「第48話」接続
盆休みの最終日、大輝は美雪を乗せて朝早くから自宅に帰った。
美雪「お母さん達、結構野菜食べてくれたのね。」
佳代「実家にも持っていったわ。」
美雪「きゅうりもおしまいね。あとはナスだけ、次の準備の区切りで良かったわ。」
大輝「ジャガイモとか簡単じゃない?」
美雪「ジャガイモやると、土の養分無くなるから、翌年に栄養混ぜたり手間なの。だから土の中に出来るやつは、大根と玉ねぎだけにしてる。こっちもあっちも畑やればかなりの量になるわ。彩菜のお父さん待ってるから、繋がないと!」
美雪は自分の部屋の中の空間を入れ替え、異空間を作る。壁を作り、音声を遮断すると、扉の取っ手に妖力を塗る。全体を透明化し、各面を接続して通過出来るようにした。
最後に暗証番号の入力装置を作り、入力が正常な場合のみこちらと繋がる仕掛けをつけた。
美雪「お父さん、お母さん。今から接続するから、離れてて。」
美雪は、彩菜の父に電話すると、空中の妖力と自分の妖力を使いながら、実家と自宅を繋ぐ。
眩しい光を放ちながら、接続されていく。美雪はサプリを次々と飲みながら妖力を供給する。
美雪「お父さん。大丈夫?今から最後の接続だから離れて光を見ないで。繋ぐよ!」
最後の部分が吸い込まれるように接続されると眩しい光が発せられ、元の状態に戻った。
美雪は接続部分が確実に繋がっているか確認する。念のため、妖力で端を補強した。
大輝「繋がったのか?」
美雪「繋がったと思う。ちょっと行ってくるよ。」
美雪は扉を閉めて、暗証番号を入力すると内部が緑色に光るのを確認し、扉を開く。
美雪「ただいま。」
彩菜の父「問題なさそうだな。」
美雪「お父さんとお母さんにもやり方教えるわ。入って。」
美雪は彩菜の両親にやり方を教えると、大輝の家に3人で帰ってきた。
彩菜の父「これは凄まじい。世にバレたら、本当に殺されるよ。まず軍が狙う。旅行会社や旅客業、運送会社など全てが潰しにかかる。ものすごく危険だ。絶対にバレてはいけない。」
美雪「分かったわ。お父さん、お母さん。2人で戻って。着いたら電話して。」
2人は戻っていき、電話がかかってきた。
美雪「次はお父さん達よ。入って。」
美雪は同様に説明する。心配性の大輝は、失敗した場合のことを聞くが、緑色になった場合しか繋がらないので、扉開けても、今の場所に戻るだけであり、扉を開けたままでは接続機能が働かないことを説明して、実家に移動した。
大輝「ただいま。」
佳代「あっという間。すごいわね。」
美雪「人に見られない場所しか無理ね。」
彩菜の父「もし、両方で同時に操作したらどうなるんだ?」
美雪「先に装置したほうが優先で片方しか機能しない。入力している最中に反対側が扉を開けると操作無効になるから、扉を開閉してやり直し。」
彩菜の父「すごいな。。」
大輝「電気回路のインターロックみたいだな。」
彩菜の父「制御は大輝さんのほうが詳しいな。しかし接続されているのに、何故パスワードが正しい場合のみ繋がるんだ?」
美雪「イメージだと、シャッターみたいなものが間に入れてあり、条件満たした時しか繋がらないフタがしてある。条件満たさず扉を開けると元の部屋に戻るだけ。悪用対策と、何らかの非常時に破壊的なことが起きないようにしてある。」
彩菜の父「なるほど。。何か気づいたら言うよ。暗証番号間違った時とか、扉開けっ放しとかで、異常の表示あると不安が減るかな。装置が壊れたのか装置ミスか分からない。」
美雪「なるほど。。お父さん、お母さん。戻る?」
大輝「彩菜さんの両親が帰る時にするよ。」
佳代「お好み焼き買ってきたから、昼に足して。」
長老「お好み焼きって?」
彩菜「おばあちゃん気に入るかな?」
昼食をみんなで食べ、おばあちゃんがお好み焼きを気に入ったのを見届け、大輝と佳代は戻って行った。
美雪が電話を受け、無事を確認した。
彩菜「ねえ。電話ヤバくない?瞬時に移動しているのバレるわよ。固定電話使って、スマホの電源は移動距離に合わせて切らないとマズいと思う。」
彩菜の父「確かにそうだ。自宅とこちらの移動の時は1時間スマホの電源切るべきだ。妖怪村は電波ないの確認したなら気にしなくていい。彩菜。なかなかやるな。」
彩菜の母「私達も帰りましょうか。おばあちゃん。またね。楽しんでね。」
彩菜の両親は帰って行った。
医師「かなり便利になったな。」
弁護士「扱いには気をつけないと危険だな。街に仕事の日は利用させてもらうよ。」
弁護士「夕食は私達の料理にしますか。」
医師「そうだな。あまりに楽したからな。」
美雪「実家からアイスクリーム持ってきたから、食べましょう。」
おばあちゃんは目の色を変えてアイスクリームを嬉しそうに食べた。
彩菜「ねえ。おばあちゃん。妖怪村に戻れるの?」
長老「戻りたくないな。」
美雪「コラコラ。長なんだからダメでしょう。」
男の料理と言っても、自炊慣れしている2人の夕食は想像以上だった。




