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妖女 美雪  作者: ぴい


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「第75話」騒ぎ

 やけど治療で疲れたのか美雪は良く眠れたようだ。


彩菜「美雪。体調どう?ごはんよ。」


美雪「大丈夫。さあ、今日も畑頑張りましょう!」


 

 移動装置で大輝がやってきた。


大輝「皆さん。おはよう。」


美雪「ん?どうした?」


大輝「胃カメラの電流値を測りにきたんだよ。ちょっと行ってくる。」


 

 食事を終えて畑作業をしていると大輝の声がする。


大輝「美雪!」


美雪「何よ。」



 大輝が手招きする。


美雪「何よ。忙しいんだから。」


大輝「いや、あのな。あの妖怪村の装置が赤く光ってるんだけど大丈夫か?」


美雪「えっ?ああ。あれは村の者がおばあちゃんに用事なのよ。インターホンみたいなものなの。ねぇ〜、おばあちゃ〜ん!妖怪村から誰か呼んでるよ。」


長老「何じゃい。昼までに終わりそうだったのに。全く。行ってくるよ。」


大輝「じゃあ畑は俺が手伝うよ。」



 おばあちゃんは妖怪村に行き、大輝が畑作業を手伝うと昼までに作業は終わった。


彩菜「おばあちゃん。苗植え来週お願いね。」


彩菜の祖母「ああ。任してくれ。」



 長老が悩ましい顔つきで帰ってきた。


美雪「何。深刻そうね。人間が来たの?」


長老「いや。。あのな、死者の村で騒ぎがあったみたいだ。1人むちゃくちゃ悪いやつがいるんじゃが。向こうの長と対立して、負けそうらしい。」


美雪「負けるとどうなるの?」


長老「あいつが長になる。」


彩菜「やっつけられないの。。」


長老「あっちの世界は死んでも復活するからな。長が何回もやられてるらしい。生きてた時もクズだったからな。しかし、わしらではどうにもならないんじゃないかな。」



美雪「何か出来るなら行くわよ。」


長老「そうだな。。解決するか分からんが。。悪いが来てくれんか。」


大輝「おい大丈夫か。そんな強いヤツに美雪では。。」


長老「いや、美雪に勝てるヤツなどいないんじゃ。ただな。。死者は死んでも復活するからな。。」



 美雪は何となく分かった気がした。


美雪「なるほど。。だからか。。ふーん。恐らくそういうことね。」


長老「何がじゃ?」


美雪「えっ。ああ、向こうで話すわ。ねえ、おばあちゃん。そいつ消していいの?」


長老「妖怪の世界では邪魔な存在だった。だから消えて欲しいが消えてはくれないんじゃ。ずっと閉じ込めていた封印室から脱出したらしいんじゃ。」


美雪「行きましょう!危ないからおばあちゃんと2人だけね。」


彩菜「ケガしたら私が治さないといけないから私も行くわ。」


長老「いや。。やめたほうが。。。」


美雪「おばあちゃん。彩菜は言い出したら終わり。」


長老「しかしなあ。。」


美雪「じゃあ2人にはシールド張るから。」


長老「分かった。分かった。」



 3人は死者の村に向かった。


火炎小僧「ああ長老。もう負けそうだ。村長、降参しそうだ。」


