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妖女 美雪  作者: ぴい


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「第50話」隔壁

 村の長達の会合が開かれた。地下に新たな村を作るのは無理だということは誰もが分かっていたため、美雪の案に反対するものはいなかった。



 日曜の朝早くから美雪はおばあちゃんと一緒に薄い壁を作り、岩のデザインを作る。長老も彩菜も見た目は問題ないと納得のレベルだった。美雪は次々と壁を作り、建てていく。どうにか1日で日が暮れる前にギリギリ作業は終わった。



 村の長達は、たいそう喜んだ。長年の悩みが解消したのだ。これで人間の脅威はかなり低減することが出来る。


長老「美雪。かなり遅いから、こちらに泊まっていくか?」


美雪「んー。エアコン無いとつらいからね。家に戻るわ。明日も来るからさー。」


彩菜「おばあちゃんはどうするの?」


長老「そりゃあ、お前。エアコンに決まっておるだろう。」


美雪「しょうがない長老ね。」



 3人で実家に帰ってきた。


長老「美雪。作業終わったのに明日は何をする気じゃ。」


美雪「まだ完全に完成してないわよ。今日作った壁に2箇所出口を作るの。完全に隔絶されているから非常用。村長に壁の説明も足りてない。あと、噴火の対策がないから、考えたんだけど。。非常時の避難は地下にしたらいいと思うの。地下の中に脱出用の異空間を作るから、村を捨てでも逃げなければならない事態の時のために逃げられる場所と繋げる必要がある。でもね、繋げる先が思いつかなかった。おばあちゃんが思い付く場所あれば教えて。急ぐ必要はないから、場所が決まったら繋ぐわ。」


長老「思い付く場所か。。難しいのう。昔村から出なくなってからは詳しく知らない。マップ検索するか。」


彩菜「検索覚えたんだ。。すごいなー。ねえ。無人島とかは?」


美雪「水に困らないかな?まあ。人のいない田舎ならいっぱいあるわよ。選んだら繋ぐわ。」


 

 彩菜の作った夕食を食べ眠ると、翌日もう一度村に行き、壁に出入り口を作り、地下の中に異空間を作った。ついでに地下に出入口をもう1箇所追加し、空気の流れを更に良くした。


美雪「一時的でも住むなら、まだ足りないわね。」


 美雪は先日、強固に固めた部分に穴を開けて蛇口を作り、蛇口に妖力を塗った。蛇口の下にトレーを作ると排水穴を開ける。

 穴から排水が直接川に流れ込むように異空間で繋いだ。


美雪「おばあちゃん。もし、下の受け口がいっぱいになった場合、自動的に水を遮断するようにしたから、万が一壊れても、大量の水が流れ込むことはないから。」



長老「すごいな!水の確保まで。何十年の悲願がたった2日で。。何という恐ろしい力なんじゃ。」


長老「副村長。わしの役目はこれで終わった。村長を交替してくれんか。わしは、残りの人生を楽しみたい。」



副村長「確かに長きにわたり長老は役目を果たした。役割を引き継ぐのは構わないです。美雪さんはもちろんだが、長老の力は妖力村では圧倒的に一番です。村をこれからも助けてほしい。」


長老「それは大丈夫じゃ。じゃが、美雪に比べたら一番と言われるのも恥ずかしいわい。」


美雪「そうだ!おばあちゃんの家の入口に押しボタンを作るから、押したらおばあちゃんが分かるようにしておくわ。」


副村長「美雪さん。村を救ってくれて本当にありがとうございます。」


美雪「悪いけど、何も起きてないのに心配しすぎてるだけだと思うよ。もし、溶岩が10メートル越えたら中に流れ込むからね。でも、逃げる時間は十分あるはずよ。あと、これは副村長と私達だけの内緒ね。出口の暗証番号。押したら開く。もし、閉め忘れても夜になるか、朝になる時に、明るさが変化すると自動的に扉は閉まる。それと、下の暗証番号は非常時に一瞬で壁を破壊するようにしたわ。どうすることも出来ない事態になった場合は最後の手段で使って。」


