「第96話」説明
弁護士さんも夕方に帰宅し、既に夕食の完成が近いため、まずは食事を食べることにした。
美雪、彩菜の父、医師は気持ち大人しかった。長老はすっかり忘れて夕食を楽しんでいる。
夕食が終わり片付けも終わった。
弁護士「美雪さん。今日は静かだな。」
美雪「うん。実は説明したいことがありまして。これは全員に関わることなので。」
彩菜の母「話してみて。」
美雪「あの。。ここ数週間、彩菜のお父さんと研究や考察することがあって、調べたんですけど。。はっきり分からなかったんです。そこで先生やおばあちゃんに相談したら、推測ですが根拠ある可能性の高い結論が出ましたので報告します。ただ、絶対ではないです。かなり可能性が高いと思って聞いて下さい。」
彩菜の祖母「そんなに深刻に考えなくて大丈夫だよ。みんなで考えたらいいんだよ。」
美雪「おばあちゃん。ありがとう。まず、きっかけはこれです。3年前の1円玉です。」
彩菜「何?」
美雪「はい。今2年時間を戻しました。」
彩菜の母「あら。何かピカピカになったわね。」
美雪「今から更に3年戻します。」
弁護士「えっ!金属の塊に。。つまり1円玉が5年前に。。信じられない。」
美雪「これは話の本筋ではありません。闇の妖力を大量に使いながら、他の妖力を混ぜ合わせたら時間をさかのぼれることが分かりました。つまり闇の妖力が時間に関連していることを意味しています。その闇の妖力ですが。。」
彩菜の父「美雪さん。具体例はいいから内容を話そう。」
美雪「はい。お母さんとおばあちゃんから聴き取りした内容を先生と検討した結果と、更におばあちゃんというか、長老の情報を総合的に判断した結果。妖怪と人間で10倍の歳の取り方の差の理由は。。体質ではなく。。闇の妖力粒の量が理由だという結論になりました。必要なら根拠は後で説明します。」
医師「補足だが。人間は80歳くらい。妖怪は100歳くらいが寿命という差はある。」
美雪「つまり。妖怪村に住んでいるより、人間界に住むと妖怪も10倍歳を取るのが早くなる。つまり人間と同じです。」
弁護士「雪さんは感じなかったな。」
彩菜の父「それも話をしましたが、雪さんは別格の美人。だから7年の年齢差程度では分からないという結論です。」
弁護士「なるほど。否定する理由は浮かばないな。」
美雪「長老はずっと知っていたから、さよさんが人間界に長く滞在することに抵抗があったみたいです。実は、きっかけの一つがさよさんが人間と結婚した時に、先に旦那さんが歳取るのを回避したい。その思いで最初の時間を巻き戻す方法を確立したから、彩菜のお父さんに相談したんです。だけど、人体にこれを使うのはあまりに危険で怖くて出来ない。そこで調べていたら、この事実が分かりました。」
さよ「私。妖怪村では雪さんと同じで不幸だった。人間と結婚するなら一緒に歳取れるってことね。妖怪なら村で一緒。だから気にしないわ。素晴らしい人生なら私は人間の世界がいい。生きる年数が短くなっても価値がある。」
美雪「そう。。さよさんが思う人生にすればいいと思います。結婚相手が先に歳取ることはないですから。ただ、問題は別にあるの。この家の周辺は私が妖力粒を集めてしまった。長老の見た感じでは妖怪村の半分くらいの濃度らしいです。つまり、私達はここにいると人間の5倍歳取るのが遅い可能性が高いです。実際は外出したりしますので2、3倍くらいになるのではないかと思います。」
大輝「濃度は調節出来るのか?」
美雪「たぶん可能です。人間界と同じも可能。妖怪村と同じ。。それ以上も。人間界と同じにするのは何も問題はありません。が。濃度を上げる場合は私達しか入らないエリアだけ濃度を上げる必要があります。」
弁護士「それまた何故?」
美雪「理論上ですが、温泉施設に1ヶ月滞在したら1年くらいの老化ペースに遅くなる。言い方が悪いですね。赤ちゃんとかは何倍も成長が遅くなると目立ちます。もちろん。1ヶ月滞在しただけなら3日しか成長しないということになります。」
佳代「確かにそれは気づくでしょうね。」
