「第55話」試作
美雪と彩菜は、志望大学の希望用紙の提出を求められ、夏休みのうちに決めた大学の農学部のみ記入して帰宅する。
彩菜「お父さんが試作機を試したいって言ってたわよ。今日夜に行くと思う。」
美雪「こちらはだいたい目処ついたから、完成に向けてある程度進むと思う。土曜日の朝から実家のお祭りだから、今日と明日で目処つけたいな。」
彩菜「じゃあ。私は、おばあちゃんの手伝いに行ってくる。」
美雪「助かるわ。試作機の準備するから悪いけどお願いね。」
彩菜は移動装置で美雪の実家に向かい、おばあちゃんと畑作業に精を出した。
一方、美雪は研究室にある試作機を手直しながら受信装置を起動させ、様々な改良を加えていると彩菜の父がやってきた。
彩菜の父「スマホで撮影したデータを画面に5進数で表示するアプリを作ったけど、読み取り速度に合わせて表示時間を調整しないといけない。」
2人で読み取りを試し、妖力粒で作ったモニターに映す。
彩菜の父「あれ、想像以上に速いみたいだな。」
更に速くするが受信装置は楽勝で対応してしまう。
彩菜の父「んー。想像を超えた処理能力だ。。良し、決めた。動画は画質が悪い。8桁対応してくれたなら8桁使おう。」
美雪「今でも上の桁を無視するようにしてあるから、8桁を認識出来ているから、読み取り装置の処理速度は変わらないわ。」
彩菜の父「だったら、画質変えよう。アプリ改造してくるから写真撮影の連続で8桁データを羅列して行くよ。1秒間に32コマから8コマまで撮影スピードを変更出来るようにするけど、写真の撮影スピードの限界だから、これ以上は無理だと思う。」
美雪「多分、もっと処理能力あると思う。データ保存領域も大きくしたし、5進数だから容量少ないから相当のデーターを残せるわ。」
彩菜の父「それならストローブ信号はタイプに合わせて作ってしまおうか。本体の処理落ちが少なくなるはずだ。25種類まて対応可能にするから、画像、音声、温度、気圧など必要に合わせて、決めよう。十分過ぎるデータ量があるから上位2桁は25種類の区別に使い、残り6桁をデータの構成にするから、それに合わせて改造してくれ。25種類は決めたら連絡するよ。」
美雪「分かった。そういえば0は使わないの?」
彩菜の父「0を使う必要がないのと、ノイズをカットするために使わないようにした。変な粒がきた時への対策だよ。」
美雪「ねえ。今、8桁順番に送ってるのを変えてみる。イメージなんだけと。。縦に並んで飛んできてるのを横向きで飛ばして同時に全部読むから処理能力が大幅に上がる。」
彩菜の父「えっ!それって。。CPUで同時に処理するの?どうやって?」
美雪「どうやってって。。説明出来ないけど。。人間の頭は同時にやってないのかな?例えば、手開いて指10本のどれだけの指に触ったかを頭は順番に確認してないと思う。突然触られても、どの指に触られたかは分かる。」
彩菜の父「もう、装置側は想像を超えてるから、私には理解不能だよ。これ、世に出たら。。とんでもないことになる。美雪。お前の力は人間の世界を完全に支配出来るとんでもない能力だ。」
美雪「お父さん。地下に潜った部分だけ異空間を遮蔽するしかないと思うのよ。極端な話。。マグマに入ったら、閉鎖しないと高圧のマグマが反対の異空間から飛び出すと思うし、閉鎖しないと空間は圧力を受けるからスマホが破壊される。今までの使い方と違うから、危険要素は排除しないといけない。もちろん、一瞬で破壊出来る非常装置を組み込んでおく。」
彩菜の父「しかし、困ったな。。それは外部情報が何も取れないぞ。取れるのは映像だけになる。」
美雪「鉄。。鉄なら圧力に耐えらるでしょう。ボールペンの玉くらいの金属を側面につけるわ。進行方向だけにフードつける。」
彩菜の父「でも、それを異空間内からは感知出来ない。」
美雪「鉄に妖力粒を大量につける。分子みたいに。それぞれ、音に反応する玉、熱に反応する玉って作るから、色が変わるようにして、内部から見たらいい。外見るスマホと、玉見るスマホの2台を入れたらできるんじゃないかな?その画像見て妖力粒が整列して飛んで来たら、装置側で処理すればいい。」
彩菜の父「受ける装置の入力端子は2個に出来るのか?」
美雪「やってみる。。あら、簡単に出来た。」
彩菜の父「何で?もう理解出来ない。私には装置側はブラックボックスだ。」
美雪「そうかな?人間界にあるものを妖力粒で実現しただけだから、難しく考える必要はないと思う。」
彩菜の父「発信から受信までの時間差はどうする。」
美雪「精度が必要な計算をする訳ではないから、気にする必要はないと思う。光速をシビアに測定する訳ではないです。そういえば、おばあちゃんは、月まで往復で10秒くらいって言ってたけど、十分過ぎる速さだと思う。送信される妖力粒は重力無効化する妖力粒に乗せられて飛んの来るから、ほぼ光速だと思う。」
彩菜の父「ということは、黒と闇は通信情報には使えないってことか。」
美雪「最新版は使ってないよ。氷、風、火、治癒、電気の5つにしたの。私、考えたけど、電気の妖力は装置が電気で動いてないから、ノイズにはならないのよ。むしろ黒と闇が危ないと思う。」
彩菜の父「タイムラグも重要じゃないから、重力無効化して飛ばさないほうがいいんじゃないか?」
