「第80話」新年
年越しで夜更かししたため、遅い朝になった元日。
彩菜の母は雑煮を作る。が、いつまで経っても起きて来ない。
彩菜の母「皆さん。そろそろ。食事は朝昼兼用よ。」
みんな揃って、雑煮を食べる。
さよ「何か。。食べる物がみんな美味しいな。。幸せ。」
彩菜「そうかな?雑煮は正月に食べるけど。。普通じゃないかな?」
美雪「ねえねえ、お母さん。ぜんざいは?」
彩菜の母「あるわよ。後で、おやつ代わりに食べましょう。」
先生「だらだらしてても何だし。。近くの神社に初詣に行くか。」
弁護士「そうだな。皆さんが来ないと行くことなんてないからな。」
長老「懐かしいな。昔、久美子と行ったよ。」
彩菜の祖母「あそこはものすごく混んてたね。さすがに、こちらはそんなことないでしょうね。」
佳代「さよさん。100円玉5枚くらいあげるわ。」
さよ「何?キラキラしてる。何これ?」
長老「お金だよ。」
さよ「おかね?」
彩菜の父がおんぶして、神社に向かう。
さよには良く分からなかったが、初詣に行くとみんなの真似してお金を投げると手を合わせる。
美雪「さよさん。お願いごとするのよ。今年も幸せになれますように。とか。。まあ、叶う訳じゃないけど。正月の行事よ。」
さよは、足が治って幸せになりますようにと祈った。
行きは彩菜の父がおんぶしたが、帰りは大輝がおんぶして帰った。
彩菜「ねえ。さよさん。自販機がある。お金入れて。」
さよが100円を入れる。
美雪「足りないよ。150円って書いてあるから、もう一枚。」
さよ「分かったわ。。あっ。赤くなったよ。」
大輝「好きなの押してごらん。」
さよは、ぶどうジュースを押すと音がした。
佳代がジュースを取り出し、さよに渡す。
先生「お釣り50円取り忘れてるぞ。」
さよは50円をもらった。
さよ「なるほど!お金が物と変わるんだ。。温泉で働くとお金もらえるって。。働いたら、買うもの自由に選べるんだ。。人間の世界ってすごい!」
先生「お金というものを知らなかった者がすぐに理解するとは。。さよさんの頭はものすごくいいなー。」
弁護士「多分、人間より妖怪のほうが頭がいいんじゃないか?雪さんも長老も、どう考えても優秀だぞ。」
美雪「まあいいじゃないですか。さよさんは、魅力的な服買うといいわ。」
彩菜の母「下着は私が用意するからね。」
さよ「したぎ?」
彩菜の母「ああ、また持ってくるわ。」
美雪の家に戻るとぜんざいを食べる。
さよ「甘〜い。」
美雪「ぜんざい。好き。美味しいな。」
先生「さよさん、今後の予定だが、骨がいい形になったら、筋肉付ける。1ヶ月も固定すると筋が固まるから最初伸ばすのは痛いからな。しっかり筋肉ついたら歩く訓練だ。」
さよ「はい。」
彩菜の祖母「歩けるようになるといいわね。私は神社でお祈りしたからね。」
弁護士「なんだ。私もだよ。」
先生「わしも。」
彩菜「あら。私もよ。」
美雪「私も。」
彩菜の父「ひょっとして全員?」
佳代「私も。」
彩菜の母「私もよ。」
美雪「おばあちゃん。何で黙っているのよ。」
長老「わ、わしは今年も美味しい物、食べれますようにって。。」
美雪「ちょっと、おばあちゃん。長老でしょう?何をしてるのかなー。」
佳代「まあ、おばあちゃんらしいわね。」
さよ「みんな私のために。。うれしい。」
先生「まあ、正月くらいのんびりするか。」
美雪「妖怪村は正月は?」
長老「そんなものはない。わしが村長になって日曜日は休むようになった。ただ、冬は雪が積もるから、滅多に外に出ないがな。」
彩菜「冬はずっと休みってこと?」
長老「まあ、そういうことだな。」
大輝「しかし、さよさん軽かったな。もっと食べないとな。だけどさよさんは人間の世界ではモテると思うぞ。」
さよ「私。。人間に心を教わったから、人間好きよ。だから。。それもいいかも。」
彩菜「火炎小僧はあなたの一方的な片思いでしょう?帰って自分が告白してダメだったら、人間もアリね。人間は男が余ってるから選べるわよ。」
さよ「そうなんだ!妖怪は男が少ないから。。私には順番回ってこない。選んでもらえないのよ。」
彩菜の母「何言ってるの!自分が幸せにしたい男なら待つんじゃないわよ。自分から行くの。自分が選ぶのよ!」
彩菜「裸になって迫ったら大丈夫よ。」
彩菜の父「こら!知識が備わってない人に、そんなこと教えるな。」
彩菜「だって。。お母さんがそうなんでしょう?」
彩菜の母「仕方ないでしょう?妹としてしか見てくれなかったから。最後の手段よ。」
