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妖女 美雪  作者: ぴい


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「第98話」工事

 連休明け早々、大輝は退任した会社に温泉施設の発注をし、社員達は俄然やる気のようで、部材の手配、建設会社を素早く優れた会社に依頼する優遇ぶりだった。工程も優先的にスケジューリングされ、素早く工事は開始され、翌年末完成を目指すことになった。



 夏が近づき、美雪達はみんなでメロンの受粉を行っていた。


長老「わしらがメロンとは。。実に楽しみじゃ。」


さよ「いっぱいなるといいな。」


彩菜「最初の1個目はみんなで食べるからね。」



美雪「みんな。彩菜のおばあちゃんがお茶入れてくれたから暑いし休みましょう。」



 お茶を飲みながら、温泉施設の建設を眺める。


彩菜「始まったわね。大輝さんは、現場手伝ってるの?」


美雪「仕事は妥協しないからね。基礎工事終わったから、最初しっかり見たいんでしょう?もうこちらがメインで住むのでしょうね。お母さんがお留守番みたいね。まあ、私達も受験近いから夏休みも土日だけ来る予定です。」


さよ「そう。。頑張らないとね。。はあ。。」


彩菜の祖母「どうした。」


さよ「ちょっとお腹痛い。」


彩菜「ん?おっぱい張った感じある?」


さよ「よく分からないけど、大きくなった気がする。」


彩菜「生理来るんじゃない?」


美雪「大変!どうする?早く終わらせたいなら妖力粒が無い部屋作るけど。妖怪は15日から20日続くみたい。妖力粒無い部屋にいるなら4日くらい。」


さよ「みんな学校行ったりしてるんでしょう?それなら私は妖力粒無い部屋がいいかな。」


美雪「2階の1部屋を妖力粒無しにするから、始まったらそこにいて。たまに出ても危険はないわ。」


彩菜「先生に血液検査してもらったら?貧血気味か分かるわよ。」


さよ「ちょっと行ってくる。」


長老「ダメじゃ。まず連絡してからじゃ。お前もひときわ綺麗だから村では目立つ。」


さよ「毎日畑作業してるからバレてるでしょう?」


長老「美雪が透明化しているから外からは見えないんじゃ。たまにスーパー行ってるらしいな。」


さよ「弁護士さんが、弁護士見習いって言えって。。」


彩菜「さすが弁護士さん。しっかりしてるわね。村人に怪しまれないわね。」


さよ「あのー。」


長老「どうした。」


さよ「夏休みでいいから、髪を切りたい。美雪さんみたいに短いのがいいな。暑いから。」


美雪「ずいぶん伸ばしたんでしょう?もったいないんじゃない?そこまで伸ばすの大変よ。」


さよ「頭洗うの大変だよ。それに伊達メガネつけたら頭良さそうに見えるから裁判で有利なの。印象って大事だからね。それに街に行きたいな。」


彩菜「だったら美容院予約するわ。せっかくだから電車で東京とか行く?」


彩菜の祖母「懐かしいな。私達も行きたいな。」


彩菜「じゃあ。5人で行きますか!ただし、さよさんの生理終わったらね。」



※※※


 ほどなくしてさよの生理が始まった。さよにはまるで病気のように腹痛でぐったりした。


彩菜の祖母「大丈夫かい?最初は慣れないからキツイわよね。」


さよ「こんなになんて。。私、20日も耐えられない。」


※※※


 言われた通りさよの生理は4日で終わったようだ。夏休みが近づき、メロンの収穫が近づいた。夏休み最初の木曜日に美容院に行き、昼前に東京に行くことになった。



 温泉施設で汗だくで働いた大輝が帰宅する。


大輝「おお、さよさん。動けるようになったか。」


さよ「出血は終わったわ。楽になったわ。」


彩菜の祖母「汗だくね。。2人とも体力つけないといけないから、焼肉にしましょうか。」


大輝「買い出し行くよ。」


長老「休んでな。わしが先生と行ってくるよ。」


長老「もしもし。先生。すまんが焼肉やるから、買い出しに連れてってくれないか?もちろん先生も弁護士さんも食べていいからな。」


さよ「弁護士さん。街に行ってないかな?」


長老「さよが心配だったから、延期したそうじゃ。」


さよ「そっか。。来週手伝い頑張らないと。」



 長老と先生が買い出しを終えて帰って来た。弁護士さんも一緒に買い出ししたようで弁護士さんもすぐにやってきた。


弁護士「さよさん。大丈夫か?」


さよ「うん。もう大丈夫。」


医師「今日は私と弁護士さんが焼肉焼くからな。」

弁護士「焼くよ。食べようか。」


長老「そういえば。さよは焼肉初めてか?」


さよ「うん。なんか美味しそうね。彩菜さんと美雪さんは勉強区切りついたら来るって。」


弁護士「そうか。まずは牛タンだ。酢で食べるといい。みんなも食べて。」


さよ「美味しい!妖怪村では考えられない味だわ。」


長老「今日は特別だからな。」

彩菜の祖母「ヤバ。なんて美味しいの!」


弁護士「牛タンの後は焼肉のタレな。」


さよ「美味しい。すごく美味しい。長老はずるいわね〜。」

長老「いやいや。今日のは特別に美味いな。」


医師「長老が高いのばかり選ぶからだろう。これは美味いな。」


弁護士「大輝さん。だいぶ建ったな。」


大輝「重要な柱は確実に建ったの確認しました。配管が来週中に終わるから、終わったら外壁ですね。内装は膨大ですし、温泉側の工事が始まります。予定より進んでますよ。盆明けにコンクリート固まるように前倒ししてます。みんな盆は休ませたいから。」



