「第93話」身体
妖怪村で得た情報は予想外のことが多かった。彩菜の父と美雪は情報を整理する。
彩菜の父「まず整理しよう。」
美雪「生理のことね。」
彩菜の父「そんなダジャレか。。まあいいか。あれは意外だったな。」
美雪「そうね。お母さんもおばあちゃんも人間と付き合いはじめて生理になったって。」
彩菜の父「何故かな。。」
美雪「たぶん。愛よね。あの妖怪村の愛のない世界では必要がなかったのよ。妖怪ではあるけど人間的というか文化的な思考になると必要なものになるのかな。」
彩菜の父「日数は15日くらいって。。人間の2倍か3倍かな?10倍歳取るのが遅いわりに。。分からない。」
美雪「お母さんは期間が2ヶ月。おばあちゃんは8ヶ月くらいって。。あまりに差がある。」
彩菜の父「手がちぎれても生えるんだ。復元力はすごい。生理が10倍の期間にならないのは復元力の強さのためじゃないかな。結局10倍の差の考察には役に立たない。が、人間より長いのは間違いない。」
美雪「私の考えだと。。闇の妖力と妖怪の持っている組成。いわゆる遺伝の両方だと思う。」
彩菜の父「何故そう考えた。」
美雪「おばあちゃんとお母さんでは妖怪とハーフの違いがある。生理の期間の差は遺伝だと思う。遺伝の割合が高いけど、環境も影響を与えているはず。私、お母さんに聞いたけど、人間界で生活してから髪や爪の伸び方が早くなったって。気のせいかもしれないとは言ってた。」
彩菜の父「どうだろう。遺伝が5割、環境が5割かな?」
美雪「私は遺伝3割、環境7割かな。でもおばあちゃんとお母さんの差があまりに大きくて。。でも、環境は試せるわよ。私達が妖怪村で生活したら比較出来る。」
彩菜の父「なるほど。確かに分かるな。それだけで遺伝との比率は分かるな。答えが10倍だからな。」
美雪「ただね。遺伝なのよ。これが複雑なの。」
彩菜の父「どういうこと?」
美雪「例えば。私の生理や胸の成長は彩菜より2年くらい遅かった。個人差も要因だから正確なことは分からない。私は人間に近いけど、成長速度はわずかに違うのかもしれない。劣勢遺伝で全く影響ないのかもしれない。分からないの。分かりようがないの。ただね。私の体液がみんなに入っている。遺伝の影響はあるならみんなにも何らかの影響は出てるはず。」
彩菜の父「体液で遺伝に影響するのか?」
美雪「調べたけど。体液から遺伝子を取り込むという説はあるみたい。私はあると思う。もしそうなら。。正確なことは分からないという結論。」
彩菜の父「妖怪村で生活したら妖力の影響は分かる。それは間違いない。」
美雪「確かにそうね。それしか分からない。これ以上は分からないでしょうね。」
彩菜の父「もともとの遺伝子、美雪からもらった遺伝子、更に環境か。。正確な割合は分からないな。」
美雪「あっ!」
彩菜の父「どうした。」
美雪「さよさん。。生理始まるんじゃない?大変よ。女の身体のこと教えないと。」
彩菜の父「確かにな。だが恋もしてないぞ。」
美雪「でも生理始まったら、恋が原因か妖怪村の不要な機能だったかは分かるわ。」
彩菜の父「こちらでの爪や髪の伸び方を把握するか。」
美雪「そうね。比較のために必要ね。ねえ。先生の知識も必要じゃないかな?」
彩菜の父「いい情報は得られるだろうな。もう夕食で宴会だぞ。明日話すか。」
美雪「そうね。戻りましょうか。」
美雪達はみんなに合流した。
大輝「おお、美雪。久しぶりにちらし寿司だぞ。」
美雪「あら。たまには私がやろうか?さよさん。風をお願い。お母さん指示して。私が切るから。」
さよ「何?どうするの。」
佳代が酢を入れる。
佳代「美雪。混ぜる!。。はい切って、切って。さよさん風!」
さよ「は、はい。」
佳代「風強い。半分でいいわ。美雪は早く!」
美雪「えーっ。おばあちゃん。サプリ。」
長老「ほら。」
美雪「ありがとう。」
佳代「ストップ。。んー。酢足りないな。入れるからもう1回ね。」
美雪「私、手でやる。」
佳代「はい。切って。切って。美雪!話にならない。味が落ちるわ。あなた変わって。」
大輝「あ、ああ。」
佳代「切って。切って。。もっと早く!」
弁護士「拷問だな。」
医師「あれはキツイぞ。」
彩菜の母「大輝さんより佳代さんのほうが速いのよ。」
医師「本当か?」
佳代「はい。ストップ。。。んー。いいわね。おばあちゃん。盛り付けよ。」
長老「はい。」
彩菜の父「ちらし寿司だとリーダーは佳代さんか。。リーダーとして適任だな。」
壁にもたれてぐったりする美雪と大輝。
美雪「なんてキツイの。妖力でも苦しかったわ。」
彩菜「クズ妖怪より?」
美雪「あんなの比較にならないくらいキツイわよ。」
彩菜「そこまでする必要あるかな?」
彩菜の祖母「美味しいちらし寿司を作るのは愛がないと出来ないの。」
美雪「勉強になりました。」
さよ「こんな疲労する美雪さん。初めて見た。」
美雪「お父さんもお母さんもすごいなー。」
彩菜の母「家族や友人のためなら出来るのよ。私、お父さんとつまみを作ってくるわ。」
美雪「勉強になりました。」
医師「サプリいるか?」
美雪「サプリは意味ないでしょうね。ああ先生。相談あるの。明日時間ないかな?」
医師「昼過ぎならいいが。何だ。」
美雪「ここでは今は言えないの。もう少し分かったら言う。」
医師「分かった。」
佳代「皆さん。食べますよ〜。」
みんなで楽しい夜食の後は恒例の宴が始まった。
彩菜「あ〜あ。風呂も入らないで。。」
美雪「私達は勉強して寝ようか。」
彩菜「そうね。まずお風呂よ。」
宴はいつも以上に上機嫌なさよがみんなに色っぽく迫る。男も女にも自分の胸を触らせる。
佳代「しょうがないな。。男が得してるだけね。」
彩菜の母「両親に会えて嬉しかったんでしょう。叶わない夢だったんだから。両親は人間と結婚すること反対しなかったわ。」
佳代「火炎小僧は?」
彩菜の母「足治ったのを抱きしめて喜んでた。さよが1番になる?って聞いたけど妹にしか見れないって。」
佳代「あら。火炎小僧っていい男ね。私の2番目なら考えるわ。」
彩菜の母「思ったよりいい男ね。あんな魅力的な身体なのに。足治った祝福と応援だけ。さよさん結構がっかりしてたけど、あの子上手いわね。今決める必要ないから考えてって。交渉術は超一流ね。」
佳代「時期社長としてぴったりね。」
さよが主役の珍しい宴だったが、仲間はさよが幸せだったことを理解し優しく見守るのだった。