美雪「今は近いし、重力の違いもない場所で通信してる。。。。けど、おばあちゃんが月に飛ばして戻ってくるくらいなら十分速いわよね。重力無効化はやめるわ。何が起こるか分からないからね。」
彩菜の父「頭がパンクしそうだ。なあ、美雪。地面に入った部分だけじゃなくて、装置と自分達まで囲うほうがいい。瞬時に破壊出来るんだろう?それなら危険は囲うほうが小さいと思う。」
美雪「モニターが。。タブレットサイズのモニターを別で作るわ。でも、確かに正解かも。妖力で作ったものは私達にしか見れないから、私達を見た人は変に思うわね。まとめて透明化するほうが楽だし。異空間の安全を確保しないといけないわね。。」
彩菜の父「異空間は電線みたいに曲げれるの?可能ならスマホの入っている大きさと自分達の空間の間を繋ぐ細い空間は延長コードみたいにしたら、そんなに空間使わないで作れる。研究室の大きさで十分だ。」
美雪「なるほど。。。ああ、出来る。。ただ、出来るけど、使っている最中に延長とかは出来ない。あらかじめ作ったのを使うことしか出来ない。長さ5キロメートルで作ってみるわ。使用中じゃなければ、長さは変えられる。」
彩菜の父「しかし、これヤバいよ。国家機密だろうが見にいけるし。。悪いことしようとしたら何でも出来るよ。探偵の仕事も出来る。非常に危険だ。悪用はやめよう。」
美雪「それは、しないわ。お父さんの好きな女優さんの裸も見せれるわ。やってみる?」
彩菜の父「んー。歳ごろの女の子に言うのも何だが。。あまり見たいとは僕は感じないな。。何と言うか。実際に触って。。その。。つまり、心通じ合わないなら価値を感じないな。まあ人によっては価値はあるだろうな。。僕は感じないな。」
美雪「えーっ。。さすがに妖力使って、好きな女優さんとセックスしたいってのは実現出来るかな?」
彩菜の父「あのね。遠回しに言ってるのにストレートに言わないの!」
美雪「心が欲しいか。。考えてみるけど経験不足で今は無理だわ。」
彩菜の父「考えるな!それは悪いことに使ってるから。」
美雪「女優さんとセックスしたくないの?」
彩菜の父「したい。。いや、責任があるだろう。」
美雪「大丈夫よ。妖力使ったら避妊くらい出来るわよ。多分ね。」
彩菜の父「あのね、まだ愛を知らない美雪さんは、そんなことは考えてはダメだよ。明日、装置を動かしてみようか。」
美雪「明日学校帰ってから、仕様変更する。んーー。。」
彩菜の父「どうした?」
美雪「いや、実家に持って行こうと思ってたけど、異空間を異空間の中通すの危険だよね。」
彩菜の父「危なすぎるからやらないほうがいいな。だいたいこの大きさ通らないだろう。扉作り直すのも大変な作業だ。透明化して、重力も無効化されてるなら、車の屋根に縛りつけたらいいんじゃない?」
美雪「なるほど。無効化してると外から触れないよ。つまり縛れない。装置の入口は扉にするから。。取っ手を車と妖力で縛りつけたらいいわね。」
彩菜の父「高さと幅は?」
美雪「高さ2メートルくらいで。。全て2メートル角くらいにしようか。」
彩菜の父「大丈夫とは思うけど、空間が歪む場合があるのなら、外部から見られたらヤバいから寄り道しないで直接行こうか。地下駐車場とか入ったらヤバいもの見られるかもしれない。」
美雪「伸縮も出来るとは思うけど、貴重な試作機だから。壊れたら困るから今回はこのまま運ぶことにしましょう。」
大輝「いやー。トラブルで遅くなった。何の研究?」
美雪「彩菜のお父さんの大好きな女優さんとセックスする方法の研究よ。」
大輝「は?」
彩菜の父「美雪さん。わずかな会話の一部を切り取るのはダメ。それに、それは美雪さんが言ったことだからね?」
美雪「ごめんなさい。」
彩菜の父「お父さん。つまり、美雪さんは何でも出来る力を持ってしまった。だから、精神的な成長と良心を育まないととんでもないことになると教えてた。ああ、お父さん。実家に行くの、明日の夜にしませんか?装置運ぶなら夜のほうが目立たないだろう。」
大輝「何の装置?」
美雪「地下探査機と解析室かな?2立方メートルくらいの異空間。」
彩菜の父「外部から空間の歪を見られる可能性があるから。まあ、通過さえしなければ見られない。車の上に積むから。高さ4メートルくらいですね。寄り道なしで直接。」
大輝「5メートル以内なら問題ないな。」
美雪「何で?」
大輝「公道は5メートル以上の高さにしか電線とかないよ。トラックとか走れないだろう?大きな道路だと更に基準は高い。サイズが小さいトンネルとかは4.3メートルとか警告が表示されてる。実家までのルートは問題ない。」
彩菜の父「さすが専門分野は詳しいですね。ただ透明化したら恐らく見えないとは思うし、何かにぶつかったとしても素通りするはず。異空間を通せない大きさだし、異空間に異空間通すのは危なすぎる。」
大輝「どのみち村の人と会うから、車で行かないと不自然ですからね。では、遅くとも8時には出たいね。」
彩菜の父「夕食済ませて8時に出れるようにしますよ。では、そろそろ帰ります。」
大輝「気をつけて。」
美雪「また明日ね。」
美雪は大輝と佳代に、今日の研究の説明をして、誤解を解くのだった。
最終確認をせず投稿してしまいましたので、少々誤記訂正致しました。




