「第24話」真実
両家が全員集まった。両親は、まずは彩菜が無事なことは理解した。
佳代「たぶん。ちょっと長くなります。私が中心で話をしますが、足りない部分は大輝に補ってもらいますので、まずは、なるべく黙って全て聞いて下さい。」
佳代「まず。。美雪は私達の子ではありません。私達の命を、いや人生さえも救ってくれた方に託された子です。もちろん、私達は誰にも負けない愛情を注いできたつもりです。」
佳代「私達は、赤ちゃんが出来なかった。何年も不妊治療してもダメでした。。私達は精神的に疲弊し、絶望してしまいました。だから、死ぬつもりでスーパーをうろうろしながら、最後の食事をするためにフードコーナーに行きました。食べ終わったら屋上から飛び降りるつもりでした。」
美雪は「お父さん。お母さん。辛かったよね。。」と涙ぐむ。
佳代「そんな時に、あの有名な爆発事故が起きました。」
彩菜の父「えっ!あの事故に。。いたのですか。。。」
佳代「ええ。。周りが火の海になると、人生を投げた私と大輝、純一さんと雪さんと当時2歳だった美雪さんの5人だけが生き残っていました。他の人は全て亡くなっていたようでした。私達が大型スーパーを避けるのは、それが理由なんです。出口が少ない店とか、どうしても避けてしまう。。今まで、何度か店変える提案したのも。ごめんなさい。でも精神的に無理だったんです。」
彩菜の母「全く気にしてなかったですよ。」
佳代「内部はすごい熱でした。そんな中で再び爆発が起きました。雪さんと美雪さんを守るために、身体を張って、お父さんの純一さんが守りましたが。。そのまま亡くなりました。」
佳代「雪さんが私達に話しかけましたが、既に死ぬ気だった。私達は不妊治療で疲れた。子供も出来ないから死ぬつもりだと。。そんな私達に雪さんは、私達を助けるから、美雪を育ててくれと託しました。」
佳代「その時に聞いたのですが、純一さんは人間。雪さんは妖怪だそうです。つまり、美雪は、妖怪と人間の子なのです。」
大輝「雪さんは、美雪の妖力を封印したそうです。けど、生理が始まり大人になると封印が壊れてしまうと言いました。」
佳代「だから、初めて生理が来た時に血の気が引きました。もちろん事実は隠すつもりはありませんでした。いつか言うつもりでした。ただ、美雪が大人はならないと精神的に立ち直れなくなるのが怖くて、言うタイミングをずっと悩んでいました。でも、2人で高校卒業までには言うと決めてました。」
佳代「私達は雪さんとは人生で30分も接してはいません。でも、人生で一番大切な偉大な方なのです。彼女は妖怪のため、人間より10倍成長が遅いと言ってました。妖怪村では妖力が弱かったそうです。村では、妖力が弱い者は虐げられ、結婚も出来ない。偶然、倒れていた純一さんを雪さんが助け、恋に落ちたそうです。人間の世界に来て、初めて愛し、愛されることを雪さんは知ったそうです。それを知れたから後悔はない。人間界に来て7年の自分1人で美雪を育てるのは無理だと。美雪の成長スピードは人間と同じ。だから人間として育つのが一番。それは私達にしか頼れないと。」
佳代「迫りくる炎の中で、私に美雪を渡すと3人を大きな氷で覆い、出口まで行けと。。。後ろから。。。炎に包まれながら。。。妖力を使って氷を供給し続けて。。。妖力が。。。尽きた時に。。。倒れて。。。大輝。お願い。」
大輝「雪さんの氷でギリギリ非常口にたどり着き、全力で脱出しました。私だけが足に軽い火傷を負いましたが、唯一脱出した3人でした。美雪のことが世の中にバレるのを避けたかったから、事故の証言は一切しませんでした。保障金の話も一切しませんでした。全ては、雪さんと美雪さんを守るためです。雪さんは戸籍がありませんので。。。死んだことすら誰も把握してません。けど彼女は言いました。弁護士さんと医師、それにあなた達の心に残るなら幸せって。。本当に偉大な方でした。」
佳代「大輝。ありがとう。。美雪、あなたの母子手帳よ。お母さんの名前がないの。純一さんが拾った子ということにしたそうなの。あなたの本当の親は純一さんと雪さん。。これね雪さんの使ってたスマホ。ほら。。。これが、本当の。。。お父さんと。。。お母さん。。お母さんはあまりにも綺麗だから、私達はずっと心配だった。あなたが綺麗になることは分かってたから。あなたに妖力があることは、雪さんも分からなかった。私達は生理の日に、お父さんを回復させた時に妖力があると確信した。あと。。お母さん。いいわね。言うわよ。」
