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妖女 美雪  作者: ぴい


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「第42話」友人

 5人は死者の村に到着した。初めて入る2人も無事入口を通過出来た。



長老「前回は佳代さんにすごく怒られたから、先に言うぞ。1日までしかいることは出来ない。その前に必ず帰るからな。約束破ると手をちぎられるんじゃ。」


弁護士「それまた物騒な話ですな。。」



 長老は手を繋ぐと一気に死者の村の中を移動して、純一の家に来た。


 美雪がノックする。


 雪が出てくる。


雪「あら。美雪。相変わらず綺麗ね。あーっ!。。あ、あなた。」


純一「どうした。。いや〜先生達!よく入れたねえ。」


美雪「私が妖力入れたからね。」



 弁護士はしゃがみ込み泣き始める。医師が弁護士の背中を押さえる。


純一「入って下さいよ。」



 全員でテーブルを囲んだ。


弁護士「純一の、飲んでしまったからな。お返しだ。」


 弁護士はウイスキーを渡した。


純一「これは嬉しいな。高いやつじゃない。」


医師「私は、これだ。美味いぞ。名前だけじゃないから。」


雪「うわー。私と同じ名前のお酒なの。嬉しいな。雪ってお酒どんな味なんだろう。みんなで飲みましょうか?お婆様どっちがいい?」


長老「う、ウイスキー。」


純一「これは高級ですからね。お婆様も味わったということですね。」


雪「あなた達はどうするの?」


彩菜「コーラ持ってきたから大丈夫。」 


純一「それも懐かしいね。」



美雪「あっ!そういえばね。私、思い出したの。あのね。お父さんとお母さんが花火やってたの。お父さんがろうそくの火をつけて、お母さんが綺麗。緑色って。すごく幸せそうな顔してた。だから、私にはお父さんとお母さんの記憶があるの。」


純一「へー。嬉しいな。。そういえば花火やったな。。一回だけ。雪がすごく喜んでたな。」


雪「美雪。ありがとう。。なんかすごく嬉しい。私がお母さんって覚えてくれてるんだ。。」


長老「雪や。今日話し合いで認めさせた。2人の両親と今日来た人は、妖怪村に自由に来ることが許可された。」


純一「それはすごいなー。全ての人間が悪い訳ではない。妖怪村には良い結果になると思う。」


弁護士「お金に目がくらまなければな。」


美雪「お母さんのスマホの写真印刷してきたの。あげる。」


雪「ねえ、あなた見て。」


純一「へー。3人の写真か。確か撮ったの先生だよね。。一番幸せだった。いや、雪と出会ってずっと幸せだったな。みんなにも会えた。雪とずっと一緒にいれる。幸せだよ。本当に。。」



彩菜「ねえ。まず、ついであけたら?おばあちゃんが。。」


純一「ごめんなさい。気づかなかった。」


美雪「食い意地は誰よりもすごいわね。」



雪「美雪。お婆様に失礼でしょう?」


 

 10年以上の歳月を埋めるように話題が途切れることなく続く。それを彩菜と美雪が眺める。



 美雪のスマホのアラームが鳴る。


彩菜「ちょっと美雪。スマホの電源入れてダメじゃない!どうするのよ。」


美雪「電源入れたのは死者の村に入ってからよ。さすがにここが電波の圏内だったらおかしいでしょう?あと30分よ。」



医師「また来るよ。それにわしが死んだら、こちらに来るよ。純一や雪さんと過ごしたいから。」


純一「嬉しいね。雪。いい1日になったな。」


雪「別れがさみしいのは。。いいことよね。また来れる時に来て下さい。ありがとう。」



 長老が手を繋ぎ、入口に移動する。


医師「いや〜。長老夢が叶いました。ありがとうございます。」

弁護士「一番の望みだった。」


長老「まあ、いつでも会えるし、死んだら会えるから、結局はあまり来ないけどな。」



美雪「時間の進みが違うから、2時間40分しか経過してないのよ。私達だけは1日経過してる。いけね。スマホ切り忘れた。。あっ。ねえ、やっぱり電波無いよ。妖怪村は電波入らないわ。」