彩菜「ねえ。全部囲うと二酸化炭素の濃度上がらないかな?」


美雪「森林に囲まれているから大丈夫じゃないかな?一応だけど、川が一番流れが急な場所だけは開放してあるの。結果的に2箇所は川を横切っているの。そこからは入れるけど。。人間があの流れでは生きて入ることは無理でしょうね。開放してある扉は外から圧力がかかると自然に閉じるから、溶岩流れてきたら自然に閉まるわ。川の水中は閉鎖してあるけど、水や魚は通過出来るように、川の中だけ、いわゆる格子状にしてある。人間は通れない。。あっ!そういえば、おばあちゃん。昔。。いやいいわ。そろそろ帰りましょうか。」


 

 役員達が見送る中で、透明化しておばあちゃんの部屋に侵入すると、装置で美雪の実家に帰ってきた。



長老「さっきは何を言おうとしたんだ。」


美雪「ああ、お父さん。。純一さんが倒れていた場所を聞きたかったけど、村の者の前で聞いたらマズいかと思ったの。」


長老「今日作った壁より遥かに遠くじゃ。」


彩菜「壁より遥かに遠い?そんなところから人間の足で村まで行けないわよ。あまりにも心配し過ぎよ。ん?ねえ。おばあちゃん。何を持ってきたの?」


長老「どうだ!ウナギ捕まえたぞ。」


美雪「ちょっと、どうするのよ!こんなに。。もー。。先生に相談するか。」



 先生に相談すると、先生はウナギ屋を呼び寄せ、見せた。天然ウナギなんて滅多に手に入れることは出来ない。ウナギ屋に高値で買い取られた。



医師「長老。稼いだな。5万円か。。でも、あまり目立つことはしないほうがいい。あんなにたくさん天然ウナギなんて捕まえられない。わざわざ、再び訪問してウナギ弁当までくれたということは、ウナギ屋かなり安く買い取りしたな。弁護士も呼んで夕食はウナギ弁当だな。」



 夜集まるとウナギ弁当を皆で食べる。


弁護士「へえー。しかし、ウナギ屋はセコいな。天然ウナギは自分のものか。。ケチな野郎だな。」


彩菜「おばあちゃん。お金大事に使わないとダメだよ。」


長老「それなんじゃが。スマホ見てたらFXというやつが増やせると書いてあったんじゃが。」


医師「それはダメ。長老、未来は見えるの?」


長老「美雪じゃないんだから、そんなもの見える訳ないじゃろう。」


美雪「私だって見えないわよ!」



弁護士「長老。お金みんな無くなるよ。借金になるかもな。。それに戸籍も住民票もない人は口座開設出来ないから、どの道無理だな。」


美雪「おばあちゃん。興味持つのはいいけど、投資はダメ。しかし、未来見えたら最強ね。。」


医師「見えた未来と同じになるとは限らないらしいよ。例えば競馬の大穴に賭けたら倍率が変わる。未来が変わってしまう。結果も変わるかも知れない。お金増えても幸せは来ない。分かってるはずだ。」



彩菜「おばあちゃん。3人で畑やって、生活費を稼ぎましょう。もうすぐ夏休み終わるから、残りは畑の準備しましょう。」



美雪「そうだ!先生。私達の作物作りの年間計画。どう?」


医師「これは完成度高いな。。まだ、足せるものもありそうだな。考えてみるよ。手のかからないやつなら入る余地はあるな。二十日大根とかいいぞ。あまり稼ぎにはならないかもな。畑を週末までに整えなさい。栄養分とかの補給を週末に手伝うよ。」



弁護士「長老の初めての稼ぎの記念に飲み会しましょうか!」



美雪「理由がほしいだけね。。」


 

 大人は宴会しながら、スマホの使い方や、投資の危険性を長老に教えたりした。

 村の要職をようやく降りることになり、解放されたおばあちゃんは、いつも以上に楽しそうだった。


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