「第44話」お盆
昨日から皆で美雪の様子を一晩見守り、心配ない状態になっているようで安心した。
今日の朝食は、おばあちゃんが用意した。ごはんだけは彩菜が炊いたが、ついでにおばあちゃんはご飯の炊き方も教わった。
先生「しかし、いくら田舎とはいえ、今どき鍋で米を炊くのは大変だろう。」
弁護士「長老の引っ越し祝いに炊飯器くらいプレゼントするぞ?」
美雪「それもそうね。お母さん達の炊飯器は壊れてたから鍋で炊いてたし。。お言葉に甘えましょうか。」
長老「なんじゃ。今日炊き方を教わったのに。。作り方が変わるのか。。」
彩菜「おばあちゃん。炊飯器だと、ボタン押すだけ。しかも、夜にセットすると予約で朝に炊けたりするんだよ。」
長老「何と。。どうやるんだ?妖力か?」
美雪「まさか。内部に時計持ってるから、決めた時間に動くの。鍋は鍋の良さがあるけど、たぶん鍋で炊くより美味しいわよ。」
先生「焦げないからな。ちょうど家のも替えようと思ってたし、照明も予備が欲しいんだ。」
弁護士「この家の照明も、古いから替えたほうがいいだろうな。電気代も下がるんじゃないか?」
美雪「じゃあ、私はおばあちゃんにエアコンをプレゼントするわ。弁護士さん銀行寄れるかな。50万くらいおろさないと。」
先生「純一さんの資産使うぐらいなら、わしが出す。」
美雪「違うわ。私が野菜売った利益だよ。メロンのおかげでかなり貯まったから。50万使っても100万残るわ。」
弁護士「じゃあ。みんなで大量に買うか。値切るのは得意だから任せろ。」
みんなで家電量販店に行く。
長老「なんじゃい。このデカい建物は。。」
中にある商品を次々と質問するおばあちゃんに、美雪は丁寧に答える。
おばあちゃんはパソコンが気になって仕方ないようだ。
弁護士「長老。パソコンは最近はあまり価値ないよ。仕事くらいでしか使わないから、今はスマホのほうが便利なんだ。」
長老「見てたけど、パソコンというやつは、動くやつ見れるんだろう?」
美雪「もしかして動画のこと?それならスマホで見れるわよ。最近はわざわざパソコンで見る人は少ないわよ。」
弁護士「それなら。。そうだな。私の会社のスマホということにして契約するよ。約束だかったからな。」
弁護士はスマホを契約し、接続待ちの間にみんなで家電を選ぶ。エアコン2台、炊飯器3台、照明多数、電球など大量に買うと、店員と巧みに価格交渉した結果、弁護士さんは51万円を43万円まで値切る。
美雪「弁護士さん。ありがとう。それでお願いします。支払いは私が。えっと現金で。」
店員「ポイントカードはありますか?」
弁護士「あるけど、ポイント要らないから1万円引いて。」
店員「お客様。ポイントのほうがお得ですが。」
弁護士「十分安いから、ポイントの半分はお店に返します。ポイント無しで42万円でお願いします。」
美雪が支払うと、エアコンは2日後に設置らしい。エアコン以外は受け取った。
先生「さすが見事な交渉だな。美雪さん。僕らの分は後で払うよ。」
美雪「要らないわよ。あんなに安くなったら十分よ。」
弁護士「いいのか?まあ、炊飯器を同じ物3個が値引きにパンチあったな。1個を3個にすると言ったらかなり下がったからな。あれ、実は必殺技なんだ。後で数増やすと値引き効果絶大なんだ。まあエアコンで5万円は下がるのは分かってた。本当はまだ下がるけどね。あれくらいで、やめておいたよ。あそこは、弁護士の仕事を何回かやってるから会社には私のことは上のほうにバレてるからね。」
長老「スマホの代金が入ってないようだが。。」
弁護士「あれは私が別で払ったから。約束してたからね。しかし美雪さん。本当に私達の炊飯器いいのか?」
美雪「当たり前よ。家の手入れずっとしてもらってたんだから、足りないくらいだわ。そうだ!帰ったら腰痛治すわ。」
先生「それは、一番価値あるんじゃないかな。」
弁護士「治ったら、今日の費用全部払いたいくらい長年の悩みなんだよな。まあさすがに治らないと思うよ。」
帰宅すると、彩菜と先生が照明を交換する。
彩菜「ねえ。この村は、これをどうやって捨てるの?」
先生「役所に連絡すれば粗大ゴミで出せる。今回はエアコン持ってきた時に引き取るはずじゃ。引き取り費用は払ってるはずだ。」
美雪「あっ。そういえば弁護士さん。うつ伏せに寝て。」
美雪は弁護士さんを横にして触る。
美雪「ん~。彩菜、ちょっと横に寝てよ。」
美雪は彩菜の腰を触り比較する。
美雪「あっ。ここ間隔が短い。神経に触ってるのかな?広げるわね。痛い?」
弁護士「あっ。何か重いの取れたぞ。」
美雪は妖力を止めて様子を見る。
美雪「あっ。やめると戻っちゃう。。何でかな?」
先生「へえ。そこまで分かるのか。。圧迫されてるんだよ。筋力落ちたのと一番負担がかかる場所だからだろうな。」
弁護士「やっぱり無理だろう?」
美雪「私は無理ね。。彩菜、ちょっとここに指さして。これはさすがに私の治癒能力では無理だと思う。」
