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彼女に捨てられて仕事もクビになった俺は、ヤンデレ金髪巨乳女子高生に拾われました  作者: 湯島二雨
第26章…豪華客船

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俺のことがニュースになりました




―――




 殺害予告の犯人を捕まえて、豪華客船の船上パーティーは無事に終わった。

楓ちゃんにチューしてもらった俺はメロメロフィーバータイムに入ってしまってその後のことはよく覚えていないが、とにかく船上パーティーは大成功できた。

そして翌日の朝。俺は起床した。



「涼くんおはよー!」


「おはよう楓ちゃん」


「ねぇ涼くん、見て見て!」



見てと言われた通り、俺は楓ちゃんが持っているスマホの画面を見た。

見た瞬間、俺は目玉が飛び出た。



「昨日の涼くんの活躍が、ネットニュースになってるよ!」



正真正銘この俺、安村涼馬の写真と一緒にニュースの記事が載っていた。


『貝塚グループ社長逮捕! 20代男性が豪華客船を救う!!』


というタイトルのニュースだった。

20代男性というのは俺のこと。俺の写真と写真の下に安村涼馬(25)って書いてあるから間違いない。俺の顔と名前と年齢が世間に公開されている……!



「新聞にも載っているぞ、涼馬の活躍が」


「マジですか!?」



お茶を飲みながら新聞を読んでいた賢三さんにもそう言われ、恐る恐る新聞を覗き込んでみたら俺の写真が新聞にも載っていた。載せられていた面積は小さかったけど確かに俺の記事が……!


新聞記事のタイトルは『中条グループ社員の安村涼馬さん、豪華客船を救う』となっていた。俺の名前が新聞記事のタイトルに!


表向きには俺は中条グループの社員ということになってるんだな。楓ちゃんに拾われて契約を交わしているんだからまあそういうことになるか。

実際には楓ちゃんのペットで彼氏なんだけどそれは秘密だよな。



俺が新聞に載っていると聞いた楓ちゃんはハンターみたいな目をしてシュババッと食いついた。



「あの……おじい様。ちょっとお願いがあるのですが……」


「……なんだ」


「涼くんの記事……切り抜いてもいいですか……?」



キラリと光るハサミを持って、楓ちゃんの瞳は物欲しそうに闇に染まってきていた。

怖すぎるよ。口角が上がっているのも怖すぎるよ。そんな楓ちゃんを目の前にしても1ミリも動じずに呆れたような顔をしてるだけの賢三さんもすげぇな。まあ賢三さんは慣れてるだろうけど。



「……別に構わんが」


「やったぁ! ありがとうございます!!」



楓ちゃんはとても嬉しそうにハサミで新聞の一部をチョキチョキと切った。

俺の記事だけを丁寧に切り抜き、幸せそうに頬擦りしていた。


俺の記事とか手のひらサイズよりも小さなものだが、楓ちゃんが幸せなら俺もオールOKだよ。



「楓ちゃん、それどうするの?」


「もちろん、私の部屋に飾って永遠に大切に保存するんだよ!」



満面の笑顔を見せる楓ちゃん。俺の記事が飾られるとかなんか恥ずかしい気持ちがあるが、楓ちゃんの可愛すぎる笑顔を見たらダメなんて言えるわけがない。




 その後、俺は家の縁側で休憩しながらさっきの記事をスマホでじっくり見ている。

まさか俺がニュースになるとは夢にも思わなかったから嬉しい気持ちはある。が……



「涼くーん」



楓ちゃんもやってきて俺のとなりに座った。

彼女と一緒に縁側に座ってのんびりする……とても大好きな時間だ。この時間はいくらあっても良きかな。



「ふふっ、今日は最高の朝だね。こんなにすばらしいニュースが見れるなんて」


「ああ、確かにすごく光栄ではあるが……すべて俺の手柄みたいに報道されてるのにはちょっと不満がある。

楓ちゃんだってすごく活躍してたのに。俺がいなくても楓ちゃんが犯人をやっつけてくれただろうし」



ドローンを銃で撃ち落としたのも、犯人が斧で船のエンジンを破壊しようとしたのを銃で阻止したのもすごくかっこよかった。

あと、胸の谷間から武器を取り出してたのもすごくエロかった。


俺よりも楓ちゃんを記事にした方が絶対に記事の閲覧数稼げると思うんだけどな。

……いや待て、楓ちゃんあまりにも可愛すぎるから他の男たちに注目されてしまうのはイヤだな……いやでも、楓ちゃんの活躍はちゃんと讃えられるべきだと思うし……うーん、複雑な気持ちだ。



複雑な気持ちでいると、楓ちゃんは穏やかな表情で俺に微笑みかけた。


「それでも、犯人の居場所を特定したのは涼くんじゃん。犯人を倒して捕まえたのも涼くんだし。

それにさ、犯人が涼くんのことを雑魚だと勘違いして油断してたのも大きいよ。犯人はなりふり構わずに暴走してて危険だった。もし私一人で戦ってたら、犯人はもっととんでもないことをやって大惨事になったかもしれない。

だから涼くんのおかげで犠牲者なしで平和に解決することができた。お父様も乗船者の皆様も涼くんにありがとうって言ってたでしょ? 涼くんが豪華客船を救った英雄であることは紛れもない真実なんだよ」


「そ、そうかな?」


「そうだよ!」



楓ちゃんはニコッと笑顔で答えてくれて俺はドキッとした。

確かに、俺一人で犯人を倒すことができたのは大きな自信になる。楓ちゃんに守られているだけの情けない男ではないことは証明できた。


俺だって、みんなの役に立てたんだ。俺は強く拳を握りしめた。



「ありがとう、楓ちゃん」


「ありがとうはこっちのセリフだよ、涼くん」


「はははっ」


「ふふふっ」



照れくさそうに二人で笑い合う俺たちであった。




―――――――――



※楓視点



 涼くんの活躍がニュースになった日の夜。

お風呂上がりの私は、自分の部屋の壁に貼りつけた涼くん活躍の記事を見つめていた。



「……ふふっ……ふふふっ……」



涼くんの記事を眺める幸せな時間。自然と笑みが零れてしまう。

ネットニュースの記事の方もしっかり保存してある。壁の記事とスマホを交互に眺めてダブルで幸せな気持ちに浸る。


豪華客船は涼くんの大活躍だった。

当然だ。涼くんはできる男の子だって私は()()()()知っていた。11年前初めて出会ったあの日から、すごい男の子だってことはわかっていた。

涼くんのすごさが世間に認知されて私は嬉しい限りだ。


……嬉しい、けど。

涼くんの良さを知っているのは私だけであってほしかったという気持ちもある。涼くんの良さを認めてもらいたいという気持ちと涼くんの良さを独り占めしたいという気持ちがぶつかり合って複雑な気持ちだ。


「……ふふふっ……」


複雑だけどそれはそれとして、涼くんの記事を眺めるのは幸せだ。



……でも、この記事やっぱり小さいな……

今度は涼くんの記事が小さいことに不満が生じてきた。涼くんに関することだけは一切妥協できない。涼くんだけが徹底的に特別じゃないと気が済まない。私はとことんワガママで強欲だ。


あ、そうだ。小さいなら大きくすればいいじゃない。


スキャナーで涼くんの記事をスキャンして、ノートパソコンを使って拡大し、それをプリントして壁に貼りつけた。


よし、記事をものすごく拡大してやった。短辺の長さを1メートル以上にしてやった。これで満足。



「……ふふふっ……」


涼くんの写真もすごく拡大されてるので、眺めながらドキドキしてしまう私であった。


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