長老「何?そんなことはあってはならん。」


美雪「ねえ。門番さん。あなたは生きてるの?」


門番「私?私は生きてますよ。死者はこちら側には来れないですから。」


美雪「何故来れないの?」


門番「掟ですから。」


美雪「掟?本当かな?別の理由があるから掟じゃない?まあいいわ。入るからね。」



 死者の村に入って行く。


美雪「お父さん。お母さん。ちょっと解決してきます。」


純一「美雪!ダメだやめろ。お前はまだ死んではいけない。」


長老「力なら美雪のほうが比較にならないくらい上じゃよ。ただな。あいつは生き返るからな。」


雪「おばあ様。もう封印の部屋は、あれには通用しないわ。」


美雪「おばあちゃんと彩菜はここで待ってて。」



 美雪が瞬間移動で死者の村の長老の真横に移動する。


死者の村の長老「ん?だ、誰だ。君は。」


妖怪「何だお前は。邪魔だ!どけ!」


美雪「うるさいなー。村長と話があるんだよ。クズ妖怪が。黙っとけ!」



 美雪が炎で妖怪を熱した後に、氷で固めると、氷を砕いて粉々にする。



死者の村の長老「す、すごい力だ。。だが、しばらくすると復活してしまうからな。で、あなた誰?」


美雪「私?私は。。あそこの雪さんと純一さんの子供。ねえ。私は死者じゃないの。ねえ、特別にあのクズを死者の村から出してくれないかな?」


死者の村の長老「いや。さすがに。。掟だからな。」


美雪「私の推論だけど、村長が認めた場合はその限りではないって条文があるはずだけど。」


死者の村の長老「ちょっと待って。」


 長老は掟の書を見ると確かにある。


死者の村の長老「ああ、確かにあるぞ。何故分かるんだ。」


美雪「やっぱりそういうことか。ねえ。ずっとやってても仕方ないわ。消し去りましょう。例外認めて。」


死者の村の長老「わ、分かった。認めよう。」



 妖怪が復活して戻ってきた。


雪の母「ねえねえ。ちょっと雪。あんた、とんでもない子を産んだわね。いやー。すごいなー。」


長老「美雪に勝てるヤツなどいないぞ。」


雪の母「あら、お母さん。久しぶりじゃない。あっ!また始まるわね。」



妖怪「きさま。。よくもやってくれたな。名前は。」


美雪「いや、名乗るほどの価値をあなたには見いだせないから。あなたの名前も要らないわ。クズ妖怪。」


妖怪「な、な、何だと?」


美雪「あんたが休憩している間に、長老に許可もらったから外で戦いましょう。生きている者の世界で。」


妖怪「へー面白いじゃないか。俺が新しい村長になったら全員自由にするつもりだったからちょうどいい。行くか。」



 2人は死者の村から外の広場に出た。


長老「み、美雪。なんてことを。。」


彩菜「あーっ。なるほど!そういうことか。いやー、さすが頭のいい雪さんの子だわー。」


雪「何。どういうこと?」


彩菜「今に分かるわ。」



 長老と彩菜、火炎小僧だけが死者の村から出て様子を見守った。



 いよいよ戦いが始まる。


美雪「かかってきなさい!ねえ。あんた弱すぎるから先に攻撃していいよ。」


妖怪「き、きさま。。馬鹿にしやがって。知らないのか?俺を倒した奴は1人もいないんだぞ?妖怪で最強の俺をナメたら知らないぞ?馬鹿な奴だ。覚悟しな。」



