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彼女に捨てられて仕事もクビになった俺は、ヤンデレ金髪巨乳女子高生に拾われました  作者: 湯島二雨
第6章…愛

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全校集会に参加しました

 堀之内さんにやられそうになった瞬間、楓ちゃんが俺を助けてくれた。

だが、楓ちゃんの方が怖かった。とにかくマジで超怖い。今まで見た怖い楓ちゃんよりさらに怖い、真っ黒に闇で染まった瞳をした楓ちゃんの姿がそこにあった。


堀之内さんの眼光もヤバイとは思っていたけどなんかあまり恐怖を感じなかった理由。それは楓ちゃんがキレた目を何度も見たからだ。楓ちゃんのこの戦慄の瞳を前にすれば、どんな目も霞んでしまう。



「ごめんね涼くん。涼くんがこの女に絡まれてたのは気づいてたんだけど、ちょっと生徒会の仕事で忙しくて助けるのが遅れちゃった」


「いや、間に合ったよ。ありがとう楓ちゃん」


俺を見る楓ちゃんは少し穏やかになっていたがそれでも十分怖かった。堀之内さんに視線を移すと、また戦慄の瞳に戻った。



「堀之内さんさぁ、涼くんの足踏んだでしょ。マジで何してくれてんの? もし足が折れたりしたらどう責任取るつもり? 今すぐ断頭台にぶち込んであげようか?」


「は、離せっ、このデカパイ女……!」


「誰がデカパイ女ですって?」


ギリギリッ


「いでででっ……!」



楓ちゃんは堀之内さんの手首を強く掴んでギリギリと捻る。

堀之内さんは苦痛に表情を歪める。


そうだ、楓ちゃんはやたら力が強いんだった。俺も手を掴まれたり引っ張り回されたりしたからよくわかる。

あの力で手首を捻られたらと思うとゾッとする。堀之内さんにちょっと同情する。


手首を全く動かせずにピクピクと痙攣し、堀之内さんの手から金属バットが落ちてカランカランと床に転がった。


楓ちゃんはようやく手首を離した。その瞬間堀之内さんは楓ちゃんと距離を取る。



「ハハッ、なかなかやるな中条楓。さすがはあたしのライバルといったところか」


「キミをライバルだと思ったことは一度もないけど」



自称だけど楓ちゃんのライバルなのか堀之内さん。

堀之内さんは手首をすごく痛そうにしてて涙目になっているがそれでもなお楓ちゃんを強く睨みつける。

なんか険悪な空気が流れる。すごく仲悪そうだ。



「それよりさ、もうすぐ全校集会始まるからおとなしくしててくれないかな堀之内さん」


「ダメだ! 今日こそは決着をつけてやるぜ中条楓! この学校のトップはこのあたしだ!!」


「イヤだよ、この忙しいのに」


「うるせぇ! 今日こそお前に勝つ!」


「私は別にキミと争う理由はないよ」


「あたしがお前を気に入らねぇんだよ! 生徒会長で成績トップで運動神経も抜群で容姿端麗でスタイル抜群で巨乳で中条グループの令嬢で学校の人気者で巨乳のお前が、気に食わねぇ!」


巨乳って2回言ったよこの子……

要するにただの僻みか? 楓ちゃんは堀之内さんのことを全然相手にしてない感じだけど、堀之内さんが一方的にライバル視して突っかかってきてる感じか。

楓ちゃんもいろいろ大変なんだな。



「死ねぇデカパイ女!!!!!!」


巨乳に対する当たりが強すぎる堀之内さんは楓ちゃんに襲いかかる。

楓ちゃんはピクリとも動かない。



ビシッ!


「ぐうっ!?」



楓ちゃんはデコピンを繰り出し、堀之内さんの顔面に命中させた。



―――ドスッ!!


「ぐはぁっ!?」



堀之内さんが怯んだ瞬間、楓ちゃんの肘打ちが堀之内さんの鳩尾に突き刺さる。

堀之内さんは倒れて、動かない。アワを吹いてピクピクと痙攣している。返事がない、ただの屍のようだ。


堀之内さんはすごく怖そうで強そうだったが、楓ちゃんは一歩も動かずに堀之内さんを瞬殺した。

楓ちゃん超強い。かっこいい。昔の俺はとんでもない女の子を救ったようだ。



「涼くん、大丈夫?」


「俺は全然大丈夫だけど、なんなんだこの子は……」


「この子は2年B組の堀之内リリア、一応私と同じクラス」


楓ちゃんのクラスって2年B組だったのか、初めて知った。知っておいて損はないだろう。で、この堀之内さんも同じクラスと。同じクラスでこんなに敵意を持ってる子がいるんじゃ本当に大変そうだな。


「堀之内さんもそこそこいいところのお嬢様なんだけどね、まあ中条グループと比べればはるかに格下だけどね」


まあ中条グループと比べるのは相手が悪いとしか言えない。俺にはヤンキーにしか見えないけど、お嬢様っていってもいろんなお嬢様がいるんだな。



「まあ堀之内さんは邪魔にならない場所に放置して、全校集会を始めましょうか」


楓ちゃんはそう言って堀之内さんの襟を掴み、体育館の隅っこに放り投げた。扱いが雑。

堀之内さんが完全にかませ犬じゃないか。お労しい……




 そして全校集会開始直前となった。

生徒が全員集合し、ほとんどの生徒が静かにして前を見ている。堀之内さんみたいな子もいるけど良家のお嬢様なだけあってすごく行儀が良いなぁ。


で、俺はどこにいればいいのかというと楓ちゃんの指示に従った結果、まさかの壇上であった。

壇上の上にパイプ椅子が並んでいて、そこに生徒会の役員たちが座るらしい。

いや俺は生徒会じゃねぇんだけど。なんで生徒会と肩を並べるようなポジにいるんだよ俺は。


すげぇ目立っちゃってるよ。生徒たちからの冷たい視線を浴びやすくなってるよ。

現在壇上に立っている生徒会、そして俺。俺場違いにも程がある。

楓ちゃんは俺に優しい笑顔を向けてくれるが、他の生徒会のメンバーたちは俺を見ようともしない。興味ないのか。楓ちゃんがいなかったら吐きそうな緊張感が体育館内に満ちていた。帰りたい。


仕方ない、もうここに座るしかないみたいなので一番端っこのパイプ椅子に座ろうとする。



「あ、違うよ涼くん。涼くんの席はそこじゃないよ」


楓ちゃんに言われ、下ろそうとした腰をピタリと止める。


「涼くんの席はここだよここ」


楓ちゃんが手を差しのべた席。それは……



マッサージチェアだ。



いやなんでだよ。なんで全校集会にマッサージチェアがあるんだよ。

並べられたパイプ椅子の中になぜかマッサージチェアが一つだけあって、そこに俺が座るように促されたんだが。意味わかんねぇよ。



「なんでマッサージチェアなんだ……?」


「涼くんを硬い椅子に座らせられないよ。涼くんには快適な座り心地を提供したいと思ったんだよ」



……楓ちゃんの優しさなんだろうけどさ、その謎の好待遇が生徒の不満を高めているんだよ。


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