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妖女 美雪  作者: ぴい


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「第83話」密談

 住宅契約を終え、ホッとした日曜日。みんなで手分けして先生、美雪、弁護士さんの畑作業を手伝う。

 昼食後から美雪と彩菜の父だけ妖力の研究のために畑作業から抜けた。


彩菜の父「相談って?」


美雪「実は。。」


彩菜の父「どうした。美雪さんらしくないな。」


 

 美雪は10円玉を取り出す。


彩菜の父「なんだ。」


美雪「ちょっと離れて。」


彩菜の父「ああ分かった。」


 美雪が妖力を使うとたちまち10円玉はピカピカになった。


彩菜の父「還元したのか。触媒が妖力ということか。使い方によっては使えるかもしれない。」


美雪「いや。あの。。」


彩菜の父「何か歯切れが悪いな。」


美雪「11年前の10円玉。。10年時間を戻した。」


彩菜の父「えっ!」


美雪「更に2年戻すわ。」


 美雪が妖力をかけると銅の塊になった。


彩菜の父「み、美雪。これは、とんでもないことだぞ。。」


美雪「理論としては理解したの。だから正確に年数戻せる。ただ、未来には進める方法は分からない。もしかしたら出来ないのかもしれない。」


彩菜の父「何というか。。光速に近くなると時間の進みが遅くなる。」


美雪「それは知ってる。」


彩菜の父「我々が光速近くまでのスピードになり、戻ると。。周りは時間が遥かに早く進む。だから、周りが進むよりゆっくり時間を進むのは可能だ。だが、多分、求めているものとは違うだろうな。」


美雪「でも、戻った後で周りを時間を巻き戻せば。。私達だけ未来には行ける。実は気はひけるけど、虫や植物では試したの。時間戻したけど、その後おかしくはなっていない。」


彩菜の父「で、何がしたいんだ。」


美雪「いや、人間には怖いから出来ない。けど。。」


彩菜の父「けどなんだ。」


美雪「先生や弁護士さんが亡くなったら。試してみようかと思う。みんなに10年戻すを繰り返したら。。長く生きられる。けど。。やっていいことと悪いことがある。」


彩菜の父「使うのはもう少し考えよう。」


美雪「ただ。気になることが。」


彩菜の父「何が?」


美雪「実は。。妖力が入れば入るほど。。成長が。というか老化が遅くなっている気がするの。確信はないけど。」


彩菜の父「そうなの!」


美雪「まだ分からないの。妖怪みたいに10倍というわけではないの。私、気づいたの12月なの。それで1人でいろいろ実験して。。もし正しかったら、お父さんだけ老化スピードが仲間や家族と違うことになるから。。慌てて体液を入れたの。いや、言い方悪いな。妖力ね。」


彩菜の父「まあ、それはいいんだが。。何か調べる方法はあるのか?もしかしたら先生が細胞を調べたら分かるんじゃないか?」


美雪「それは可能性あるわね。あと、私の仮説だけど。人間の。。あの。つまり。。例えば。さよさんが人間とキスたり。。つまり、人間の体液を身体に受けたら。。人間の老化に近づくんじゃないかと。」


彩菜の父「えっ。本当なのか!どうして思ったんだ。」


美雪「人間の老化スピードが遅くなるのを考えて、ふと、お母さんのスマホに写ってるお父さんと出会ったばかりの写真と死者の村のお母さん。確か7年の差のはず。妖怪には数ヶ月のはず。でも2、3年くらい老化している気がするの。ただ、正直分からない。気のせいかもしれない。だから妖怪村に来てほしいの。」


彩菜の父「もし事実なら、人間と妖怪は交わってはいけないのかもしれないな。だが、私達は交わった。これは心も通じ合っている今となっては正しいことだと思う。だから妖怪との交わりはいいとは思う。しかし時間を巻き戻すのは。。確かに先生のその時は。与えられた能力だ。やっていいと思う。」


美雪「ただね。死んだ金魚は戻らなかったの。生き返るわけではない。だから生きているうちなのか。生命細胞が生存しているまでなのか。そこにリミットがあるみたいなの。」


彩菜の父「金魚はどうなったんだ?」


美雪「小さくなった。つまり、若返った。だけど死んだままだった。」


彩菜の父「時間が巻き戻っていないわけではないな。何故生き返らないんだ。分からない。」


美雪「生命を維持するのはとても複雑なのかもしれないわ。10円玉が若返るのとは訳が違うのかな。」


彩菜の父「この銅の塊が10円玉に戻せたら。。すごい力を手にすることになる。」


美雪「あまりに危険だから、本当にどうしようもない時しか使わない。研究のためにやっただけ。生命に時間の巻き戻しは悪影響は及ぼさない可能性は高いけど何が起こるか分からない。あまりに危険過ぎるから本当に特別な時だけ。」