彩菜「ねえ。あの妖怪。かなり頭悪いみたいだわね。火炎小僧より頭が悪いわね。」

長老「頭悪いから封印室に閉じ込められたんじゃ。妖力強い奴ほど頭が悪いかもしれんな。しかし、外に出すというのは。。怖ろしいことが起こるかもしれんぞ。」



 妖怪から黒の妖力が美雪に放たれる。



 なるほど。。重力波か。。あれで相手を粉々にするのか。。確かにくらったら勝てないわね。まあ、一度食らってみるか。



 美雪は素早く全身を異空間でシールドすると重力波は通過してし、岩壁に届く前に消えた。


美雪「ん?何で消えるの?すごく弱い。つまり黒だけで闇の妖力は使えないのか。」



妖怪「な、何故だ。。何故通り抜けた。。」


美雪「ねえ。まさか、今のが本気じゃないでしょうね。」



 予想外の出来事に妖怪に焦りの色が見える。


 美雪は思った。あの程度なら、今のに加えて力で殴るくらいがせいぜいね。


美雪「謝るなら今よ。」


妖怪「な、何だと。」


美雪「謝るの?どっちよ!」


妖怪「謝る訳がないだろう!」



 再び妖怪が重力波を放つと同時に美雪に近づいてくる。


美雪「予想通りか。。残念なヤツだわ。」


 美雪は瞬間移動して妖怪の背後に回り込むと足を凍らせて動けなくすると、生きている者の世界の空間を使って異空間で囲む。


 身動きが取れない妖怪。これでは後ろには攻撃が出来ない。


美雪「あら?あなた妖力ほとんど空じゃない。ねえ。何故、掟があるか分かる?死者は、もし死者の村の外で死んだら消滅するからよ。今あなたは生きている者の世界の空間で私が囲んだわよ。今殺すことも出来るけど。。どのみち、この空間の中で死んだら消滅よ。今から遮蔽するからね。この状態から抜けるのは、私に詫びる以外では出れない。自分で出たければやればいい。待っているのは本当の死。いや消滅よ。完全に消えるの。分かる?いい?あなたに優しさが戻らない限り私は決して解除しない。長い長い時間があるから考えなさい。」


妖怪「た、助けてくれ。頼む。」



 美雪は妖怪の異空間を閉鎖すると、重力を無効化して空間を死者の村の中に入れた。


彩菜「美雪。温情措置いるかな?消して良かったんじゃないかな。」


美雪「まあ。。いつでも勝てるから、何か可哀想になってね。最強じゃない挫折を味わったら変わるかもね。まあ知恵ついても脱出も私を倒すのも無理ね。一つの妖力しかないし、それすら私より弱いから。」


雪の母「お母さん。とんでもない強さね。誰も勝てなかったあいつが全く歯が立たないなんて。」


長老「わしらとは桁違いじゃ。負けないことは分かっていたが。。まさか消し去ることも。。考えられない。」


雪の母「雪。あんたすごいわね〜。」


雪「いや〜。私、ただ愛されただけだし。。あっ!村長がなんか言うみたい。」



死者の村の長老「皆さん。お騒がせしました。今回の騒ぎの責任を取り村長を降ります。新しい村長は美雪さんです。」


美雪「ち、ちょっと。な、何を言ってるのよ!私は死んでない。生きた者が死者の村の村長なんてあり得ない。無理無理。それに、私はお母さんみたいに素敵な旦那さん見つけて恋しないと死ねないから。危ない奴はもう閉じ込めた。村長は辞めないで下さい。」


