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妖女 美雪  作者: ぴい


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「第67話」制圧

 美雪「火炎小僧。あなたの根性の悪さは聞いてるわよ。村で長老の次に強いらしいわね。でも本当に頭は悪そうね。いい?まず、私は雪じゃない。私は美雪。雪は私のお母さんよ。お父さんは人間。あなた程度が、私に勝てるかしら?」


火炎小僧「な、なんだと?きさま、ふざけたことを。覚悟しな!」



 村の者の前で侮辱され怒りがこみ上げると火炎小僧は、激しい炎を美雪に飛ばす。


美雪「へー。炎はさすがね。」



 美雪は台風並の突風で炎だけではなく、火炎小僧ごと吹き飛ばし、火炎小僧は木に激突した。火炎小僧は一瞬にして瀕死状態だった。



美雪「全く。あんた本当に2番なの?しょうがないな。彩菜、治してあげて。」



 彩菜を連れて、美雪は彩菜の背中に手をあて、プロテクトガードを一部開放すると彩菜の強力な治癒の妖力で火炎小僧の身体は、たちまち治ってしまった。



 村の者は、あまりの妖力使いの2人に驚愕し、困惑している。



美雪「いい?火炎小僧。良く見なさいよ?風と火と氷はね、こうやって同時に出すのよ!」



 3つの妖力の術が岩壁にぶつかる。村の者は、一撃で全ての妖怪がやられることを理解した。



 美雪は彩菜と手を繋ぐと、空を飛んで長老の隣に戻る。

 すぐさま美雪だけが、瞬間移動で火炎小僧の前に向かい、目の前に姿を現した。


美雪「さあ、身体も治ったことだし、もう一度戦いましょう。」



火炎小僧「う、うわーっ。。か、勘弁してくれ。同時に3妖力出せるやつに勝てるはずがない。」


美雪「あら。妖力切れたら勝てるんじゃない?もっとも私は自分の妖力は一切使ってないけどね。空中の妖力使ってるから、限りなく無限だけどね。」



火炎小僧「な、なんだって!。。。そんなの。。勝てるわけない。負けだ負けだ。認めるよ。俺の負けだよ。」



美雪「しかし、あんた。ずいぶん妖力使って。仕方ないな。。はい、飲みなさい。」


火炎小僧「これは何だ?」


美雪「負けたんだろう?黙って従って飲め!」



火炎小僧「わ、分かったよ。。ん?。。な、なんだこれは。。一瞬で妖力が回復したじゃないか。。」


美雪「すごいでしょう?さあ、だったら戦えるわね。」


火炎小僧「だから、勝てないって。勘弁してよ〜。」



美雪「長老。みんなにサプリ配って。皆さん!皆さんへの長老からのお土産よ。」



美雪「でも、あなた達いいの?人間を殺さなくて。」



村長「み、みんな!聞いてくれ!その掟は、この方達には当てはまらない。この方達は村を救ってくれたお方だ。殺してはならぬ。もっとも誰にも殺せないだろうがな。」



美雪「火炎小僧。彩菜を殺してみて。」


火炎小僧「いや、けどよ~。」


美雪「負けたら服従なんでしょう?いいからやりなさい!」



 彩菜は察して、堂々と立ったままだ。火炎小僧が素手で殴ると拳が彩菜を通過してしまった。


長老「美雪!。。お、お前。。だから、背中触って。最初から考えてたということか。。」


美雪「でも、手と足と口だけは開いているわよ。」



 全員で妖怪村の広場に移動し、美雪が人間世界の話、長老との関係、お母さんの話をし、温泉のプランや報酬、報酬で何をどうやって買うかを説明した。


妖怪A「あのー。私みたいに姿が人間と違うものは、どうしたら。。こんな私が役に立つんでしょうか?」


美雪「裏方で役割もあるし、空間に入って仕事するなら外から見えないですよ。そうね。今見せるわね。」



 美雪が異空間で仕切った部屋を作り扉をつける。


美雪「火炎小僧。中に入りなさい。」


火炎小僧「は、はい。」



 火炎小僧の姿が消えると、村人の間に驚きの声が上がる。美雪が手招きで合図すると火炎小僧が出てきた。


美雪「外から見えない。中からは見える。中の音も出ない。これなら姿見えなくて仕事も出来ますよ。安心して下さい。」


彩菜「だけどさー。あなた達。ずっと閉じこもってたから、おかしくなるのよ。こんな綺麗な花が綺麗に見えないの?鳥だって家族で楽しそうに飛んでるよ?見えないの?そんな心で何百年も生きて幸せなの?みんなでもっと幸せになりましょうよ。私達と一緒に。」


彩菜の祖母「力じゃないわよ。愛と思いやりよ。みんなで幸せになるの。」


 彩菜と彩菜の祖母の言葉で、妖怪村の者達の雰囲気が一気に変わり、やる気に満ちている。


村長「全員異論はないようだな。人間の中で、この方達とだけは交流して、皆で幸せになろうじゃないか。」


 すっかり村の者達は活気づいている。



火炎小僧「美雪様。一生ついて行きます。」


美雪「あのね。私のほうが先に死ぬから。妖力で他人のものを奪ったりしたら許さないからね!」


火炎小僧「は、はい。」



彩菜の祖母「あなたは、本当は優しいわよね。いっぱい辛い思いをしたのよね。みんなで幸せになるの。分かった?」


火炎小僧「はい。お婆様。」



彩菜「とりあえず、みんなに様つけるのはやめなさい。いい?妖力が強い奴が偉いんじゃない。みんなで力を合わせるほうが遥かに強いのよ。」


火炎小僧「はい。彩菜様。」


彩菜「だから、様つけるな!妖怪村の全員に様つけるのなら、いいけどね。」  


火炎小僧「申し訳ありません。」


美雪「ダメね。皆さん。今から温泉作るから、2年はかかると思います。もしかしたら完成しないかもしれない。でも、その場合も私達は皆さんとは仲良くするつもりです。では、今日は帰ります。また来ますね。」



 美雪は、移動装置をいつもの遮蔽する形に作り直すと4人で乗り込む。

 帰りは一気に飛んで帰った。


 すごいスピードに興奮する彩菜の祖母だった。


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