「第57話」試動
実家に到着すると美雪は探査装置を庭に運ぶ。
弁護士「一部だけ見えるけど、それは何だ?」
美雪「地下とか、いろいろ探査出来る装置を作ってみたの。地下村を整備するのに役立つかもしれないから。」
長老「美雪や。地下村はもうこれ以上する必要はない。彩菜が言ったように長く住むのは不可能じゃ。緊急の避難でしか使わないから、もう完成じゃ。」
医師「その装置はどんな感じなんだ?」
美雪「あまり大きくないから、彩菜のお父さんと弁護士さんと先生の4人で、まず入りましょうか。他の人は後で。」
美雪が探査装置にスマホを入れて空間を閉鎖すると4人が中に入る。
医師「ほう。。スマホの画面が映ってるのか。すごく画質高いな。」
彩菜の父「動画が画質悪かったから、改造して1秒間に30回写真取る形式にしました。スマホのバッテリーが1時間しか保たないから、時間を延ばす方法を今考えてます。」
美雪「じゃあ探査機入れるわよ。」
弁護士「岩と土しかないな。」
医師「右上の数字はなんだ?」
美雪「深さと、この場所から東西南北どれくらい離れた位置か表示してる。その下が温度、更に圧力。今はそこまで。まだ増やせる。」
彩菜の父「距離の単位はメートルか?圧力は。。1気圧に対する割合かな?表示された値が気圧ということか。」
弁護士「ずいぶん圧力高いな。」
美雪「移動中は気圧は正確に測れない。止まったら測れるの。」
医師「どれくらい進めるんだ?」
美雪「今は5キロまで。なんか、岩ばかりでつまらないわね。家の外の川に行きましょうか。」
弁護士「魚がいっぱいいるな。」
美雪「お父さん。川は探査装置の外も見えるわね。」
彩菜の父「透明が続いたら見えるね。」
弁護士「そうだ!僕の家の2階の雨樋を見たい。」
美雪「なるほど!そんな使い方が。。どこ?」
弁護士「北の真ん中あたり。」
医師「ああ。何か詰まってるな。」
彩菜の父「何が詰まるんだ?こんなところ。。何かの破片だな。」
美雪「屋根見るわ。」
医師「あっ!瓦が割れてる。。」
弁護士「壁伝いに雨が流れ込んでいるのか。。早く直さないとマズいな。」
美雪「弁護士さん。画面をスマホで撮って。後でもこのモニターだけでは見れるけど、画像データを送信するのは無理なの。」
美雪が屋根の上を観察すると、何ヶ所か瓦が壊れていた。
弁護士「いや〜。ありがたい。すぐに直してもらうよ。」
医師「私の家も見てくれないか?」
美雪は医師の家を観察する。
美雪「外壁割れてるよ。2階の軒下に鳥の巣があるわ。」
医師「いつの間に。。」
美雪はそのまま家に入る。
美雪「あっ先生。2階の押入れの中に1万円落ちてる。」
医師「本当だ。ラッキー。みんなで美味い物食べよう。」
美雪「ラッキーなのは先生以外になるんじゃないかな。。ん?先生。基礎が濡れてるわ。。あれどこ?水漏れしてるよ。」
医師「あれは。。たぶん診察室の洗面台に行く管だな。。」
彩菜の父「美雪。もうバッテリーが無くなる頃だ。」
美雪「一旦終わりにするわ。やっぱりバッテリーが問題ね。」
探査機の試験運転は終了し、全員が出てくる。
大輝「どうでした?」
弁護士「地下は何にもないけど、川は綺麗だったし、家の壊れた場所が分かる。すごい装置だよ。」
彩菜の父「当初の目的と違うけど、役に立つのは間違いないな。」
美雪「バッテリーが無くなっちゃったから、残りの人は狭いけど入って。今撮影したの流すわ。」
みんなで撮影したものを他の人達と見ると、部屋に入った。
大輝「見えない場所の情報が得られるのはすごいよ。」
弁護士「大工と組んだら大設けだな。極秘だから無理だけど、すごい稼ぎになるのは間違いない。」
医師「小さかったら、胃カメラとかの代わりになるんだが。。」
美雪「このままでも見れるわ。頭の中だって入れる。何が起こるか分からないから、危ないことはできないですけどね。」
彩菜の父「圧力計とか、温度計は外さないと体内は無理だろうね。身体の中はただ見るだけしかできないということになるだろうな。」
医師「あの画質で見れるだけでもすごいよ。原因追求が正確に出来る。すごいもの作ったな。。」
美雪「おばあちゃんと前に地下に潜った時に危険を感じたから、考えたんだ。」
佳代「ねえ。明日、美雪の家も調べましょう。」
彩菜の母「私の家も見てよ。」
大輝「家も頼むよ。」
彩菜「あらあら。帰ったら忙しいわね。まあ明日は楽しみましょうよ。」
大輝「僕は朝から商工会のブースの手伝いあるから、先に寝るよ。」
弁護士と医師は自宅に戻り、画像の問題の部分の確認をして眠った。
大輝たち2人の両親もすぐに眠ったが、おばあちゃんは美雪に興味津々で装置のことを聞き、いつまでも寝かせてくれず、美雪と彩菜はおばあちゃんの相手をして夜ふかしになってしまった。