佳代「まあ。あのおっぱいは。。イチコロでしょうね。」
彩菜の父「まあ。。すごかったですね。」
さよ「おっぱいを大きくしないといけないんだ。」
大輝「いや、違うから。魅力の一部だよ。さよさんはかわいさと童顔が魅力。いいところを磨くんだよ。」
さよ「彩菜さんのお父さん。私が美雪さんみたいなおっぱいだったら。裸になったら選んでくれる?」
彩菜の父「諸事情があって今は選べないけど、独身だったら、さよさん選ぶだろうな。。でもやっぱり、女は選ばれるものじゃないよ。お互いに愛し合う人が本当の相手。僕は妻の気持ちに気づいてなかったから。妻のおかげで気づいたから。愛したんだよ。」
さよ「諸事情って?」
彩菜の母「いやいや、家庭があって家族もいるからね。自由には出来ないわよ。」
さよ「何で?」
佳代「何で?って。。どういうこと?」
さよ「妖怪村では、2番目でも喜んでなるわよ。」
彩菜の父「ウソでしょう!すごい世界だな。。考えられない。。2番目?ええ是非。」
さよ「お尻触らせたから。。いいよ。」
彩菜の母「いや、ダメよ。あなた幸せになるの?」
さよ「人間のほうが先に死ぬから。。人間なら2番目でもいい。一緒に幸せな時があればいいと思った。」
彩菜の母「なるほど。。確かにそれならいいかも。」
美雪「ちょっと、ダメでしょう!彩菜より考え変でしょう!」
彩菜の母「一番は私だから。。でも、さよさんはそれで幸せ?」
さよ「妖怪村では普通だから。。」
先生「なるほどな。。女が余ってるからだな。」
長老「妖怪村は昔からだ。男は死ぬから少ないんだ。」
大輝「あの〜。私もお尻触ったから。さよさんの3番目は。。」
佳代「あなた〜〜っ!何考えてるの?」
美雪「ねえ、3番っておかしくない?お父さんの2番目でしょう?」
大輝「いや。さよさんの3番目だよ。彩菜さんのお父さんが2番だから。。」
さよ「えっ!1人にも愛されたことないのに。3番目?うれしい〜。是非。」
長老「さよ。あのな。女は1人だろう。これは村の決まりだぞ。」
彩菜「それって不公平よ。」
長老「誰の子か分からなくなるじゃろう?」
先生「まあ、今の人間の技術だと。。誰の子かは完璧に分かるんだ。」
長老「だったらいいか。。」
美雪「良くないでしょう!」
さよ「でも、村の決まりだけど妖怪を2番目に選ぶわけじゃないから。人間だから決まりは破ってないよ。」
長老「うむ。。そもそも人間と付き合うことはないから。。決まりになってない。いわゆる常識ってやつだじゃよ。」
彩菜の祖母「妖怪と結婚して、2番目、3番目で人間と恋を楽しむならいいんじゃないかい?人間は先に死ぬからな1番には向かない。」
美雪「いや〜。彩菜の家族の考え方って斬新過ぎて。。私、ついていけないわ〜。」
さよ「私。。人間の魅力も理解した。だから、そういう形もいいと思って。」
彩菜の母「まず身体治して、魅力的になってからね。応援するわ。」
彩菜「えっ!お父さんが2番目でも?」
彩菜の母「1番じゃないならいいわよ。」
佳代「お母さん。冷静になって。おかしいわ。」
彩菜の母「あら冷静よ。」
美雪「それなら、私、お父さんの2番目になれるの?他人よ。」
佳代「ダメよ。偉大な雪さんの子よ。1番になっちゃうわよ。」
大輝「いや〜。娘としか見れないから。。」
美雪「正月早々フラれたよ〜。」
彩菜の父「何が正しいかは分からない。妖怪の世界には妖怪の世界の決まりがある。身体治す間に考えたらいいさ。」
先生「妖怪がか分からないが。。さよさんはかなり頭がいいな。」
弁護士「なんか。かわいいさよさんが、恋多き女になりそうだな。。ちょっと悲しいような。。まあ、ずいぶん不自由な思いしてきたんだ。取り返すためなら応援するよ。」
簡単な夕食を食べ、早めに寝るために部屋に入ると議論が白熱したが、結婚する1番目は妖怪。相手が許可した場合は2番目は人間ということなら、妖怪村の決まりには違反しないという結論になり、その考えで行くことにした。
ただし、彩菜の父と大輝は相手に選ばないことを条件で応援することにしたが、1番目も決まらないうちに2番目を選んでいる場合ではないため、まずは1番目を見つけようということになった。
さよには足の不自由で、ずっと未来など見えなかった人生が余りにも広がってきたため、楽しみと同時に冷静さも必要だと思った。
が、人間の魅力を知ってしまった今。さよは1番目は人間になるのではないかとも思った。




