「第37話」楽食
医師は、美雪の家を訪ねる。
医師「おかしいな。出掛けてるのか?何だ、寝てるのか。」
美雪「あれ?今何時?」
医師「もうすぐ5時じゃよ。」
美雪「大変。夕食の準備しないと。」
医師「野菜机の上に置いたよ。」
美雪「ありがとう。まずごはん炊かないと。。」
彩菜が起きてきた。
彩菜「良く寝たな〜。あっ。そうだな。。野菜炒め作るか!」
美雪「おばあちゃんは?」
彩菜「疲れてるんじゃない?食事出来るまで寝かせましょう。」
食事が次第に出来た頃に、おばあちゃんが起きた。
長老「先生。こんにちは。いや〜。クーラーってやつは最高だな。氷の妖力使いは夏に弱くてな。良く寝たわい。」
弁護士「こんばんは〜。唐揚げとコロッケだ。」
美雪「上がって下さい。ねえねえ何コロッケ?」
弁護士「ポテトコロッケとカレーコロッケだ。」
美雪「私、カレーコロッケがいい。」
長老「やあ。弁護士さん。いらっしゃい。」
弁護士「長老。こんばんは。ああ、唐揚げとコロッケはレンジで温めて。食中毒とか怖いから、念の為な。」
彩菜「分かったわ。」
食事の準備が終わると、楽しく会食する。
長老「しかし、毎日毎日食べ物が美味すぎる。」
美雪「今日は結構普通よ?」
医師「週末は、村にはどうやって行くの?」
美雪「異空間繋いだ装置使えば一瞬よ。」
弁護士「んー。私達だけで行く必要がある場合のために場所は把握したいんだが。。」
美雪「じゃあ、飛んで行きましょうか。」
彩菜「でも、足で歩いて行くのは不可能な気がするわよ。さすがにあそこは、あまりにも険しい。」
長老「だいたいの場所の把握したい気持ちも分かる。行きは飛んで、帰りは扉を使ったらどうだ。」
弁護士「それでお願い出来ますか?」
美雪「ダメ。装置持ち帰らないと。。あっ!いけない。お母さんに報告しないと。」
彩菜「私も。」
2人は1日の出来事を話し、美雪が長老のひ孫であることを伝えた。明日の予定を聞かれたが、特に予定ないことを伝えた。
彩菜「お酒って高いね。純一さんの知り合いって言ったら、純一さんの好きなお酒紹介された。みんなの今日のお酒よ。」
弁護士「いや〜。これは、高級酒だから、高いの当たり前だよ。純一も滅多に飲まない酒だよ。日本酒も高いやつ勧めやがって。女子高生にたかるとは、アイツ叱っておく必要あるな。。」
彩菜「メロンで稼いだから、みんなが喜んでくれたらいいわよ。」
医師「これは毎日飲んでも1週間はあるぞ。」
美雪「だったら。。まあまあ安いじゃない。私達飲めないし、捨てるなら飲んでよ。」
彩菜「でも、皆さん。先に風呂に入って。みんなぐうたらになるから。」
美雪「おばあちゃんから、順番に入って。」
最後に彩菜と美雪が入ると、掃除して戻る。
美雪「あれ?先生は?」
弁護士「つまみを取りに行ったよ。」
医師「いやいや。お待たせ。長老。一応メロン持ってきたけど、まだ熟してないから。。木曜日に食べましょう。今年最後のメロンだ。」
長老「最後か。。さみしいのう。」
彩菜「食い意地すごいな~。あのね、味は劣るけど、スーパーでも買えるからね。」
長老「そうなのかい!」
医師「あと。やっと届いた、日本酒の雪だ。」
弁護士「おお、これはすごいな。。」
彩菜がつまみを皿に入れて運ぶと宴が始まった。
弁護士「長老。どれがいい?」
長老「その黒いやつ。」
医師「いいのいくね~。純一の好きなウイスキーだ。」
弁護士「美雪さん。氷あるかな?」
美雪「冷蔵庫のと、私の体液とどちらがいい?」
弁護士「美雪さんのだな。あれ、味がマイルドになって、身体に力がみなぎるんだよ。」
美雪は「はい。」と氷を身体から作る。
医師「ん。な、何だ。。本当じゃないか。普通の氷と全然違う。全身に染み渡る。。すごいな。」
長老「な、なんじゃ。。どうしてだ。。妖怪村の者ではこうはならない。。しかし、美味すぎるな。」
弁護士「だろう?すごいでしょう。」
美雪「治癒妖力と愛情入りだからね。」
長老「そんなことが出来るのか。」
医師「じゃあ、雪いこうか。他は明日だな。」
美雪「はいはい。氷ね。」
長老「なんと美味い酒じゃ。名前にぴったりじゃのう。」
医師「そうそう。彩菜さん。袋の持って来て。」
彩菜「なに?花火じゃない。やろうやろう。」
庭に出て花火をやる。
弁護士が、長老の持つ花火に火をつける。
長老「うわーっ。綺麗。。」
美雪が「あっ!」と言い、頭を押さえる。
彩菜「大丈夫。美雪。痛いの?」
美雪「そうじゃないの。。私の一番古い記憶が。。あれ、お父さんとお母さんが花火してたんだ。間違いないわ。お母さんが、緑色だ。綺麗って。。ねえ。私、お父さんとお母さんの記憶があるわ!」