彩菜「念の為、切ってよ。」


美雪「切ったわ。おばあちゃんの家に戻りましょう。」



 おばあちゃんの家に戻った。


長老「そうじゃ。美雪。帰る前に地下の村を見てくれないか。」


美雪「みんないいの?」


長老「いいだろう。」


 美雪は移動装置に全員を入れて、地下の入口で扉を開けると中に入って行った。



弁護士「これは結構広いな。」


副村長「これはこれは皆さん。食事ありがとうございました。」


長老「何故集まってるのじゃ。」


書記「雨が降ると崩れるんですよ。今のままでは。。」


医師「広いが、これでは村人の全てが入るには狭いな。。」


彩菜「ねえ。本気なの?こんなの崩れるに決まってるでしょう。」


役員「何故?」



美雪「こんな広さで柱もない。アーチ型でもない。誰が作っても崩れるわよ。」


 美雪は崩れた土を集めて、熱し圧力をかけると天井と地面の間に柱を作る。次々と均等に柱を立てる。

 天井を熱して溶かし、柱と柱の間を次々とアーチ型にする。


美雪「もう時間切れね。また後日やるわ。ねえ。あそこ水が染み出してるじゃない。テザリングするから彩菜のスマホと動画でつないで。」


彩菜「繋いだよ。」


美雪「映ってる?」


彩菜「大丈夫。」



 美雪がスマホと自分、彩菜を異空間で囲うと、壁の中に美雪のスマホだけ異空間を広げながら入れる。



 美雪は彩菜のスマホを覗き込む。少し入ったところで大量の水流の中に入って行った。


美雪「ち、地下水脈じゃない。。ものすごい水量だわ。これ入って来たら全滅よ。」


 美雪はスマホを引き戻し、急いで周辺をガチガチに固める。



美雪「とりあえず応急処置よ。後日異空間でガードして、最悪でも水が流れ込んで来た時に川に水が移動するように異空間で繋がないといけないわね。」



副村長「わしらの30年分以上の作業をこんな短時間で。。」



医師「もうこれなら、かなりの地震でも崩れないだろう。」



彩菜「でもさー。ただ掘っただけじゃない。飲水は?汚水の排出は?これじゃあ、何日も住めないよ。だいたい入口一つじゃ、酸素無くなるし、全然ダメよ。本気なの?」


長老「わしらの精一杯なんじゃ。」


彩菜「何のために私達が友達になったのよ。協力するわよ。ねえ、弁護士さん。」


弁護士「もちろんだよ。」


医師「わしはあまり役に立たないな。。ケガ人を助けるくらいかな。ああ、妖力回復する薬なら用意するよ。」



美雪「話し合って進めましょう。悪いけどもう帰らないと。ああ空気通すために2箇所穴あけるわ。」


 美雪は素早く入口を2つ追加した。



長老「先に行ってくれ。わしは後で行く。いろいろ説明しないと混乱するからな。」



美雪「分かったわ。みんな入って。。じゃあ帰るわよ。」



 美雪は上空に上がると一気に実家に飛んだ。



 夜は、純一と雪に会う願いが叶い満たされた2人が夕食を担当した。


 料理が完成した頃に長老がやってきた。


彩菜「おばあちゃん。何かさー。タイミング良すぎない?見てたの?」


長老「何を言っている。美雪がやり過ぎるから、質問攻めじゃよ。最後は面倒だから、神の子だと言っておいたわ。」


美雪「もー。むちゃくちゃするわね。」


弁護士「それは。。案外一番手っ取り早い理由かも知れないな。」


医師「しかし、いい1日になったよ。」



 死者の村の話、地下の村の構想を語り合いながら、夜が更けていった。


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