじゃないか……

俺を傷つけたりはしないって言ってなかったっけ……


いや、それは俺が()()()()()()()()()って前提での話か。

他の女の子と親しくなったら殺されるってことか。今の状況で他の女の子と仲良くなるなんて可能性はかなり薄いけど、きっちり俺にも釘を刺してきた。




 そして全校集会は終了した。

生徒たちがどんどん帰っていく。いろんな意味でとんでもない全校集会だった……俺は何もしてないしマッサージチェアに座ってただけなのにすごくエネルギーを消耗して疲れた……


スピーチを終えた楓ちゃんを出迎える。



「あ、その……お疲れ楓ちゃん……」


「ありがとう涼くん」


「なぁ、いろいろすごいこと言いまくってたけど大丈夫なのか……?」



『涼くんと結婚します!』

『死ぬほど愛しているんです!』


大音量でハッキリと言っていた楓ちゃんの言葉を思い出し、俺は顔面が熱くなる。

楓ちゃんは俺とは対照的に威風堂々としている。楓ちゃんに怖いものはなさそうだ。

こんなに照れてしまっている自分の顔を見られたくなくて、自然に視線が下がる。すると楓ちゃんのでかい胸が視界に入って強い引力で惹きつけられてしまって、慌ててもっと視線を下げた。



「下手な小細工なんていらない。真正面からまっすぐ自分の気持ちをハッキリ伝える。それが私のやり方だから」



何の迷いもなく楓ちゃんはそう言い切った。迷ってばかり戸惑ってばかりで何もハッキリしない俺とは真逆だ。



「涼くん……全部《《本気》》だからね? ウソや冗談なんて一切ないから」



「っ……!」


ドキッ



「最低でも子どもは3人欲しいって言ったけど……涼くんの子なら、10人は余裕で産めるよ」


「~~~っ……!」



男の本能的に、女の子に言われたい言葉ランキングでかなり上位に入るかもしれない。さすがに10人は多すぎ重すぎだと思うけど、これほどまでに可愛い女の子が自分の子を産みたいと言ってくれてるんだぞ。これ以上嬉しいことがあるか。

その言葉を可愛すぎる上目遣いで言われるんだから、もう……股間に刺激が強すぎる。


楓ちゃんの言葉、表情、仕草、いい匂い……すべてが何もかもが俺の股間にブッ刺さる。


全校集会はもう終わったとはいえまだ何人も生徒は残っているというのに、俺は情けなくも前かがみになるしかないのであった。


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