彩菜の父「記憶や経験はどうなるんだ?」


美雪「金魚の状態やいろいろ考えると。。恐らく、消えないと思う。」



彩菜の父「しかし。どうする。」


美雪「何が?」


彩菜の父「このことは私達だけの秘密には出来ない。知らなかったとはいえ妖力は皆に入っているんだ。」


美雪「隠すつもりはないの。ただ、今のあやふやな状態で報告は出来ない。だからもう少し研究したい。いくら妖力が入ったとはいえ、成長が10倍遅くなることはないはず。」


彩菜の父「んー。例えば髪の伸びるスピードは妖怪と人間で違うのかな?」


美雪「違うかもしれないけど、そもそも人間と妖怪が伸びるスピードが同じかは分からない。ただ、私は爪の伸びるスピードが前より遅いような気がするわ。生理が長くなった感じはないけど。。私、最初から妖力あるし、妖怪の血筋だし。。ただ、元々長い傾向はあるの。とにかく良く分からないけど、スピードが遅いといっても、せいぜい2割じゃないかと思う。」


彩菜の父「1年で。70日か。5年で1年か。。ああ、2割なら当たり前か。。私としたことが。ああ、妖怪の生理は。。70日とかなのか?年に1回?簡単に妊娠しないぞ。滅んでいないとおかしい。」


美雪「聞いてないから分からないけど。。70日も続いたら出血多量で命落とすと思う。」


美雪「不自然なスピードじゃないなら私達人間はいいと思う。ただ、妖怪は寿命が短くなる。それがいいことなのか。。お母さんとおばあちゃんしか人間の体液を取り込んだ妖怪はいない。けど、2人とも比較的早く亡くなっているから、正確な老化スピードは明確には出来ないと思う。人間と妖怪の老化の違いは研究しても正確な答えにはたどり着かないと思う。たどり着くなら。時間も何もかも自在に操れることになると思う。そんなことは知ってはいけないと思う。」


彩菜の父「我々の遺伝子を調べたら何か分かるかも。」


美雪「先生が言ってたの。遺伝子検査は専門期間に出さないと解析出来ないから、絶対に出してはいけないって。何かバレたらマズいことになる。」


彩菜の父「可能性あるとしたら、私達で装置を作るかだな。。だが、さすがに作るの無理だろうな。」


美雪「考えるだけは考えてみましょう。」



彩菜の父「まあ、確かに深刻な話ではない。人間は長生き出来ることになるし。ただ、さよさんが人間と結婚したら。。その時までには何か分かるといいな。さよさんは気にしないだろうけどな。」


美雪「彼女は明らかに人間社会のほうが向いているわ。妖怪村ではもて余すほどの知的能力がある。」


彩菜の父「とはいえ、有名人にはなれないよ。温泉経営で活躍するしか活用方法はなさそうだ。」


美雪「それか人間の代理で裏で。。それでも有名になってはダメだね。裏切られたらヤバいし。まあ、さよさんは私達仲間との生活にしか関心はなさそうだけど。」


彩菜の父「まあ、一度。死者の村には行こうか。研究という意味では興味はある。だが使うのは避けたい。」


美雪「私もそれは同じ考えです。今寒いから、春に行きましょうか。もう少し研究したいし。」



彩菜の父「分かった。夕食食べたら帰るか。」


美雪「そうね。もう学校始まるし。」



 2人も畑作業に加わり、夕食の後に両家は帰宅した。



 彩菜の父は考えたかったため、母に運転を任せて考える。美雪から聞いた話や状況を聞く限り、どう考えても、妖力と遺伝子が老化の違いに関与しているとしか思えなかった。

 遺伝子が変化している可能性は低い。妖力の影響分だけ老化スピードが遅くなるのだろう。。まさか時間の流れが遅くなるのか?いや、さよさんの動きには違いはない。時間の流れは関係ないだろう。。



 全く分からない事象に答えの出ない父だったが、知ってはいけないことだろうと感じ、研究者らしくなちが結論が出なくても、これに関しては気にしないことにした。


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