火炎小僧「あの。美雪さん。旦那なら良かったら私が。。」


長老が火炎小僧の頭を叩く「お前は親にも子にも。。バカか!きさまでは美雪の器じゃないわい。」



 火炎小僧は、美雪に抱きつき「美雪さん。尊敬してます。」


美雪「ん?火炎小僧。。だ、誰が私の胸に顔を埋めていいと言った!馬鹿野郎!」


 美雪は火炎小僧を風の妖力で吹き飛ばし、火炎小僧は岩壁に打ちつけられて瀕死状態だ。


雪の母「うわー。どんなけ妖力使えるのよ。すごいわね。」


長老「存在する妖力全種類じゃ。しかも全て同時に出せるんじゃ。」


死者の村の村長「はっ?そんな妖怪は何千年で一度も現れなかった。信じられない。」


美雪「あのね、あまり言わないほうがいいから。内緒の話だけど、空気中の妖力使うから同時に出せるの。自分の妖力だと全部出せるけど同時は無理よ。」


長老「内緒にしなくても、誰も出来るようにはならない。」


雪「美雪。火炎小僧が死にそうよ。何とかしなさい!」



彩菜「あらら。本当だ。また治さないと。」


美雪「ちょっと彩菜。私の胸に顔を埋めたのよ?許せないわ。私は力貸さないからね。」


雪「美雪。許してあげなさいよ。すごく感動してたみたいじゃないの。」


彩菜「そうよ。減るもんじゃないし。」


純一「いや、その考えはおかしいよ。」


長老「彩菜。背中。」


 長老が背中に妖力を入れると、火炎小僧はたちまち完治した。


雪の母「うわ〜。何よ!ものすごい治癒妖力ね。こんなの過去に見たことないわ。。」


雪「彩菜さんは人間よ。」


雪の母「えっ?人間なの!すごい妖力ね〜。」


長老の夫「いや〜。我が家系も安泰だな。」


長老「おお。久しぶりじゃな。もう少ししたらそっち行くからな。美雪は、私達の研究したものを2週間で覚えたらしいぞ。今ではこれだからな。すごいひ孫だろう。」



 火炎小僧は命を助けてくれた彩菜が女神のようで、彩菜に抱きつく。


彩菜「よしよし。」



美雪「ちょっと!何やってるのよ。よしよしじゃないでしょう。小僧。お前。。また胸に顔埋めて。」


彩菜「いいじゃない。減るもんじゃないから。」


雪、純一、美雪、長老「だから、その考えはおかしいって。」

 


彩菜「あーっ!あと10分で1日よ。ヤバい。」


村長「それは今日は例外だ。村をあげてお礼したい。」


美雪「大丈夫。私達だけ一度外に出てるから掟は守ってます。ちょっと火炎小僧。いつまでやってるのよ。しっかりしなさい!」


火炎小僧「は、はいっ!」



 死者の村のみんなに感謝され、急遽宴が開かれた。


村長「しかし。何故、村の外だと消えると?」


美雪「何となく。何故こちらから行っていいのに、そちらはダメか。あと闇妖力って時間をさかのぼることが出来るの。だからいろいろ考えたら。。たぶん、そういうことだろうと。あと、恐らくだけど生きた者はだいたい1日以上いると死者になるんじゃないかと思う。それが掟の理由じゃないかな?一番危ないのは生きている者が死者になっているのを気づかないで外で死んだら消えてしまう。そういう混乱を防ぐために掟にしたのだと思うわ。」


村長「なるほど。。理にかなっている。まさか、そんな理由があったとは。。」


美雪「幸いさっきの戦いで生きている者は一度外に出てるから。あと23時間は私達は死なないから大丈夫。」


雪の母「ちょっと何よ。頭までいいの!私の自慢の孫じゃないの。死者の村で鼻が高いわ。」


雪「まあ。。まさかよね。そもそも、お母様は生きた者の世界では英雄ですから。」


純一「まあ。。一番頭良くて綺麗なのは雪だな。」


雪「あら。優しさはあなたよ。」



彩菜「あら〜。ちょっと、いい雰囲気ねー。今夜が楽しみね〜。」



長老「こら!彩菜。全く。。」


美雪「全くもう。。そういえば火炎小僧。毎日、食事を閉じ込めた異空間に入れて。帰る時に扉つけるからさあ。」


火炎小僧「いやいや。出てきたらどうするんだよ。おっかない。」


美雪「手出した瞬間に斬り刻むようにするから大丈夫。妖怪には警告しておくわ。治癒妖力もないならあいつはそんな怪我したら消えるから。」



大輝「おい美雪。何やってるんだ?どんな状況なんだ?」


美雪「ああ、お父さん。解決したから宴会よ。」


大輝「何だよ。連絡くらいしろよ〜。心配したじゃないか。」


彩菜「だって電波入らないじゃない。」


大輝「しかし、これは豪華だな。ちょっと彩菜さんのおばあちゃん達も呼んでくるわ。夕食無しだろう?」



 佳代と先生、弁護士さん、彩菜の祖母も一緒に連れて、酒の差し入れをすると宴は更に盛り上がり、純一も雪も、親族みんなで楽しんだ。

 初めての家族勢揃いで美雪は嬉しかった。



 よほど長くいたためか美雪の家に戻ったのは夜7時過ぎになってしまった。


美雪「やばい。明日学校だから帰るね。来週日曜に妖怪村に行くからお願いね。そういえば、彩菜のお父さんは妖力入ってないわね。今度入れないと。」


彩菜「お願いするわ。ねえ、さすがに帰りは電車はやめましょう。ちょっと電話するわ。」


大輝「電車で帰らなくても大丈夫だろう。私達も扉で来たし。村人も暗いから気にしないよ。」



 解散となり、各自楽しい時間を深く思い出として刻み込んだ。


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