美雪「決まったエリアだけ濃度を上げるのは出来る。技を確立しました。だから、お客さんの入るエリアを人間界の濃度に出来ます。どうするかです。温泉には妖怪が働きに来ます。人間界の濃度にするのは。。正直気が引けます。働きに来てくれて寿命が短くなるのは。。濃度をどうするかです。」
彩菜の父「私の意見は。この事実を知らなかったということにしよう。つまり妖怪村の50%の今の濃度。妖怪しか入らないエリアは100%がいいかな?という意見です。もはや妖怪との関係は切り離せない。」
医師「わしは、人間界と同じなら妖怪と交流した意味が無くなると感じるから100%かな。」
彩菜の母「私は、美雪さんと出会わなかったら死んでいた人間。だから意見はないわ。決定に従います。」
長老「さよの不安が無くなったのならば、わしも希望はない。決定に従います。」
大輝「せっかく分かって、長生き出来るなら。。温泉も成功させたいから50%でも100%でもいいから濃度は上げたいね。何か違うと思ったら人間界に戻せばいい。」
佳代「私達はともかく。。美雪や彩菜には大きな差があるわよ。」
彩菜「私は今の関係がすごく好き。だから出来るだけ長く続くほうがいい。100%でも200%でもいいわ。」
美雪「100%以上は未知の世界だから危険な気がするの。あとね。生理がある人。生理が10倍長くなる。死ぬわ。だから生理中は人間界のエリアに住む必要がある。当然ながら周期も10倍長くなる。」
先生「妊娠もだな。出産に8年かかることになる。妖怪は身体の作りが違うから恐らく短いだろう。」
長老「確かに長かったな。どれくらいかは覚えてないな。」
彩菜「でも。手術とかも治るの時間かかるんじゃない?」
医師「確かに最近、注射で血が止まりにくいことが多いとは思った。」
美雪「というように、問題もある。エリアを区切れば解決出来る。生理中は人間界の濃度なら。。100%にしたとしても75%くらい。外出とかも考えたら結局は50%くらいになってしまう。」
彩菜「ねえ。治癒妖力使ったら?」
医師「生理に治癒妖力は効くのかな?さよさんの足のように身体が自然と判断したら効かないかもしれない。そもそも、悪い血だ。止めるのは危険かもしれない。」
美雪「確かにそうね。手術を治癒妖力使うのはいいと思うけど。。手術しなくても治癒妖力で治るんじゃないかな?」
彩菜「確かにそうね。」
彩菜の母「私は息子の知らなかったという意見に賛成するわ。それが自然だからね。妖怪と何もなかったというのは違うと思う。」
弁護士「しかし。。温泉始まれば仕事も辞める。とはいえ、村人もいる。全く関わらないのは無理だ。不自然な歳の差は無視出来ない時は来る。バレる訳にはいかないだろう。」
医師「しかし。。彩菜さんのおばあさんの言うことは一番心に近い。わしらは20年後とかに死んだことにする手もある。」
弁護士「んー。納得するよ。だが、美雪さんと彩菜さんは人生が長い。いろいろ支障がないか?」
彩菜「温泉で稼いだら、騒ぎになる前に妖怪村に移住するわ。」
美雪「私は意見はない。従います。ただ、彩菜のお父さんと研究して時間を進める技を研究して実現する努力は続けるわ。」
大輝「多数決で決める問題ではないが。。人間界という意見は出なかった。50%で様子みて、例えば1年に1回話し合いをするとかでどうでしょう?」
佳代「賛成するわ。」
医師「わしも賛成する。」
弁護士「正確などない。仲間が大切だ。賛成する。」
大輝「50%で反対の方は。。いないですね。これでいきましょう。ただし、問題がある場合は随時相談。更に1年に1回年末に翌年どうするか決めることにしましょう。」
佳代「不老不死の薬を手に入れた気分ね。悪くないわ。」
さよ「みんなと同じ歳の取り方か。。嬉しいな。ずっと1人ぼっちだったから大事にしたい。」
美雪「難しい問題を出してすみませんでした。意見もまとまりましたので話は終わりにします。」
彩菜の祖母「美雪さん。悩んだでしょう?みんなで決めたから気にしなくても大丈夫だからね。さあ。寝る準備をしましょうか。」
いろいろ悩む部分もあったが、ちょっと得した気分も感じながら眠っていった。