彩菜「えっ!。。なんで?。。。こ、こう?」
美雪「治癒妖力はあなたのほうが遥かに上よ。私が妖力入れるから、指から出す感じで。。そうそう。」
彩菜「うわっ!何か出てくような感じ。。」
弁護士「な、なんだこれは。。さっきよりすごいぞ。」
美雪「おじさま。相当悪いわね。妖力空になりそう。おばあちゃん。サプリちょうだい。先生、水。」
長老「ああ、これか。ほら。」
彩菜「空中の使えばいいじゃない。」
美雪「大丈夫とは思っているけど、身体を治す時は慎重にやらないと危ないと思うの。だから自分の使うの。それに、ここでは空中の使うほうが集まりにくいのよ。妖怪村とは量が違うから。」
美雪は彩菜に1粒だけ、自分に20粒用意して10粒水で飲むと妖力が満タンになった。そのまま残りを1つずつ口に入れながら、彩菜の背中の中央から美雪の妖力を入れる。少しずつサプリを飲み込みながら妖力を注ぎ続けると、どうやら腰は治った感じだ。
最後に弁護士さんの妖力が満タンになるように妖力を美雪が直接注いだ。
美雪「おじさま。治ったはず。ついでに妖力満タンにしておいた。けど、すごく疲れた。。最後に空っぽになっちゃったわ。。弁護士さん、妖怪だったら妖力量ナンバーワンかも知れないわよ。おばあちゃんよりデカい。あっ。もう今回は骨の間隔短くならない。やっぱり彩菜の能力はすごいなー。もう大丈夫だよ。」
弁護士「軽い。。ウソだろう。。申し訳ない。払う。50万円なんて払うよ。年に何回か動けなくなってたし、寝る時に激痛が襲う時もあるんだ。」
先生「これ、場所が悪いから手術も難しかったんじゃ。ちょっとレントゲン撮ってみようか。」
弁護士達は先生の病院に行った。
彩菜「私、妖力使えるんだ。。役に立つんだ。。ちょっと嬉しいな。」
美雪「あれ、私では無理だったよ。私だとすぐに戻っちゃったから。。あれは彩菜の力でしか出来ない。あなたのお母さんの時は何故治せたのかな。。分からないな。。たぶん、もう一度やれって言われても出来ない。」
長老「ここまでの治癒の妖力使いは、何百年も妖怪村にはいなかった。。彩菜。すごいな。」
美雪「妖力量が少ないから、供給しないと無理だった。。。しかし、すごい量入っていったなー。。。私。。空っぽ。。ちょっと横になって。。空中から取り込む。。。ダメ。眠い。。。」
彩菜「ちょっと、おばあちゃん!大丈夫なの?ねえ。おばあちゃん妖力入れてよ。あっ、サプリ。。ダメだ。寝ちゃった。。」
長老「大丈夫じゃ。妖力無くなっても人間も妖怪も死ぬことはない。あまりに減りすぎたんじゃ。後で少し入れるよ。少し回復したら、自分で取り込むじゃろう。しばらく寝かせてやろう。しかし、妖怪は命捨てる覚悟ある時しか空にしない。完全に空になると寝てしまうから、妖怪村では死ぬのと同じような危険な状態だ。人間の世界が平和だから許されるんじゃ。空っぽから回復するには丸1日寝ないといけない。半分くらい足すから寝かせよう。しかし弁護士さんの妖力量は化け物じゃ。わしが見た中で一番じゃないかな。。なあ、彩菜。スマホ教えてくれないじゃろうか。。」
彩菜「美雪、大丈夫なのね?スマホなら私が設定してあげるわ。」
長老が妖力を足し、スマホの設定が終わる頃に先生達が戻った。
彩菜「ねえ、弁護士さん。光ファイバーの契約忘れた。Wi-Fi使わないと通信量が。。」
弁護士「ああ、それは大丈夫さ。私の家のルーターは、この家と近い位置だからね。えーと。。ほら、このWi-Fiだよ。」
彩菜「アンテナMAXね。へー。。考えてたんだ。さすが頭いいなー。ああ、それより腰は?」
先生「考えられないけど完治だ。。ん?美雪はどうしたんだ。大丈夫か!診ないと。」
彩菜「ああ力尽きて寝ちゃった。眠すぎて空中から取り込む気力もなかったみたいね。弁護士さんのタンクが規格外だったらしいわよ。」
先生「本当に大丈夫なのか?」
長老「大丈夫じゃ。少し寝て妖力溜まったら、自分で空中から集めるじゃろう。わしも足しておいた。寝て回復するのなら丸1日かかるじゃろうな。弁護士さんは妖力の器が普通じゃないからな。」
弁護士「自分のためにここまで。。やっぱり俺、全額払う。ちょっと現金取ってくる。」
弁護士は現金を取って戻った。
弁護士「そうだ。昼食食べてないじゃないか。。もう4時か。。夕食どうする?」
先生「ん?お客さんじゃない?誰かきたぞ。」
大輝「予定終わらせて急いで来ました。いい盆休みにするぞ〜。いっぱい買ってきましたから夜は豪華にいきますよ。」
佳代「こんにちは。あら美雪昼寝?」
彩菜「弁護士さんの腰治したら力尽きて寝ちゃった。」
佳代「あらそう。だったら彩菜さん。夕食手伝って。」
2人で夕食を作るうちに美雪は目を覚まし、空中から妖力を取り込み満タンにすると、長老と先生と弁護士さんの4人は話をしながら夕食を楽しみに待った。