大輝の会社の社員「あのー、社長!医者に連絡できないですか?」


大輝「どうした。社長はもうやめてくれ。」


社員「大工が事務所で倒れて。意識が。。」


大輝「何だと!救急車は。」


社員「救急車が早くくるのか。。確か医者があったから。」



医者「分かった。わしが行く。」

大輝「この方は名医だ。信頼出来る。」

長老「さよ。彩菜に連絡してくれ。わしも行くから来いと。」



 大工の周りは、皆が心配そうに集まっている。


医師「ちょっと見せてくれ。」



彩菜「来たわよ。どうしたの!」


長老「ああ、すまんな。」


医師「ん!ヤバいな。すまんが、急いで治療する必要がある。救急車どころじゃない。急がないとヤバい。申し訳ないが、治療のために全員出て行ってくれないか。長老と彩菜さんは手伝ってくれ。大輝さん、わしの家の冷蔵庫からスポーツドリンクを頼む。」


 彩菜と長老以外は出て行った。


医師「熱中症だ。意識がない。危険だ。。40度!ヤバい。。。長老、部屋冷してくれないか。すぐにだ。派手にやってくれ。ああ、氷くれ。首を大至急冷やす。」


 長老は先生に氷を渡すと、氷の妖力と風の妖力を交互に出して部屋を冷やした。


医師「寒いな。長老。一旦止めてくれ。」

大輝「先生スポーツドリンクです。」


医師「ああ、すまないな。」


 医師は大工を叩き、意識朦朧の中でスポーツドリンクを無理やり何回かに分けて飲ませる。

 大工は意識レベルが戻ってきたようだ。


医師「今だ!長老。彩菜に送ってくれ。彩菜頼む。」


彩菜「わ、分かったわ。」


 長老が妖力を入れ、彩菜が治癒妖力を注ぐと、次第に良くなった。


医師「意識が完全に戻ったな。スポーツドリンク。ゆっくり飲め。体温測るぞ。」


大工「。。ありがとうございます。」



医師「37度9分か。もう大丈夫だな。まもなく体温は正常になる。」


大工「はい。目が覚めた時は右手が動かなかった気がしますが、今は全く問題ないです。なんか涼しいな。」


医師「えっ?ああ大輝さんがありったけの氷を撒いたからな。感謝しろよ。30分遅れたら死んでたぞ。熱中症は怖いからな。汗が出なくなって1時間も経つと体温調節出来なくなり上がり始める。40度まで上がったら終わりだ。その前にスポーツドリンク取らないと身体が動かなくなる。水は意味ないからな。これからは体温計は常に持ちなさい。38度超える前に飲むんだ。しかし、何故エアコンついてない。」


大輝「昼休みと作業終わってからしか、しかつけないですから。」


大工「今日私は早く終わったので一番最初に事務所帰ってきたら立っていられなくなって。。」


大輝「仮設だろう?電気代は一律じゃないか?つけっぱなしにしろよ。全く。。」



 大工は立ち上がり、心配する仲間のところに行った。


彩菜「大丈夫かな?」


医師「普通は大丈夫じゃない。1週間は入院。いや、彩菜さん達がいなかったら。。症状聞いた限り右側頭部で脳内出血してたはずだ。救急車呼んでも助からなかっただろうな。頭の中で出血があったとしても彩菜さんが治しているからな。検査しなくても、もうすっかり治っているから心配ない。さあ、焼肉の続き行こうか。」



大輝「先生ありがとうございます。30分もかかってないですね。」


医師「脳血管障害か熱中症かだったが、熱中症で倒れて頭打ったんだな。気温下げたのが良かったよ。まずスポーツドリンク取らないと治療妖力も意味がない。自分の身体が回復力がないからな。さあ食べよう。」


弁護士「どうだった。」


医師「熱中症だ。かなりの重症だった。彩菜さんと長老がいなかったら。。助からなかっただろうな。脳内出血もしてたはず。あそこまでになるとわしの力では無理。救急車も間に合わない。意識なかったし、全員排除したからバレてない。さあ。焼肉再開だ。美雪さんも食べな。」


美雪「ありがとう。おばあちゃん!サプリ飲まないと!」


長老「ああ。ぼーっとしてたわい。空っぽじゃな。」


大輝「忘れてた。先生治療費は?」


医師「要るわけがないだろう。2人が治したんだ。せいぜいスポーツドリンクの200円だな。建設現場で事故あった施設なんて嫌だからな。良かったよ。」


 楽しい焼肉が再び始まった。現場で働く者達には、とんでもない名医がいるという安心感をもたらせたようだ。


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