「第66話」来村
勉強に集中して過ごした1週間を終え、美雪と彩菜はおばあちゃん達の住む実家に行った。
美雪「おはよう。それで、おばあちゃんは村の妖怪の者と話せ。彩菜のおばあちゃんは空飛びたいと。。ちょっと、昼まで考えさせて。」
彩菜「おばあちゃん達。畑の土を整えて、肥料まきましょうか。」
長老「分かった。久美子、行こうか。」
3人が畑に行くと美雪は考える。
空飛びたいのは簡単だからいいとして、村の者か。。役員が難色を示しているのは当たり前だわね。村の維持に不安材料になる。変えたくないだろうな。
しかし、何百年も生きて毎日毎日狭い世界で生活して楽しいのかな?退屈だから、妖力を競い合って。視野が狭くなっているんじゃないか?
妖怪の村人の心が荒んでいる要因じゃないかな?
私達の温泉経営には欠かせない存在だと思う。あれだけのパワーがありそうな人はいない。少ない人数で力仕事が出来る。人間を雇うほうが煩わしさは大きいんじゃないか。。
役員は。おばあちゃんが説得してダメで私を呼んだ。一撃で納得したわね。
これって、結局は妖力が強いから。村の者を納得させるのは言葉や心じゃない。人間に心は閉ざしている。となると。。
美雪「おばあちゃん。村の役員と会いたい。」
長老「おお、行こうか!」
彩菜「畑は終わったから、ごはん作るから。。そうね。2時間くらいで帰ってこないと昼ごはん無しよ。」
長老「美雪。終わらなくても帰らないと。」
美雪「何それ!全く。。」
村に装置を使って向かうと、役員が長老の家に呼ばれる。
美雪が役員に説明するが納得は得られなかった。時間切れとなり、美雪の家に戻ってきた。
彩菜「どうだったの?」
長老「美雪でもダメじゃ。」
美雪「でも、おばあちゃん。給料の差が誤解だというのは理解させたんだね。やるわね。」
長老「いや〜。それほどでも。。それに関しては役員だけじゃなく村の者も理解させたんじゃぞ。」
美雪「へー。村の者まで。。そうだ。昼ごはん食べたら、彩菜のおばあちゃん。空飛ぼうか。」
彩菜の祖母「いいのかい!」
美雪「じゃあ。4人で出かけましょうか。」
昼食後、美雪は準備する。段ボールを移動装置に運ぶ。
美雪「おばあちゃん。妖力減ってるわね。背中みせて。妖力満タンにするわ。彩菜のおばあちゃんも妖力入れるわよ。彩菜は?彩菜は満タンね。行きましょうか。」
美雪は3人に内緒で異空間のプロテクトガードを施した。異空間で覆っているため、攻撃されても通過してしまう。口と足の下部と手だけはガードしていないが、万が一のことがあっても彩菜の治癒の妖力ならば回復可能だと思った。
彩菜「美雪。靴下2枚よ。おばあちゃんも。」
美雪「ああ、そうだったわね。自分のガードが一番甘かったわね。やっぱり彩菜ね。」
準備が整うと4人は装置に乗り込む。
美雪「今回は命綱をつけて。足に繋ぐわね。取手につかまってね。一応、下には落下防止ネットがあるから大丈夫だとは思うけど。」
彩菜「どうして?」
美雪「今日は観光だから、遮蔽はしないの。下板しか異空間ないわ。下からは見えない。けど、他からは見える。風が感じられるほうがいいでしょう?見られたらマズいから高く飛ぶからね。今日は、スピードもあまり出せないわね。」
彩菜「それはそれで楽しそうね。美雪。段ボールも命綱つけないとマズくない?」
美雪「本当だ。落としたらとんでもないことになるかも。。まあ、山だからいいけど、落ちないようにしないとね。」
彩菜「昼間は、寒くもなくてちょうどいいね。」
美雪「おばあちゃん。いい?出かけるよ。」
彩菜の祖母「楽しみだわ〜。行こう!」
彩菜「おばあちゃん。ノリノリね。」
素早く上空100メートルくらいまで上がると、村を周回して、山に向かう。1時間くらい飛ぶと妖怪村が近づいてきた。
彩菜の祖母「すごい山奥ね。。あれが妖怪村なの!おばあちゃんの村なのね。」
長老「左がお前さんと出会った場所だな。山菜がいっぱいあってな。。偶然見つけたんじゃよ。滅多に行かないからな。。本当は家も見せたいんじゃがな。。」
美雪「ちょっと飛び方変えるね。」
美雪は大量のサプリを手にしながら、おばあちゃんの飛び方に変える。
長老「美雪、音がうるさいぞ!」
彩菜「まさか。美雪!」
長老「お、おい!美雪、待て!」
美雪は下降して、村のど真ん中にそのまま降りてしまう。
火炎小僧「ん?おい長老。誰を連れて来た。雪!お前、生きてたのか!もう1人のいい女は誰だ?初めて見るな。ばあさんも。」
美雪「2人は人間よ。妖力はあるけどね。」
長老「み、美雪。。。な、なんてことを。。」
次々と村の者が集まり大騒ぎになっているのを見て、頭を抱える役員達だった。