彩菜の母「大丈夫。言って。」
佳代「実は、2年前に先生のところに泊まりに行った時、彩菜さんのお母さんは検査で、食道がんで半年の命と言われた。もう助からないって。それを美雪が触れたら、一瞬で治してしまったの。」
彩菜「えっ!お母さん。。」
佳代「事実よ。病理検査でも悪性の結果だったそうよ。でも、翌日の再検査で何故か完全に治ってた。。美雪。私達をお父さん、お母さんと思わなくてもいいの。でもね。。私達は雪さんに救われた。子供を託され、幸せにもしてくれたの。私達は、命をかけてもあなたを守り幸せにすると誓った。それは信じて。」
美雪「あのね。。お母さん。私ね、二組も両親がいるなんて、私は世界一の幸せ者よ。私は変わらない。お父さんとお母さんだよ。それは変わらない。」
大輝は「ありがとう。」と号泣する。
美雪「ありがとうは、私のほうよ。つまり、今日の氷は妖力ってことなのね。変な病気じゃないなら良かった。」
彩菜の父「美雪さん。妻を、娘を助けてくれてありがとうございます。」
美雪「みんなで助けあっているから当たり前でしょう?私だって助かってるんです。」
佳代「あなた。考え方、雪さんそっくりだわ。」
大輝「それでね。弁護士さんが、スーパーから純一さんの慰謝料を取ってきてくれた。純一さんの資産も相続してくれた。通帳だよ。あと、実家と言ったが、あれは純一さんと雪さんと美雪の家。今は、相続して美雪が所有者になっている。」
佳代「雪さんのスマホや弁護士さん達から聞いたけど。。どうも、お母さんの雪さんはご両親が早く亡くなり、村で一番偉い長老。お婆様と呼んでたらしい方に育てられたらしいわ。あとね。人間が妖怪村に行くと殺さないといけない決まりらしい。だから、美雪をお婆様に見せてあげられないって。」
大輝「人間と関わったとなると、殺される可能性もあるし、人間と繋がってたとなると、お婆様の立場がなくなる。」
佳代「そういえば。。不思議な話だけど妖怪の世界では死者にいつでも会えるらしいわ。だから、美雪は両親に会えるの。向こうが、こちらに来るのは禁じられてるらしい。ただ、妖怪村の場所も分からないし、会えば殺される。だから、どうしたらいいかは分からない。」
佳代「そうだった!最後に託されたの。お婆様が極めた妖術をまとめた秘伝書がこれ。雪さんしか妖怪村でも知らない極秘情報らしい。雪さんは理解出来なかったらしいけど、いつか役に立つかもしれないから、美雪に渡してって。。みんな言ったかな?思い出したら、また言うわ。」
美雪「古文だわね。これ読むの大変だわ。」
彩菜の父「だから、スーパー避けるんですね。それは当たり前だ。」
彩菜「そりゃ氷も出るわけだ。」
美雪「知らない男に、裸にされて胸揉まれたのに、減るもんじゃないから、平気よ。って言うほうがすごいと思うわ。」
彩菜の父「おいおい本当かよ。勘弁してくれよ。」
美雪「なるほど。。彩菜。分かった。こうよ。」
美雪が氷を出す。
彩菜「うわっ!」
美雪「こうやると火か。」
大輝「熱い。勘弁してくれよ。」
美雪「これが風ね。」
佳代「冷やして出してくれない?」
美雪「はい。」
佳代「冷た!死んじゃうわよ。まあ、雪さんとの約束は果たしたから。もういいけどね。」
美雪「皆さんが変に思わないなら、私は今まで通りでお願いします。」
彩菜「これは、私達だけの秘密。いかなる理由があろうが口外しない。あと、非常時以外は外で使わない。破ったら友達やめるから。」
美雪「分かったわ。」
大輝「他、良かったら解散しますか。何か疑問あれば、また聞いて下さい。私達はもう隠す必要が無くなったから、いつでも大丈夫です。しかし、やっと村で全員本当のこと言えるな。旅行楽しみだな。」
今日のところは解散となったが、彩菜がどうしても譲らず、美雪と泊まると言い張り両親は納得して帰って行った。
2人で雪さんと純一さんの写真と大輝と佳代の写真を見ながら嬉しそうに話をしながら眠って行った。