医師「2歳だよね。2歳の記憶があるのか。。天才だな。そんな昔の記憶は通常ないだろう。3歳が精一杯だよ。」
美雪「聞いてはいたけど。記憶に残ってた。。なんか嬉しいな。」
彩菜「美雪。良かった。なんか気持ちが救われた気分。みんなでやりましょうよ。」
彩菜「おばあちゃん。花火初めて?」
長老「うん。綺麗だ。人間の世界は悪くない。素敵だ。何故村はこうなったのかな。。」
美雪「おばあちゃん。楽しくね。」
長老「ああ、そうじゃった。そういえば。2人とも妖力が身体に入ったということは。死んだら死者の村に行けるということだ。人間の死者の村があるのか知らないが、選べるのかな?」
彩菜「土曜日に死者の村に入るために妖力入れたんだから、当たり前じゃない?」
長老「それもそうか。」
医師「選べるなら、妖怪の死者の村だな。雪達にも会えるんだろ?」
弁護士「迷うことはないな。」
長老「じゃが、再び戻る時に妖怪になるのかも知れない。それは、おじいさんが戻る時にしか分からない。お前達が生きているうちには分からない。」
弁護士「もし人間になれるなら、人間がいいけど、どちらでもいいかな。人間社会は好きじゃない。自然と共存したいから、妖怪のほうがいいかな。」
花火を片付けると、部屋に戻り話す。
長老「なあ。わしも、そのスマホが欲しいんじゃが。」
弁護士「それは。。かなり難しいな。手に入れるのは簡単。電話代も別に僕が負担するから構わない。」
医師「問題は、電波だな。。長老。スマホは常に電波を出している。どこにだれがいたのか追跡出来る。普通は気にしないが、国が、もし、妖怪を探したいとなった場合に調べられたら場所が特定されてしまう。」
彩菜「そもそも、妖怪村に電波届くのかな?」
医師「ふもとの駐車場は電波来てた。」
美雪「村はそこから、かなり奥よ。」
美雪「次に行った時に、一度電源入れてみようか。私なら、怪しまれないとは思う。」
医師「難しいな。妖怪村に危険が及ぶなら避けたほうがいい。」
美雪「異空間繋ぎっぱなしでWi-Fiつなげば電波関係なく使うことは出来るわね。異空間繋ぎっぱなしも危険だよね。」
弁護士「有線でLANケーブル直接繋ぐのも距離がありすぎる。抵抗で機能するかどうか。。」
彩菜「光ファイバーは?」
医師「この距離は、恐ろしい値段になるんじゃないかな。」
美雪「私がふもとの土地買って形式だけの建物建てて、光ファイバー繋いでもらうのはどう?弁護士さんなら、調べられるでしょう?」
弁護士「専門ではないけど、調べるのは可能だ。」
医師「仮に確保出来たとして、そこから、どうする。」
美雪「光ファイバーかLANケーブルを私が地下に引っ張るわ。」
弁護士「どうやって?」
美雪「トンネル掘るわよ。」
医師「無理だろう。」
美雪「出来るでしょう。火の妖力と氷の妖力使えば、岩は溶けるし、砕ける。」
弁護士「1000度以上に熱することが出来るか?ものすごいエネルギー量だぞ。容易じゃない。」
美雪「確かに。闇妖力使えば案外簡単かな?」
医師「どうやって?」
美雪「今は分からないけどね。ほら。」
美雪は台所につまみの皿を闇の妖力を使って移動する。
美雪「皿みたいに、岩や土を移動してしまえばいい。重力無効化してるから、重さ関係ない。異空間を上手く使えば、キレイに切り取れるんじゃないかな?」
長老「そこまで、たいそうな事をしてまで欲しいとは言わない。」
彩菜「私達、夏休み終わったら帰るからさ。この家に住んだら?用事ある時、すぐに戻れるんでしょう?ここでスマホ使うなら、何も問題ないじゃない。」
長老「それで十分だよ。村にいてスマホ使おうとは思っていない。だけど、いいのかい?」
医師「彩菜さんが一番まともな答え出したな。実は私達は、週一度、この家に泊まってたんだ。家は手入れして使わないと、あっという間に傷むんじゃ。長老が住むなら、手入れ手伝うだけでいい。ゴミ出しとかはしないといけないけどな。」
長老「そんなことは、元々自分でやってたから、平気じゃ。ただ、わしにはお金というものがない。」
美雪「贅沢しないなら、住んでくれるなら月に10万円くらいなら出すわ。弁護士さんが、与えてくれた5億円があるし。」
弁護士「あれは大切なお金だ。安易に使わないほうがいい。」
美雪「けど、お父さん達が残してくれたお金を、育ててくれた方に渡すのは悪いことじゃない。私も畑をもっと頑張るし。家とここも繋ぐから、こちらで畑も可能よ。」
彩菜「そうか!かなりの規模で畑出来るわね。10万円なんて軽いわよね。」
弁護士「なるほど。やっぱ、2人とも天才だな。。」
医師「こんな時間か。戻るか。また明日の夜に話そう。」
弁護士「そうだな。長老が住むの決めたら、スマホ入手するよ。おやすみなさい。」




