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妖女 美雪  作者: ぴい
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「第6話」喜び

 雪は、勤勉に働き、周囲の方達に次第に受け入れられていった。


 作った野菜を頂いたり、自分の作った料理をあげたり、交流が深まっていった。



 妖怪村での雪は、お婆様以外には誰にも相手にされなかった。ここに来てから、嫌な思いは一度もしたことがなかった。

 雪は思った。何故、妖怪は人間と仲良くしないのだろう。今のご近所さんとの交流を考えるとどうしても納得出来なかった。


純一「雪。何を考えているんだ?」


雪「人間って、みんないい人ばかり。何故、妖怪は人間と仲良くしないのか分からないの。」


純一「んー。雪みたいに人間と同じ姿の者はいないのだろう?」


雪「そうね。何らかの違いがある者もいるわ。けど区別つかない者も多い。」


純一「人間と違う姿や妖力を見たら人間は心を開かないだろうな。それに人間はいい人ばかりじゃないよ。東京なんて毎日、人が殺されている。人間がやっているんだ。自分勝手な奴もいっぱいいる。だから雪も、知らない人には警戒しないといけないよ。」


雪「妖怪の世界では死が重要じゃないから、もっとひどいわ。他人の物も強い者が奪う。人間界よりひどいよ。」


純一「出会ってから、いろいろ聞いた限りでは、どうやら妖怪村がそうなったのは人間のせいみたいだ。だから人間が悪いと思う。なあ雪。近所の人の目の前でいきなり、水を凍らせたら、雪からみんな離れていくよ。人間はあり得ないことや、全く違う姿には心を閉ざすんだ。」


雪「何故、純一は?」


純一「雪は僕を助けてくれた。愛してしまった。だから、全てを受け止めるのは当たり前さ。普通にしていれば、この村の人達はいい人ばかりだ。でも、妖力を見ても変わらないのは僕と友人2人だけなんだ。だから家の外では使ってはいけない。」


雪「掟みたいなものね。」


純一「そうかも知れないね。なあ、雪。僕は妖力ってあるの?」


雪「出会った時はなかった。私と身体が一つになってからは、少しだけどあるわよ。」


純一「へー。どんな力なの?」


雪「それは分からないわね。」


 雪が純一の背中の中央に手を置く。


雪「私が妖力を純一に入れるから、指から出してみて。」


純一「どうやるの?」


雪「何かに指を指して、妖力を指から出すのを想像して。」



 純一が想像すると、パチっ!と音がした。


雪「うわっ!電気よ。珍しいわ。妖力村にも昔、わずかにいただけらしい。あなた妖怪村で妖力あったらモテモテよ。」


純一「へー。でも、雪より美人いないんだろ?だったらモテる必要もないかな。。雪、妖力使わせてしまったね。回復出来るの?」


雪「半分くらい使うと1日寝ても満杯にはならないかな。あのね。。出会った日、あなたを助けたからほとんど空になったの。。完全に空になっても死にはしない。妖力が使えないだけ。だけど驚いたの。純一と一つになって純一がいっぱい私の中に愛を注いだ瞬間に妖力が満杯になったの。純一が妖力を使ったんじゃないのよ。妖力村で聞いたことはなかった。むしろ妖力使うと聞いたのに。。人間がすごいわけではないと思うの。愛が妖力を満たすんだと思う。愛してるからなの。」


純一「そうなんだ。僕がそんなにもたくさんの妖力を満たせるのか。。でもね、電気ってあまり意味ないよ。雪だってたぶん出来るよ。」


雪「うそ。。どうやって?」


純一「ちょっとズルいけどね。雪。スリッパ履いて。どこにも身体が触れないようにして、指を伸ばしてごらん。」



 純一が雪の綺麗な髪をプラスチックの下じきで擦ると、雪の指先からパチっ!と火花が出た。


雪「うわっ!全く妖力使ってないのに電気が。。」


純一「頭で電気を作って、ある程度身体に溜まると、指先から放出するの。だから、電気は人間界ではあまり価値はなさそうだな。」


雪「でも、冷凍庫があるから、私の力も意味ないわ。」


純一「人間は、自然を参考にして、電気や火。氷も作る道具を作った。妖怪と違って、楽する悪い生き物なのさ。」


雪「空は飛べるの?」


純一「お金払えば、飛べるよ。飛行機って機械で。雪は見たことないかな。この辺りは山があるから飛ばないからね。」


雪「ねえねえ。じゃあ、月は?」


純一「月は今は行ってないよ。ああ、僕たちはいけないよ。」


雪「今は?どういうこと?」


純一「昔、人間は月に行ったよ。スマホ貸して。ほら。アメリカのアポロ計画というやつで行ったんだ。」



雪「何かすごく動きにくい服だね。」


純一「空気ないから、あれ着ないと死ぬんだ。」


雪「ああ、お婆様が言ってたわ。なんか、身体がバラバラになるって。」


純一「それは人間も妖怪も同じかも知れない。」


雪「ねえ、お日さまは?」


純一「それは無理。太陽は表面6000度と言われている。あっという間に燃えて終わり。雪、2階に来てごらん。ああ、美雪を1人には出来ないな。今度にしようか。」


雪「何?」



純一「いやね。2階に望遠鏡があるから月の表面を見れるよ。」


雪「見たい!」


純一「そうだ。望遠鏡で撮影した映像なら、スマホでリアルタイムで映しているものが見れるよ。」


雪「どれ?」



純一「これ。。これが良さそうだな。」


雪「どれ?うわー。月って光ってないの!何にもないんだ。。誰も住んでないの?」


純一「僕は見たことないけど、こういう写真が信用出来るなら、月には何もいない。月は光らないよ。月が明るいのは太陽の光を反射しているだけなんだよ。」


雪「そうなのね。。なんか知らないほうが幸せなのかな。」


純一「そういうことは、いっぱいあるね。愛することは?知らないほうが良かったかな?」


雪「それは、知らないと損よ。あんな幸せは他では経験出来ないから。」



純一「妖力回復しないといけないから、寝ようか。」



雪「純一。。あの。。。一気に回復したい。」


 純一が雪を寝かせ、愛すと雪は夢中で愛を受けるのだった。


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