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今更異世界転生した俺とダンジョン  作者: 植えっぱなしok
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第7話 光学迷彩ですが

俺は頭を抱えていた。



今、俺は転生した時最初にいた小部屋に閉じ込められている。


なぜこの部屋から出れなくなっているかというと、ヤギの民衆が俺の帰りを待っている事に起因している。



「腹減った⋯⋯」



空腹も俺の敵だ。


頭がおかしくなってきた俺は、踊ることにした。



「ボイトレ〜ボイトレボイス!ボ〜♪」



歌の解説をすると、ボイトレで構成されているメロウなナンバーだ。



「ボイトレ水♪ボイトレ!ボイトレボイボイトレスヴォイ〜♪」



続いて俺は新曲『ウォーターボイトレ∞ボイス』を歌う。


そのまま扉を優しくタッチして開けた後、再びこっそりドアを石で固定しながらもヤギの民衆の前に踊り出た。



次第にヤギ達は俺の美声に眠りに作る。


俺の一世一代のライブは成功やで。



頭がおかしくなった俺は光学迷彩を試してみる事にした。



「ボイトレ『光学迷彩』ボイトレ」



俺の体があの時の擬態カモのように透明化する。


すげえ、手が見えねえ。



俺は服が一緒に消えていることに安堵し、空腹を満たすためにヤギに食らいつく。



「おお、魔物の肉は食えねえのかと思っとったぜ」



生きたまま自らの肉食されるヤギ、しかしさすが俺の技、痛みも感じずに眠るように食われている。



「俺が前世で練習した無痛食事だぜ」



腹も満たしたので、いよいよダンジョンの奥を目指すことにする。


幸い、俺の新しいスキルがステルス面において最強であることが判明したので、出来る限り安全に向かうとするとしよう。



「えっと、これまで俺が出会った魔物といえば、あのヤギと擬態カモだけだろ?もしこの辺りにいるのがそいつらだけなら、ここらで負けることはないかもな」



俺は冷静になって考える。


そして一つ思い出した。



「まだ俺の今の姿見てねえな」



そう、エビキングはどんな見た目をしているのか、いまだに把握していない。


それに気づいた俺は早速とりあえず川まで近づくことにした。



「どこからダンジョンの奥に行けるのかもわかんねえしな」



と独り言。


光学迷彩によって透明になれるようになってしまった俺は簡単に河岸まで移動することができた。



「どれどれ、俺の顔を見てみるか」



俺は周囲を確認した後、川の比較的水が澄んでいて流れが遅いところを覗き込んだ。


そこに浮かんでいたのは、ほぼほぼ記憶にあった俺の姿と変わらないものだった。



「あれ?期待はずれだな⋯⋯」



俺は頭がエビになっているレベルの変化を期待していたが、そんなもん触ったらわかるので最初からそこまでの変化ではないと判っていたという話だ。


俺の顔は正直イケメンである。


この世でいちばんイケメンな自信はあった。


この世界で通用するかは実物である。



「目元はキリッとしすぎている。


鼻が二つあるのかと言うぐらい高い。


肌が透明である。


そして極め付けには口が二つある」



これは俺のお決まりの呪文である。


そんなレベルのイケメンだと名乗っている。



そんな考えに目を瞑って耽っていた俺はそろそろこの場を離れようと思い、最後にもう一度顔を見てみることにする。



「あれ?俺の顔ってこんなにウォータードラゴン風味だっけ」



目を擦ってみる。


俺の目にはさらにはっきり竜の顔が映っている。



「エビキング?」



今のは俺の声ではない。


俺の目の前にはいつの間にか、小さめの竜の顔面があった。



「なんで俺の名前を知ってる?」



俺は対話を試みる。


明らかに格上の気配に物怖じして、上手い返しも思いつかない。



「ebiking?」



おお、発音が変わった。


聞き取りやすさを考慮してくれるぐらいにはフレンドリーらしい。


俺は相手をガタイの良い外国人ぐらいとして見ることにした。


その方が現実味が出て対応を考えやすいと思ったからだ。



「イェア、俺はエビキング」



正直エビキングに納得は行っていなかったが、今の俺の正式名称はエビキングである。最初から名前を当ててきた相手はそれを知る手段を持っているはず。ならば正直に見えるように返事した方がいいと考えた。



「そうか、お前は喋れる魔物、略してしゃべまもなんだな?」



「そうだ、エビキング喋れる」



かなり気になることだが、今は対話が成立している理由は考えないこととする。



「私と敵対する気があるか答えてもらおう」



「いいえ!エビキングはフレンドリーです!」



そう言って俺は瞬間的にキャストオフする。


この技術は高校で習得した技術の一つで、完全に超能力として町内で話題になったが、テレビで映せるものでなかったため広まっていない俺の特技である。



「え?⋯⋯ぜ、瞬間的に全裸、だと?」



「武器は持ってませんけん、お赦しになって候う奉り奉行変態!」



「へ、変態の季節⋯⋯」



竜はその頭を翼で隠し、川に沈んだ。


だがしかし俺は見逃さなかった。


竜の後ろから矢が飛んできていることを!



「あぶなーい!」



俺は反射的に全裸の我が身を放り投げるようにして竜を庇う。


矢はかなり鉄製だったようで、俺のココロにぐさっと刺さり致命傷を得た。



「グフ!」



心の傷は深い。



「へ、変態!何をしてーー」



竜は水が心の傷からの出血で赤く染まっていることに気づき振り向く。



「変態、まっていろ」



竜は雰囲気を一変させ、俺をそっと川岸に上げた後に矢が飛んできた側を向いた。


そして水中からその身体を飛び上がらせ、飛び上がっていった。


その体は白く、美しい鱗で覆われた、とても大きな竜だった。



「うわーん、俺一周回ってブスだと言うことに気づいてしまった!」



俺はその姿に見惚れる隙もないほどに心にダメジを受けていたため、失格となった。

第7話 終わり__________



あとがき風味


(泣)悲しい(泣)


火が消えた。



地球滅亡(地球)




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